36Q76第36回 介護福祉士国家試験 過去問

介護コミュニケーション技術

Eさん(70歳、女性)は、脳梗塞(cerebral infarction)の後遺症で言語に障害がある。発語はできるが、話したいことをうまく言葉に言い表せない。聴覚機能に問題はなく、日常会話で使用する単語はだいたい理解できるが、単語がつながる文章になるとうまく理解できない。ある日、Eさんに介護福祉職が、「お風呂は、今日ではなくあしたですよ」と伝えると、Eさんはしばらく黙って考え、理解できない様子だった。 このとき、Eさんへの介護福祉職の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。

解答・解説を見る

正解: 2

正答

2.「お風呂、あした」と短い言葉で伝える。

この問題のポイント

Eさんは聴覚に問題があるのではなく、脳梗塞後の失語症によって、長くつながった文章の理解と、自分の考えを言葉にすることが難しい状態です。理解しやすい短い言葉にし、要点を一つずつ伝えます。

解説

失語症は、脳梗塞などによって脳の言語に関係する部分が損傷し、「話す」「聞いて理解する」「読む」「書く」といった言語機能に障害が生じた状態です。耳から音が聞こえていても、聞いた言葉の意味や文章の関係を処理しにくいことがあります。知的能力や人格そのものが失われたという意味ではありません。

Eさんは、日常会話で使う単語はおおむね理解できますが、単語がつながった文章の理解が難しい状態です。「お風呂は、今日ではなくあしたですよ」という表現には、「今日」「ではなく」「あした」という複数の情報と否定・対比の関係が含まれています。

「お風呂、あした」と重要な単語だけで短く伝えれば、文章を理解する負担が小さくなります。ゆっくり、はっきり、自然な区切りで伝え、必要に応じてカレンダーの「あした」を指すなど、文字、絵、身振りを組み合わせるとさらに理解しやすくなります。

ひっかけポイント

失語症の人には、単語や意味のまとまりを短くして伝えます。「お・ふ・ろ」のように1音ずつ分けると、かえって言葉のまとまりを捉えにくくなります。「短く区切る」と「1音ずつばらばらに発音する」を混同しないことが重要です。

介護実践でのポイント

失語症のある人には、一度に一つの内容を、短くわかりやすい言葉で、ゆっくりはっきり伝えます。返答を急がせず、表情や動作を見ながら十分に待ちます。カレンダー、写真、実物、文字、身振りや、「はい・いいえ」で答えられる質問も活用します。聴覚障害と決めつけて大声を出したり、子どもに話すような態度をとったりせず、本人の人格と意思を尊重します。

選択肢の確認

1.「何がわからないのか教えてください」と質問する。

誤りです。
この質問は文章の理解だけでなく、わからない内容を整理して言葉で説明することも求めます。話したいことを言葉にしにくいEさんには負担が大きい対応です。

2.「お風呂、あした」と短い言葉で伝える。

正しいです。
Eさんが理解しやすい日常的な単語を使い、重要な情報を短く単純に伝えています。否定表現や複雑な文章を避けているため、理解の負担を減らせます。

3.「今日、お風呂に入りたいのですね」と確かめる。

誤りです。
Eさんが理解できない様子だったことを、「今日入りたい」という希望だと推測する根拠はありません。誤った内容を本人の意思として決めつけています。

4.「あしたがお風呂の日で、今日は違いますよ」と言い換える。

誤りです。
元の表現と同様に、「あした」と「今日」の対比や否定を含む長い文章です。語順を変えただけで、Eさんの理解に必要な負担は十分に減っていません。

5.「お・ふ・ろ・は・あ・し・た」と1音ずつ言葉を区切って伝える。

誤りです。
1音ずつばらばらにすると、単語のまとまりや意味を捉えにくくなります。失語症への対応では、音を分解するのではなく、意味のある短い単語や文で伝えます。

覚えるポイント

  • 失語症は、脳の損傷による言語機能の障害である。
  • 音が聞こえていても、言葉や文章の意味を理解しにくいことがある。
  • 一度に一つの内容を、短くわかりやすい言葉で伝える。
  • 1音ずつ分けず、意味のある単語や短文として話す。
  • 文字、絵、実物、身振り、カレンダーなどの視覚情報を併用する。
  • 返答を急がせず、本人の人格と意思を尊重する。

関連問題

36Q7536Q77
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)