36Q51第36回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ障害の理解

次の記述のうち、障害を受容した心理的段階にみられる言動として、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 5

正答

5.できることに目を向けて行動する。

この問題のポイント

障害を受容した段階とは、障害を「あきらめる」ことではありません。障害があっても自分の人間としての価値は失われないと捉え、現在できることや利用できる支援に目を向けながら、生活を再構築していく段階です。

「価値観が転換し始める」は受容へ向かう途中であり、実際にできることへ目を向けて行動する選択肢5が、受容した段階に最も当てはまります。

解説

障害の受容過程は、一般に「ショック期」「否認期」「混乱期」「解決への努力期」「受容期」などの段階で説明されます。

ショック期には、現実感が乏しくなったり、自分の状況を十分に理解できなかったりします。否認期には、障害があることを認めたくない気持ちが強くなります。

混乱期には、怒りが周囲へ向かって不満や攻撃的な言動として現れたり、自分へ向かって自責感や悲観、抑うつとして現れたりすることがあります。

解決への努力期には、障害があっても自分の価値全体が失われるわけではないという価値観への転換が始まり、生活を立て直す方法を模索します。

受容期には、障害を自分の一側面として捉え、現在できること、補助具や人的支援を利用すればできることに目を向け、本人が望む生活へ向けて行動します。

ただし、実際の心理過程は、この順序を一方向に進むとは限りません。生活上の変化や新たな困難をきっかけに、悲しみや怒りが再び現れることもあります。悲しみを表すことや支援を必要とすることを、「障害を受容できていない」と決めつけてはいけません。

ひっかけポイント
選択肢4の「価値観が転換し始める」は、受容へ向かう重要な変化ですが、まだ解決への努力の途中です。「できることに目を向けて行動する」が、受容した段階をより具体的に示しています。

介護実践でのポイント
本人に「早く受け入れましょう」と受容を迫ってはいけません。現在の思いを傾聴し、必要な情報、福祉用具、環境調整、ピアサポートなどを本人が選べる形で提供します。できないことを責めず、本人が大切にしている活動や役割をどう実現するかを一緒に考えます。

選択肢の確認

1.障害があるという自覚がない。
誤りです。
障害の存在を自覚していない状態は、段階モデルではショック期や否認期にみられる言動です。障害を自分の一側面として捉えた受容期とは異なります。

2.周囲に不満をぶつける。
誤りです。
怒りや不満が周囲へ向かう言動は、混乱期にみられることがあります。本人が大きな喪失や不安を経験している表れとして受け止める必要があります。

3.自分が悪いと悲観する。
誤りです。
怒りや苦しさが自分へ向かい、自責感や抑うつとして現れるのは、混乱期にみられることがあります。受容した状態を表す言動ではありません。

4.価値観が転換し始める。
誤りです。
価値観の転換が始まることは受容へ向かう重要な変化ですが、「始める」という表現から、解決への努力期に当たります。

5.できることに目を向けて行動する。
正しいです。
障害があっても自分の価値は失われないと捉え、現在できることや支援を活用してできることへ目を向け、生活を再構築する行動は受容期にみられます。

覚えるポイント

ショック期では、現実感の乏しさや状況理解の難しさがみられます。

否認期では、障害があることを認めたくない気持ちが現れます。

混乱期では、怒りが周囲または自分へ向かうことがあります。

解決への努力期では、価値観の転換が始まります。

受容期では、できることや活用できる支援に目を向けて生活を再構築します。

受容過程には個人差があり、各段階を行き来することもあります。

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