37Q54第37回 介護福祉士国家試験 過去問

こころとからだのしくみ障害の理解

Aさん(76歳、女性)は、パーキンソン病(Parkinson disease)と診断され、日常生活動作(Activities of Daily Living:ADL)は、車いすやベッド上で全介助である。最近、食事に時間がかかって嫌がるようになり、かすれ声が目立つようになった。 次のうち、現在のAさんに対して介護福祉職が留意すべきこととして、最も適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 4

正答

4.誤嚥{ごえん}

この問題のポイント

パーキンソン病が進行すると、手足だけでなく、咀嚼、嚥下、発声に関係する筋肉の動きも低下します。

事例の「食事に時間がかかる」「食事を嫌がる」「かすれ声」は、摂食嚥下機能の低下を疑う情報です。生命に関わる誤嚥や誤嚥性肺炎に最も注意する必要があります。

解説

パーキンソン病では、脳の黒質にあるドーパミン神経細胞が減少し、動作緩慢、筋固縮、安静時振戦、姿勢保持障害などが現れます。病気が進行すると、口、舌、咽頭、喉頭、呼吸筋などの動きも低下し、発声障害や摂食嚥下障害が生じることがあります。

Aさんは車いすやベッド上で全介助であり、食事に時間がかかるようになっています。食べ物を口へ運ぶ動作だけでなく、咀嚼、食塊の送り込み、嚥下反射、咽頭から食道への通過などに時間がかかっている可能性があります。

かすれ声や声量の低下は、パーキンソン病による発声機能の低下でみられます。また、食事中や食後に湿った声やガラガラした声へ変わる場合は、唾液や飲食物が咽頭に残っている可能性があり、誤嚥を疑う重要な観察事項です。

パーキンソン病では、飲食物が気管へ入っても十分にむせない不顕性誤嚥が起こることがあります。むせがないことだけで安全とは判断できません。食事時間の延長、食事量の減少、食事を嫌がる様子、口腔内の残留、流涎、体重減少、発熱、痰、呼吸状態、声の変化などを総合的に観察します。

異常がみられた場合は無理に食事を続けず、看護職等へ報告します。医師、歯科医師、看護師、言語聴覚士、管理栄養士などによる評価につなぎ、姿勢、一口量、食事の速さ、食形態、食事を行う時間帯などを調整します。食形態やとろみを介護福祉職が独断で変更してはいけません。

ひっかけポイント
安静時振戦、筋固縮、仮面様顔貌、便秘もパーキンソン病でみられます。ただし、設問では新たに現れた食事と声の変化から、現在最も注意すべき危険を判断します。

介護実践でのポイント
むせの有無だけでなく、食事時間、口腔内残留、食後の声、痰、発熱、呼吸状態などを観察します。食事を嫌がる理由を本人に確認し、無理強いせず専門職へつなぎます。

選択肢の確認

1.安静時振戦

誤りです。 安静時振戦は、何もしていないときにみられる震えで、パーキンソン病の代表的な運動症状です。しかし、事例で新たに示された食事時間の延長やかすれ声から、最も優先して留意すべきことは誤嚥です。

2.筋固縮

誤りです。 筋固縮は筋肉の緊張が高まり、他者が関節を動かしたときに抵抗を感じる症状です。Aさんの全身状態には関係しますが、食事と声の変化から直接注意すべき危険としては誤嚥が優先されます。

3.仮面様顔貌

誤りです。 仮面様顔貌は、顔面筋の動きが減って表情が乏しく見える状態です。本人の感情が乏しいことを意味するわけではありませんが、事例から現在最も注意すべき状態ではありません。

4.誤嚥{ごえん}

正しいです。 パーキンソン病では摂食嚥下機能と咳反射が低下し、誤嚥や不顕性誤嚥を起こすことがあります。食事に時間がかかることや声の変化は、嚥下機能低下を疑う重要な情報です。

5.便秘

誤りです。 便秘は、パーキンソン病の自律神経症状、活動量の低下、水分摂取量の不足、薬剤などによって生じやすい症状です。ただし、事例には便秘を示す情報がなく、現在最も留意すべきことは誤嚥です。

覚えるポイント

  • パーキンソン病では、進行に伴って発声・摂食嚥下機能も低下する。
  • 食事時間の延長、食事拒否、湿った声、食後の痰や発熱は誤嚥を疑う情報となる。
  • むせを伴わない不顕性誤嚥もあるため、むせがないだけで安全と判断しない。
  • 異常時は食事を無理に続けず、看護職等へ報告して多職種による評価につなげる。
  • 食形態やとろみは、専門職の評価と計画に沿って調整する。

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