112PM042|第112回 看護師国家試験 過去問
成人に対する自動体外式除細動器〈AED〉の使用で正しいのはどれか。
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正解: 1
正答
1.胸部が濡れている場合は電極パッドを貼る前に拭き取る。
この問題のポイント
成人へのAED使用手順を、パッドを貼る前の準備、貼る位置、心電図解析中の対応、心拍再開後の対応の4つの場面で理解しているかを問う問題です。判断の鍵は、各手順の目的を押さえることです。目的は「電流を心臓に確実に流す」「解析を正確に行わせる」「再び心停止したときに備える」の3つで、これが分かれば手順を丸暗記しなくても正答を選べます。
解説
AEDは何をする機器か
AEDは、心停止した人の心電図を自動で解析します。電気ショックが必要な波形であればショックを指示し、必要でなければ指示しません。ショックの適応となるのは**心室細動(VF)と無脈性心室頻拍(無脈性VT)**です。心室細動では心筋が無秩序に興奮しており、心臓はポンプとして働きません。除細動は心臓全体に電流を流して心筋を一斉に脱分極させ、洞結節から正常な調律が再び始まることを期待する治療です。
心静止や無脈性電気活動(PEA)はショックの適応ではありません。この場合AEDは「ショックは不要です」と音声で指示するので、直ちに胸骨圧迫を再開します。除細動の成功率は時間とともに急速に下がるため、AEDが届いたらすぐに電源を入れ、音声指示に従って進めます。
手順ごとの目的
- パッドを貼る前:胸をはだけて皮膚の状態を確認します。汗や水で濡れていれば、乾いた布で拭き取ります。水の膜があると、電流がパッドとパッドの間の体表を伝って流れてしまい、心臓に届く電流が減ります。パッドが密着しにくくなることや、熱傷の原因になることも問題です。ほかに、次の点も確認します。
- 貼付薬(ニトログリセリン貼付剤など)は、はがして薬剤を拭き取ります。
- 植込み型ペースメーカーや植込み型除細動器による皮膚の膨らみがあれば、その真上を避けて貼ります。
- 胸毛が濃くて密着しない場合は、剃るなどの対応をします。
- 貼る位置:1枚を右前胸部の上方(右鎖骨の下で胸骨の右側)、もう1枚を左側胸部の下方(左わきの下から数cm下)に貼ります。心臓を対角線上に挟む位置で、電流が心臓を通り抜けるようにするためです。救助者が複数いれば、パッドを貼っている間も胸骨圧迫は中断しません。
- 心電図解析中:AEDが「体から離れてください」と指示したら、全員が傷病者から離れます。胸骨圧迫や体の動きは心電図の雑音(アーチファクト)となり、ショックが必要か不要かの判断を誤らせるおそれがあるためです。
- ショック時:誰も触れていないことを声と目で確認してから、ショックボタンを押します。ここで離れる目的は、救助者の感電を防ぐことです。
- ショック後、または「ショック不要」のとき:直ちに胸骨圧迫から心肺蘇生を再開します。AEDはおよそ2分ごとに再び解析を行います。
- 心拍再開後:普段どおりの呼吸や目的のある仕草が見られたら、回復体位などにして観察を続けます。このときも、パッドは貼ったまま、電源も入れたままにして救急隊に引き継ぎます。
実践での意味
病院内でも、入浴中や発汗の多い患者の急変では、胸が濡れていることがよくあります。看護師はAEDの到着と同時に、皮膚が乾いているか、貼付剤がないか、植込み型デバイスがないかを素早く確認します。そのうえで胸骨圧迫の中断を最小限にしながらパッドを装着できるよう、チームで役割を分担します。
選択肢の確認
1.胸部が濡れている場合は電極パッドを貼る前に拭き取る。:正答。濡れたまま貼ると、電流が体表の水分を伝ってパッド間を流れ、心臓に十分な電流が届きません。密着不良や熱傷の原因にもなるため、乾いた布で拭いてから貼ります。汗、入浴後、雨などで濡れている場面が想定されます。
2.電極パッドは左前胸部に並べて貼る。:2枚を近づけて並べると、電流がパッド間の浅い部分を流れるだけになり、心臓を通りません。正しくは右前胸部の上方と左側胸部の下方に貼り、心臓を挟みます。12誘導心電図の胸部誘導の電極が左前胸部に並ぶ様子と混同しやすいので注意します。なお、小児などでパッドどうしが触れ合いそうなときは、胸と背中に前後で挟むように貼ります。
3.心電図の解析中にも胸骨圧迫を継続する。:解析中の胸骨圧迫は心電図の雑音となり、ショックの要否の判定を誤らせるため、解析中は誰も傷病者に触れません。胸骨圧迫を続けるのは、パッドを貼っている間と、ショック直後または「ショック不要」の指示の後です。圧迫を止める場面と続ける場面を区別して覚えることが大切です。
4.心拍が再開されたら電極パッドを直ちにはがす。:心拍が再開しても心室細動が再発することがあり、パッドは貼ったまま、電源も入れたままにしておきます。AEDは装着中に心電図の解析を繰り返すため、再び心停止したときにすぐショックを行えます。パッドを外すのは、救急隊や医療者に引き継いだ後の判断によります。
覚えるポイント
- AEDでショックの適応となるのは、心室細動と無脈性心室頻拍です。心静止と無脈性電気活動は適応外で、胸骨圧迫を続けます。
- パッドは**右前胸部の上方(右鎖骨下)と左側胸部の下方(左わきの下)**に貼り、心臓を挟みます。小児などで2枚が触れ合う場合は前後に貼ります。
- 貼る前には次の4点を確認します。濡れていれば拭く。貼付薬ははがして拭く。植込み型デバイスの膨らみは避ける。胸毛が濃ければ剃るなどで密着させる。
- 傷病者から離れるのは、**解析中(誤判定の防止)とショック時(感電の防止)**の2つの場面です。それ以外は胸骨圧迫の中断を最小限にし、ショック後は直ちに再開します。
- 心拍が再開しても、パッドは貼ったまま、電源も入れたままにして救急隊に引き継ぎます。
- 未就学児には小児用パッドまたは小児用モードを使い、小学生以上には成人用パッドを使います。小児用パッドがなければ、成人用パッドで代用できます。
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