35Q53第35回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ障害の理解

次のうち,四肢麻痺を伴う疾患や外傷として,適切なものを 1 つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 3

正答

3.頸髄損傷(cervical cord injury)

この問題のポイント

四肢麻痺とは、左右両方の上肢と下肢に麻痺が生じた状態です。

脊髄のうち、上肢と下肢の両方へ向かう神経の伝導路が通る頸髄が損傷されると、損傷部位より下の運動・感覚機能が障害され、四肢麻痺を生じることがあります。

解説

脳から出た運動の指令は、頸髄を通って上肢と下肢へ伝わります。そのため、頸髄が損傷されると、損傷した高さや程度に応じて両上肢と両下肢に麻痺が生じます。これを四肢麻痺といいます。

これに対して、腰髄の損傷では上肢を支配する神経経路はすでに分かれているため、主に両下肢が麻痺する対麻痺となります。左右いずれかの大脳半球に生じる脳梗塞では、一般に病変と反対側の上下肢が麻痺する片麻痺がみられます。

なお、頸髄損傷でも麻痺の範囲や程度は、損傷高位と、完全損傷か不全損傷かによって異なります。

ひっかけポイント

「四肢」とは両上肢と両下肢のことであり、片側の上肢と下肢が麻痺する「片麻痺」とは異なります。「四肢麻痺=頸髄損傷」「片麻痺=反対側の大脳半球の障害」「対麻痺=胸髄・腰髄などの損傷」と整理します。

介護実践でのポイント

頸髄損傷では運動・感覚障害だけでなく、損傷高位によって呼吸機能、排泄機能、体温調節、自律神経機能なども障害されます。外傷直後に頸髄損傷が疑われる場合は、頭部と頸部を不用意に動かさず救急要請します。生活支援では、本人の残された機能と希望を確認し、呼吸状態、皮膚、排泄、起立性低血圧や自律神経過反射などにも注意します。

選択肢の確認

1.右脳梗塞(right cerebral infarction)

誤りです。
右大脳半球の脳梗塞では、一般に左側の上肢と下肢に片麻痺が生じます。両側の上下肢が麻痺する四肢麻痺とは異なります。

2.左脳梗塞(left cerebral infarction)

誤りです。
左大脳半球の脳梗塞では、一般に右側の上肢と下肢に片麻痺が生じます。病変部位によっては失語症を伴うこともあります。

3.頸髄損傷(cervical cord injury)

正しいです。
頸髄を損傷すると、損傷高位より下にある両上肢と両下肢の運動・感覚機能が障害され、四肢麻痺を生じることがあります。

4.腰髄損傷(lumbar spinal cord injury)

誤りです。
腰髄損傷では上肢の機能は保たれ、主に両下肢に麻痺が生じます。これは対麻痺に分類されます。

5.末梢神経損傷(peripheral nerve injury)

誤りです。
個々の末梢神経の損傷では、その神経が支配する限られた範囲に運動・感覚障害が生じます。通常、単一の末梢神経損傷によって四肢全体が麻痺することはありません。

覚えるポイント

  • 大脳半球の障害では、一般に病変と反対側の片麻痺がみられる。
  • 頸髄損傷では、四肢麻痺を生じることがある。
  • 胸髄・腰髄損傷では、主に両下肢の対麻痺がみられる。
  • 麻痺の範囲は、損傷高位と完全・不完全損傷の別によって異なる。
  • 支援では運動機能だけでなく、感覚、呼吸、排泄、自律神経機能も観察する。

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