9AM64第9回 公認心理師国家試験 過去問

精神疾患とその治療-09 摂食障害・食行動

10 歳の女児A、小学 4 年生。登校しぶりを心配した母親Bに伴われて教育相談室を訪れた。Bによると、Aは学習意欲が高く、以前は学校を楽しんでいたが、 1 か月ほど前から朝になると腹痛や頭痛を訴えることが増えている。家庭ではBを手伝い、衣類や食器を整然と並べることを好む。また、家族の予定が変わると不安になり、繰り返し確認することもある。元来、食べ物の好き嫌いは多かったが、 3 か月ほど前、給食で苦手な食材を友達から無理に食べさせられたことをきっかけに、食べ物全般への拒否感が出現した。その後、匂いや食感に敏感になり、食事の量が減少し、体重も低下しているという。  Aの病態の理解として、最も適切なものを 1 つ選べ。

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正解: 5

正答

5

この問題のポイント

この問題では、食物摂取の回避や制限が中心となる回避・制限性食物摂取症の理解が問われています。

A は、苦手な食材を無理に食べさせられた体験をきっかけに、食べ物全般への拒否感が出現し、匂いや食感への敏感さ、食事量の減少、体重低下がみられています。

解説

A は 10 歳の小学4年生です。もともと食べ物の好き嫌いが多く、予定変更に不安になりやすい、衣類や食器を整然と並べることを好むなど、こだわりや感覚過敏を示唆する特徴があります。

3か月ほど前、給食で苦手な食材を友達から無理に食べさせられたことをきっかけに、食べ物全般への拒否感が出現しました。その後、匂いや食感に敏感になり、食事量が減少し、体重も低下しています。

この病態は、回避・制限性食物摂取症として理解するのが最も適切です。回避・制限性食物摂取症では、食物への関心の乏しさ、感覚的特徴への回避、食べることによる嫌悪的結果への恐怖などによって、食物摂取が制限されます。その結果、体重減少、栄養不足、心理社会的支障などが生じます。

本事例では、体重低下はありますが、神経性やせ症で中心となる体重増加への強い恐怖や、体型・体重への認知の歪みは示されていません。そのため、神経性やせ症ではなく、回避・制限性食物摂取症が適切です。

事例問題で見るポイント
摂食の問題では、体重低下だけで判断せず、体型や体重へのこだわりがあるか、感覚過敏や嫌悪体験があるか、発達特性が関係するかを確認します。

公認心理師としての注意点
児童の食事量減少や体重低下がある場合、心理支援だけでなく、小児科、児童精神科、栄養士、学校、保護者との連携が重要です。

選択肢の確認

1.うつ病
判定:誤り。
うつ病では、抑うつ気分、興味や喜びの低下、睡眠や食欲の変化、疲労感、集中困難などがみられます。A には登校しぶりや身体症状はありますが、中心は苦手な食材を無理に食べさせられた後の食物摂取の回避、匂いや食感への敏感さ、体重低下です。うつ病が最も適切とはいえません。

2.強迫症
判定:誤り。
強迫症では、反復する強迫観念と、それに伴う不安を下げるための強迫行為が中心です。A には予定変更への不安や確認、整然と並べる傾向がありますが、主訴は食物摂取の回避と制限です。病態理解として最も適切なのは回避・制限性食物摂取症です。

3.社交不安症
判定:誤り。
社交不安症では、人前で否定的に評価されることへの強い恐怖や回避が中心です。A は学校場面での出来事をきっかけに登校しぶりを示していますが、中心は社交場面への評価不安ではなく、食べ物への拒否感、感覚過敏、食事量減少です。

4.神経性やせ症
判定:誤り。
神経性やせ症では、体重増加への強い恐怖、やせ願望、体型や体重に対する認知の歪みが重要です。A には体重低下がありますが、やせたいという願望や体型へのこだわりは示されていません。したがって最も適切ではありません。

5.回避・制限性食物摂取症
判定:最も適切。
回避・制限性食物摂取症では、感覚的特徴への過敏さ、食べることへの嫌悪体験や恐怖、食への関心の乏しさなどにより、摂食が回避・制限されます。A は苦手な食材を無理に食べさせられた体験後に食べ物全般への拒否感が出現し、匂いや食感への敏感さ、食事量減少、体重低下があるため、本問の病態理解として最も適切です。

覚えるポイント

  • 回避・制限性食物摂取症では、体型や体重へのこだわりではなく、食物回避や摂取制限が中心です。
  • 感覚過敏、嫌悪体験、食への関心の乏しさが関係することがあります。
  • 神経性やせ症では、体重増加への恐怖や体型への認知の歪みが重要です。
  • 児童の体重低下がある場合は、医療、家庭、学校との連携が必要です。

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