Y2019M04Q38|2019年4月公表 エックス線作業主任者免許試験 過去問
放射線によるDNA の損傷と修復に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
解答・解説を見る
正解: 2
正答
(2)
この問題のポイント
エックス線では水の放射線分解で生じたラジカルによる間接作用が大きく、塩基損傷、1本鎖切断、2本鎖切断を生じます。低LETのX線では水の放射線分解を介する間接作用が優位で、酸素はラジカル損傷を固定します。2本鎖切断は頻度は低いものの修復が難しく、NHEJでは誤結合が起こり得ます。
解説
エックス線では水の放射線分解で生じたラジカルによる間接作用が大きく、塩基損傷、1本鎖切断、2本鎖切断を生じます。2本鎖切断は頻度は低いものの修復が難しく、NHEJでは誤結合が起こり得ます。
1本鎖切断は2本鎖切断より頻度が高く、相補鎖を鋳型にできるため一般に修復しやすい損傷です。
選択肢の確認
1.放射線によるDNA 損傷には、塩基損傷とDNA鎖切断があるが、エックス線のような間接電離放射線では、塩基損傷は生じない。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。低LETのX線でも、水由来ラジカルが塩基を酸化・変性させるため塩基損傷は生じます。間接電離放射線では塩基損傷がないとする断定が誤りです。
2.DNA 鎖切断のうち、二重らせんの片方だけが切れる1 本鎖切断の発生頻度は、両方が切れる2 本鎖切断の発生頻度より高い。
○ 判定:正答(記述は正しい)。放射線DNA損傷では1本鎖切断の方が2本鎖切断より高頻度に生じます。頻度の大小関係を正しく述べた記述です。
3.細胞には、DNA 鎖切断を修復する機能があり、修復が誤りなく行われれば、細胞は回復し、正常に増殖を続けるが、塩基損傷を修復する機能はない。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。細胞はDNA鎖切断だけでなく、塩基除去修復やヌクレオチド除去修復などで塩基損傷も修復します。塩基修復機能がないとする部分が誤りです。
4.DNA 鎖切断のうち、2 本鎖切断はDNA 鎖の組換え現象が利用されるため、1 本鎖切断に比べて容易に修復される。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。2本鎖切断は相同組換が利用できる時期でも鋳型が必要で、非相同末端結合では誤りも生じます。1本鎖切断より容易とはいえません。
5.DNA 鎖切断の修復方式のうち、非相同末端結合は、DNA 切断端同士を直接再結合する修復であるため、誤りなく行われる。
× 判定:正答ではない(記述は誤り)。非相同末端結合は切断端を直接処理・連結するため速い一方、塩基の欠失・挿入や誤結合を伴い得ます。必ず誤りなく修復されるという記述は誤りです。
覚えるポイント
1本鎖切断は2本鎖切断より頻度が高く、相補鎖を鋳型にできるため一般に修復しやすい損傷です。X線=間接作用優位、SSB=多く修復しやすい、DSB=少ないが重い、NHEJ=誤り得る、と整理します。