112PM094|第112回 看護師国家試験 過去問
次の文を読み94〜96の問いに答えよ。Aさん(53歳、女性)は休日に公園を散歩中、階段から落ちて頭部を強打し、意識を消失した状態で病院に救急搬送された。病院到着時のAさんは開眼せず、声は発しているが理解不能である。痛み刺激には逃れようとする動作がみられる。グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉によるAさんの意識レベルの評価はどれか。
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正解: 2
正答
2.E1V2M4
この問題のポイント
グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)の3項目(開眼E・言語V・運動M)の段階と点数を正確に覚えているかを問う問題です。問題文の「開眼せず」「声は発しているが理解不能」「痛み刺激には逃れようとする動作」という3つの表現を、それぞれGCSの段階に当てはめます。特に運動反応では、「逃避(M4)」と「払いのけ(M5)」、「異常屈曲(M3)」の区別が鍵になります。
解説
問題文の手がかり
Aさんは階段から転落して頭部を強打し、意識を失って搬送されました。意識レベルを評価する材料は次の3つです。
- 開眼:開眼しない
- 言語:声は出ているが、意味のある言葉になっていない
- 運動:痛み刺激に対して逃れようとする動作がある
GCSの構成
GCSは、開眼(E:Eye opening)、最良言語反応(V:Verbal response)、最良運動反応(M:Motor response)の3項目を別々に採点します。最良は合計15点、最低は3点で、点数が低いほど意識障害が重いことを示します。0点はありません。
開眼(E)は4段階です。
- E4:自発的に開眼する
- E3:呼びかけで開眼する
- E2:痛み刺激で開眼する
- E1:開眼しない
言語反応(V)は5段階です。
- V5:見当識が保たれている
- V4:混乱した会話
- V3:不適当な発語(単語は出るが会話にならない)
- V2:理解不能の音声(うめき声など)
- V1:発語なし
運動反応(M)は6段階です。
- M6:命令に従う
- M5:痛み刺激の部位に手を持ってきて払いのける(疼痛部位の認識)
- M4:痛み刺激から逃避する(正常屈曲)
- M3:異常屈曲(除皮質硬直:上肢を屈曲し、下肢を伸展する)
- M2:伸展(除脳硬直:四肢を伸展する)
- M1:まったく動かない
判断の手順
- 開眼しないのでE1です。痛み刺激を加えても開眼していないことが前提になります。
- 声は出ていても理解できる言葉になっていないので、V2(理解不能の音声)です。単語として聞き取れればV3になります。
- 痛み刺激から「逃れようとする」のは逃避にあたり、M4です。刺激された部位へ手を伸ばして払いのける動作があればM5になります。
以上からE1V2M4で、合計は7点です。
臨床での意味
GCSの合計8点以下は重症頭部外傷の目安です。舌根沈下や嘔吐物の誤嚥による気道閉塞の危険が高く、気道確保(気管挿管を含む)の判断につながります。Aさんは7点なので、この水準にあたります。外傷初期診療(JATEC)では、GCS8点以下、経過中の2点以上の低下、瞳孔不同や片麻痺などの脳ヘルニア徴候を伴う意識障害を「切迫するD」とし、緊急の対応が必要な状態として扱います。
頭部外傷後は、頭蓋内血腫の増大によって意識レベルが悪化することがあります。そのため看護師は、合計点だけでなくE・V・Mそれぞれの点数を記録し、瞳孔所見やバイタルサイン(血圧上昇と徐脈を示すクッシング現象など)とあわせて経時的に比較します。どの項目が低下したかが分かれば、変化の早期発見につながります。
記載上の注意もあります。評価するのは「最良」の反応で、左右差があれば良いほうの反応で採点します。気管挿管中で発声できない場合は、言語反応を点数ではなく「T」として記載し、評価不能であることを示します。
選択肢の確認
1.E1V1M2:開眼しない点(E1)はAさんと一致しますが、V1は発語がまったくない状態です。Aさんは声を発しているのでV2になります。M2は痛み刺激で四肢を伸展する除脳硬直の反応で、逃避動作のあるAさん(M4)よりはるかに重い状態です。合計は4点です。
2.E1V2M4:正答。開眼しないのでE1、理解できない声を発しているのでV2、痛み刺激から逃れようとするのでM4です。合計は7点で、重症の目安である8点以下に該当します。
3.E2V2M2:E2は痛み刺激を加えると開眼する状態で、開眼しないAさんには当てはまりません。言語のV2は一致しますが、M2は伸展(除脳硬直)であり、逃避動作があるAさんの評価ではありません。合計は6点です。
4.E4V5M5:自発的に開眼し、見当識が保たれ、痛み刺激の部位を払いのけられる状態です。合計14点で、ほぼ清明な意識を示します。意識を失って搬送されたAさんの状態とは大きく異なります。M5の「払いのけ」とM4の「逃避」を取り違えないよう注意が必要です。
覚えるポイント
- GCSは開眼4段階・言語5段階・運動6段階で、最良15点、最低3点です。点数が低いほど重症で、「E○V○M○」の順に各項目を記載します。
- 言語反応:V4は混乱した会話、V3は会話にならない単語、V2は理解不能の音声(うめき声)、V1は発語なしです。
- 運動反応:M5は払いのけ(刺激部位へ手が向かう)、M4は逃避(刺激から離れる)、M3は異常屈曲(除皮質硬直)、M2は伸展(除脳硬直)です。
- 合計8点以下は重症頭部外傷の目安で、気道確保を検討する水準です。経過中の2点以上の低下や瞳孔不同は、急速な悪化のサインです。
- JCS(ジャパン・コーマ・スケール)は、刺激がなくても覚醒している状態をⅠ桁、刺激で覚醒する状態をⅡ桁、刺激でも覚醒しない状態をⅢ桁とし、各桁をさらに3段階(Ⅰ-1・2・3、Ⅱ-10・20・30、Ⅲ-100・200・300)に分ける3-3-9度方式で、数字が大きいほど重症です。GCSとは点数の向きが逆である点に注意します。
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