8PM140第8回 公認心理師国家試験 過去問

精神疾患とその治療-06 気分症:うつ病・双極症・気分変調・気分循環

34歳の女性A、看護師。身体のだるさと疲労感を訴え、健康相談室を訪れた。Aによると、3年前に病棟主任に昇進し、業務量が次第に増えた。2年ほど前から気分の落ち込みが続いている。病棟主任として、新人看護師の教育や病棟の環境整備には、やりがいを感じている。また、スタッフの間に不満がないか、常に気を配っており、職場の雰囲気も良い。その一方で、看護師長とスタッフとの関係調整や、勤務シフト作成のストレスは大きく、集中力が低下し、不安や動悸を感じることもある。今日の夕方には、担当患者の症例検討会が開かれるが、出席するかどうかを迷っている。食事や睡眠に問題はない。 ``` Aの病態の理解として、最も適切なものを1つ選べ。

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正解: 1


## 正答

1

## この問題のポイント

この問題では、長期間続く抑うつ気分がある一方で、食事や睡眠の大きな障害、著しい機能低下が目立たない事例から、**気分変調症**を判断することが問われています。

事例のキーワードは、「2年ほど前から気分の落ち込みが続いている」「やりがいは感じている」「食事や睡眠に問題はない」です。

## 解説

**気分変調症**は、現在の診断体系では持続性抑うつ障害に含まれる概念として理解されます。強い抑うつエピソードというより、慢性的に抑うつ気分が続く状態が特徴です。

Aは、病棟主任に昇進してから業務量が増え、看護師長とスタッフとの関係調整や勤務シフト作成に大きなストレスを感じています。2年ほど前から気分の落ち込みが続き、身体のだるさや疲労感、集中力低下もみられます。

一方で、新人看護師の教育や病棟の環境整備にはやりがいを感じており、職場の雰囲気にも配慮できています。食事や睡眠にも問題はありません。大うつ病性障害のような明確で重い抑うつエピソードよりも、慢性的な抑うつ状態として気分変調症が最も適切です。

> 産業・医療領域のポイント
> 看護師長とスタッフの間に立つ中間管理職では、役割葛藤、責任の増加、勤務調整、人間関係調整が大きな心理的負荷になります。病態理解と同時に、職場環境や役割負担の評価が重要です。

## 選択肢の確認

1.気分変調症
判定:最も適切。
Aは2年ほど前から気分の落ち込みが続いており、だるさ、疲労感、集中力低下もあります。一方で、食事や睡眠の問題はなく、仕事へのやりがいも一部保たれています。慢性的な抑うつ状態として気分変調症が最も適切です。

2.身体症状症
判定:適切とはいえない。
身体症状症では、身体症状そのものへの過度な不安やとらわれ、健康への強い心配が中心になります。Aは身体のだるさや疲労感を訴えていますが、中心は長期の気分の落ち込みと職場ストレスです。

3.全般不安症
判定:適切とはいえない。
全般不安症では、多くの出来事や活動について過剰な不安や心配が持続し、制御困難であることが中心です。Aには不安や動悸はありますが、主症状は2年続く気分の落ち込みであり、気分変調症がより適切です。

4.パニック障害
判定:適切とはいえない。
パニック障害では、予期しないパニック発作が反復し、発作への予期不安や回避がみられます。Aには動悸がありますが、突然の強い発作が反復する記載はありません。

5.大うつ病性障害
判定:適切とはいえない。
大うつ病性障害では、抑うつ気分、興味・喜びの低下、食欲や睡眠の変化、精神運動制止、希死念慮などが一定期間にまとまって強く出現します。Aは食事や睡眠に問題がなく、仕事へのやりがいも一部保たれているため、慢性的な気分変調症がより適切です。

## 覚えるポイント

* **気分変調症**は、慢性的に続く抑うつ気分が中心です。
* 大うつ病性障害は、より明確で重い抑うつエピソードとして整理します。
* 産業場面では、本人の症状だけでなく、役割負担、職場環境、支援体制を確認します。

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