35Q32第35回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ発達と老化の理解

コールバーグ(Kohlberg, L.)による道徳性判断に関する次の記述のうち、最も高い発達の段階を示すものとして、適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 5

正答

5.人間の権利や平等性などの倫理に従って判断する。

この問題のポイント

コールバーグは、道徳性の発達を、判断の根拠がどのように変化するかという観点から説明しました。

発達が進むにつれて、判断の根拠は「罰や利益」から「周囲の期待や社会の規則」へ、さらに「人権や普遍的な倫理原則」へと移っていきます。

解説

コールバーグの道徳性発達理論は、大きく次の3水準に分けられます。

  • 前慣習的水準:罰の回避や自分の利益を基準に判断する
  • 慣習的水準:周囲からの承認、社会の規則や秩序を基準に判断する
  • 後慣習的水準:人権、平等、正義などの普遍的な原則を基準に判断する

選択肢5は、権威、罰、損得、多数意見だけに従うのではなく、人間の権利や平等性という倫理的原則を基準にしています。そのため、選択肢の中で最も高い発達段階を示しています。

ひっかけポイント

「多数意見」は民主的で発達した判断のように見えます。しかし、多数派に合わせること自体は、周囲の期待や社会的承認を重視する慣習的水準の判断です。多数意見よりも、人権や平等などの普遍的な原則を重視する判断の方が高い段階です。

介護実践でのポイント

この理論は、道徳的判断の「理由」を説明する枠組みであり、人の人格や価値を優劣で評価するものではありません。介護では、規則や多数意見だけで結論を出さず、利用者の尊厳、権利、自己決定、公平性を踏まえて判断することが重要です。

選択肢の確認

1.権威に服従する。

誤りです。
権威者の命令や社会的な規則を判断基準とするものであり、人権や普遍的な倫理原則に基づく判断より低い段階です。

2.罰を回避する。

誤りです。
罰を受けるかどうかを基準に行動を決めるのは、前慣習的水準の初期にみられる判断です。

3.多数意見を重視して判断する。

誤りです。
多数の人に認められることや周囲との同調を重視する判断であり、慣習的水準に相当します。

4.損得で判断する。

誤りです。
自分に利益があるか、相手との交換が成り立つかを基準とする判断であり、前慣習的水準に相当します。

5.人間の権利や平等性などの倫理に従って判断する。

正しいです。
人権、平等、正義などの普遍的な倫理原則を基準とする後慣習的水準の判断であり、選択肢の中で最も高い段階です。

覚えるポイント

コールバーグの発達の流れは、「罰・損得 → 承認・規則 → 人権・倫理原則」と整理します。

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