112PM090|第112回 看護師国家試験 過去問
500 Lの酸素ボンベ(14.7 MPa 充塡)の内圧が10 MPa を示している。この酸素ボンベを用いて3L/分で酸素吸入を行う。使用可能な時間は何分か。ただし、小数点以下の数値が得られた場合は、小数点以下第1位を四捨五入すること。解答:① ② ③分 ① ② ③ 0 0 0 1 1 1 2 2 2 3 3 3 4 4 4 5 5 5 6 6 6 7 7 7 8 8 8 9 9 9
解答・解説を見る
正解: 2・12・24
正答
① 1・② 1・③ 3
使用可能な時間は113分です。
この問題のポイント
酸素ボンベの残量から使用可能時間を求める計算問題です。ボンベ内の酸素量は内圧に比例するので、容量500 Lに「現在の内圧10 MPa÷充塡圧14.7 MPa」を掛けて残量を求め、それを流量3 L/分で割ります。途中で数値を丸めず、最後に指示どおり小数点以下第1位を四捨五入することが正答の鍵です。
解説
まず、問題文の数値の意味を整理します。
- 500 L:満充塡のボンベから大気圧のもとで取り出せる酸素の量です。ボンベ自体の容積ではありません。
- 14.7 MPa:満充塡のときの圧(充塡圧)です。
- 10 MPa:いま圧力計が示している内圧(残圧)です。
- 3 L/分:指示された酸素流量です。
温度が一定なら、一定量の気体の圧力と体積は反比例します(ボイルの法則)。ボンベの内容積は変わらないので、中の酸素を大気圧で取り出したときの量は内圧にほぼ比例します。つまり、内圧が充塡圧の何割まで下がったかが、そのまま残量の割合です。ここから次の2つの式が成り立ちます。
- 残量(L)=ボンベの容量(L)×現在の内圧÷充塡圧
- 使用可能時間(分)=残量(L)÷流量(L/分)
数値を代入して計算します。
- 内圧の割合:10÷14.7=0.680…(満充塡の約68%)
- 残量:500 L×10÷14.7=5,000÷14.7=340.13…L
- 使用可能時間:340.13…L÷3 L/分=113.37…分
小数点以下第1位は3で5未満なので切り捨て、113分となります。このボンベは3 L/分なら理論上約113分(約1時間53分)で空になる、という意味です。解答欄は①が百の位、②が十の位、③が一の位なので、①は1、②は1、③は3です。割る数をまとめて5,000÷(14.7×3)=5,000÷44.1≒113.38と一度に計算すると、途中の丸めによるずれを防げます。
検算の習慣もつけましょう。満充塡の500 Lを3 L/分で使うと約167分もちます。内圧10 MPaは満充塡の約3分の2なので、その約3分の2で110分台という見当がつきます。また、113分×3 L/分=339 Lで、残量約340 Lと釣り合います。
計算では次の点に注意します。
- 途中で丸めない:割合や充塡圧を切りのよい数に丸めると、一の位がずれることがあります。
- 減った圧(4.7 MPa)ではなく、残っている圧(10 MPa)で計算します。
- 残量(L)で止めず、流量で割って時間(分)にします。
- 安全係数は指示がなければ掛けません。臨床では計器の誤差などを見込み、計算値に安全係数(0.8がよく用いられます)を掛けて余裕をもたせる方法も広く紹介されています。しかし本問は理論上の使用可能時間を問うており、公式正答の113分は安全係数を掛けない値です(0.8を掛けると約91分)。
臨床では、この計算を検査や移送の前に行います。所要時間に余裕を加えても残量が足りるかを確かめ、不足しそうなら満充塡のボンベに替えるか予備を携行し、移送中も圧力計を確認します。使用時間は流量に反比例するので、同じ約340 Lでも10 L/分なら約34分しかもたず、高流量で投与中の患者の移送では特に注意が必要です。圧力計がkgf/cm²表示なら充塡圧は約150 kgf/cm²(14.7 MPaに相当)とし、分子と分母の単位をそろえれば同じ式で計算できます。
ボンベの取り扱いもあわせて押さえます。酸素は自らは燃えない支燃性ガスですが燃焼を激しくするため、火気を近づけず、油脂の付いた手や器具で扱いません。高圧ガス保安法に基づく規則により容器は常に40℃以下に保ち、転倒しないよう架台などに固定します。バルブは流量計が閉じていることを確認してからゆっくり開け、使用後は必ず閉めます。通常の鉄製ボンベは磁性体なので、MRI室には持ち込みません。日本の酸素ボンベは黒色で、緑色のボンベは二酸化炭素です。一方、医療ガス配管のアウトレットでは酸素は緑色で示されるため、混同しないようにします。
選択肢の確認
① 0:計算値113.37…分は100分以上なので、百の位は0ではなく1です。安全係数を掛けた約91分や減った圧で計算した約53分など、100分を切ったら式を見直します。
① 1:正答。500×10÷14.7÷3=113.37…分を四捨五入すると113分となり、百の位は1です。
① 2:満充塡の500 Lを3 L/分で使っても約167分で空になるため、百の位が2になることはなく、正しくは1です。200分を超えたら、内圧と充塡圧の比を逆に掛けていないか確かめます。
① 3:残量(約340 L)の段階で止めて流量で割り忘れると百の位が3になりますが、問われているのは時間で、正しい百の位は1です。
① 4:400分以上もたせるには3 L/分で1,200 L以上が必要で、容量500 Lの2倍を超えます。百の位は1です。
① 5:500分以上もたせるには残量約340 Lで流量を0.7 L/分未満にする必要があり、3 L/分では届きません。百の位は1です。
① 6:600分台には3 L/分で1,800 L以上が必要で、残量約340 Lの5倍を超えます。百の位は1です。
① 7:700分以上もたせるには3 L/分で2,100 L以上が必要で、容量500 Lの4倍を超えます。百の位は1です。
① 8:3 L/分での使用時間は満充塡でも約167分が上限なので、百の位は0か1にしかならず、本問では1です。
① 9:900分は15時間にあたり、3 L/分なら2,700 L以上の酸素が必要で、残量約340 Lとは桁が違います。百の位は1です。
② 0:十の位が0になるのは100〜109分ですが、残量約340 Lは110分に必要な330 Lを上回るので、十の位は1です。
② 1:正答。113分の十の位は1です。満充塡時の約167分に内圧の割合約68%を掛けた見積もり(約113分)とも一致します。
② 2:120分以上もたせるには3 L/分で360 L以上が必要ですが、残量は約340 Lしかないので、十の位は2に届かず1です。
② 3:130分台にするには流量を約2.6 L/分まで下げる必要があり、3 L/分では届きません。十の位は1です。
② 4:内圧と充塡圧の比を逆にした245分や、流量で割り忘れた残量340 Lでは十の位が4になりますが、どちらも計算過程の誤りで、正しくは1です。
② 5:減った圧4.7 MPaで計算すると500×4.7÷14.7≒159.9 L、3で割って約53分となり十の位が5になります。これは使った酸素の分の時間で、十の位は1です。
② 6:比を掛け忘れて500 L÷3 L/分とすると約167分となり十の位が6になりますが、これは満充塡時の使用可能時間で、正しくは1です。
② 7:170分以上もたせるには3 L/分で510 L以上が必要で、満充塡の500 Lでも足りません。十の位は1です。
② 8:180分台は満充塡時の約167分さえ超える長さで、内圧10 MPaのボンベではありえません。十の位は1です。
② 9:安全係数0.8を掛けると約91分となり十の位が9になりますが、本問は安全係数の指示がないため掛けず、十の位は1です。
③ 0:残量の約340 Lを答えにすると一の位が0になりますが、3 L/分で割って時間に直すと113分で、一の位は3です。
③ 1:充塡圧14.7を15に丸めて500×10÷15÷3とすると約111.1分、111分となり一の位が1になります。丸めずに計算すると一の位は3です。
③ 2:10÷14.7を途中で0.67に丸めると500×0.67=335 L、3で割って約111.7分、112分となり一の位が2になります。正しくは3です。
③ 3:正答。113.37…分の小数点以下第1位は3で5未満のため切り捨てとなり、113分の一の位は3です。
③ 4:113.37…分を切り上げると114分になりますが、指示は四捨五入で、小数点以下第1位が3なので繰り上がらず一の位は3です。
③ 5:比を逆にして500×14.7÷10=735 L、3で割って245分とすると一の位が5になります。残量が容量の500 Lを超えることはなく、一の位は3です。
③ 6:計算値113.37…は113と114の間にあり、四捨五入で一の位になりうるのは3か4だけです。実際は切り捨てで3となり、6にはなりません。
③ 7:比を掛け忘れた約167分や、10÷14.7を0.7に丸めて計算した約116.7分(117分)では一の位が7になりますが、正しくは3です。
③ 8:一の位を8にして118分とするには約354 L(118×3)の残量が必要で、実際の約340 Lでは足りません。一の位は3です。
③ 9:充塡圧14.7を14に切り捨てて5,000÷14÷3とすると約119.0分となり一の位が9になります。充塡圧は14.7のまま使い、一の位は3です。
覚えるポイント
- 使用可能時間(分)=ボンベ容量(L)×圧力計の値÷充塡圧÷流量(L/分)です。充塡圧は14.7 MPa(約150 kgf/cm²)で、分子と分母の圧の単位をそろえます。
- 残量は内圧に比例し、使用時間は流量に反比例します。流量を2倍にすれば使える時間は半分になります。
- 途中で丸めず、最後に指示どおり四捨五入します。結果が満充塡時の時間(容量÷流量)を超えたら式の誤りです。
- 安全係数(0.8など)は設問に指示がなければ掛けません。臨床では余裕をもって交換を計画し、移送や検査の前に残量を確認して予備を準備します。
- 酸素は支燃性なので、火気・油脂を近づけず、40℃以下で保管し、転倒を防いで固定します。バルブはゆっくり開けて使用後は閉め、鉄製ボンベはMRI室に持ち込みません。
- 酸素ボンベは黒色(緑色のボンベは二酸化炭素)で、医療ガス配管のアウトレットでは酸素は緑色です。
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