36Q56|第36回 介護福祉士国家試験 過去問
次のうち、障害の特性に応じた休憩時間の調整など、柔軟に対応することで障害者の権利を確保する考え方を示すものとして、最も適切なものを1つ選びなさい。
解答・解説を見る
正解: 2
正答
2.合理的配慮
この問題のポイント
障害のある人から、社会的障壁を取り除くための対応を必要としていることが示された場合に、過重な負担にならない範囲で個別に必要な変更や調整を行うことを、合理的配慮といいます。
障害の特性に応じて休憩時間を調整することは、合理的配慮の具体例です。
解説
合理的配慮とは、障害のある人が、障害のない人と平等に権利を享有・行使できるよう、個々の場面で必要かつ適当な変更や調整を行うことです。ただし、実施する側に過重な負担を課すものは除かれます。
たとえば、疲れやすさや集中の持続しにくさがある人について休憩の回数や時間帯を調整する、車いす使用者のために段差を解消する、視覚障害のある人へ読み上げや点字で情報を提供する、聴覚障害のある人へ筆談や手話通訳を用意することなどが挙げられます。
大切なのは、障害名だけで対応を一律に決めるのではなく、本人と対話し、どのような社会的障壁があり、どのような対応が必要かを個別に検討することです。同じ障害があっても、必要とする配慮は人や状況によって異なります。
合理的配慮は特別扱いや優遇ではなく、障害によって生じる不利益を調整し、他の人と同じように参加し、選択し、権利を行使できる条件を整える考え方です。日本では、2024年4月から、行政機関等に加えて民間事業者にも合理的配慮の提供が法的義務となっています。
ひっかけポイント
合理的配慮は、障害のある人全員に同じ対応をすることではありません。また、本人の希望を無条件にすべて実施することでもありません。本人との建設的な対話を通じて、必要性と実現可能な方法を個別に検討します。
介護実践でのポイント
本人が困っていることと希望する対応を直接確認し、「障害があるからできない」と決めつけません。本人、家族、関係職種と相談し、環境や手順、情報提供の方法などを調整します。希望どおりの対応が難しい場合も、理由を説明し、代替手段を一緒に検討します。
選択肢の確認
1.全人間的復権
誤りです。
リハビリテーションの理念を表す言葉で、障害のある人が人間らしく生きる権利や尊厳を回復することを意味します。個別に休憩時間を調整する考え方を直接示す用語ではありません。
2.合理的配慮
正しいです。
障害による社会的障壁を取り除くため、本人の必要に応じて、過重な負担とならない範囲で変更や調整を行うことです。休憩時間の柔軟な調整はその具体例です。
3.自立生活運動
誤りです。
障害のある人が地域で自己決定に基づく生活を送ることを求めて展開してきた当事者運動です。個々の場面で行う変更や調整そのものを指す用語ではありません。
4.意思決定支援
誤りです。
本人が自ら意思を形成し、表明し、その意思を実現できるように支えることです。重要な支援ですが、設問の「障害の特性に応じた休憩時間の調整」を示す用語は合理的配慮です。
5.共同生活援助
誤りです。
共同生活住居で、相談、入浴・排泄・食事の介護など、日常生活上の援助を行う障害福祉サービスで、グループホームとも呼ばれます。権利確保のための個別調整を示す概念ではありません。
覚えるポイント
合理的配慮は、社会的障壁を取り除くための個別の変更・調整です。
本人の意思を確認し、対話を通じて必要な対応を検討します。
同じ障害でも、必要な配慮は人や場面によって異なります。
実施する側に過重な負担となる場合は、代替手段を含めて検討します。
合理的配慮は特別扱いではなく、権利を平等に行使できる条件を整えるものです。