9AM63|第9回 公認心理師国家試験 過去問
26 歳の女性A、小学校教師。授業中の私語が多いことを悩んでいた。AがスクールカウンセラーBに相談したところ、学年主任と共に対応方法を検討することになった。Aによると、児童が私語をするたびに叱責しているが、私語が止むのは一瞬で、すぐにまた始まるという。Bも加わっての検討の結果、関係者への適切な倫理的配慮を行った上で実施する、次の取組を計画した。これによると、最初の 1 週間は 1 日当たりの「叱責回数」と「私語の回数」を記録する。次の 1 週間は、Aが叱責を控え、私語が止むまで黙って待ち、同様の記録を行い、私語に対する効果を検証する。 このような実践を説明する枠組みとして、最も適切なものを 1 つ選べ。
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正解: 5
正答
5
この問題のポイント
この問題では、教育現場での実践を評価する研究法として、シングルケース実験デザインが問われています。
1つの学級または事例に対して、介入前と介入後の行動を継続的に記録し、介入効果を検証している点が重要です。
解説
A は小学校教師で、授業中の私語が多いことに悩んでいます。児童が私語をするたびに叱責していますが、私語が止むのは一瞬で、すぐにまた始まっています。
スクールカウンセラー B と学年主任を含めて検討し、まず 1 週間、1日当たりの「叱責回数」と「私語の回数」を記録します。次の 1 週間は、A が叱責を控え、私語が止むまで黙って待ち、同じ記録を続けます。
このように、介入前の状態を記録し、その後に介入を導入して、同じ指標を継続的に測定する方法は、シングルケース実験デザインとして理解できます。
シングルケース実験デザインでは、少数の対象や1つの事例に対して、ベースラインと介入期を比較し、行動の変化を検討します。臨床、教育、福祉、応用行動分析の実践研究でよく用いられます。
事例問題で見るポイント
介入前に記録を取り、介入後にも同じ指標で記録し、変化を見る場合は、シングルケース実験デザインを考えます。
教育領域での注意点
学校で実践研究を行う場合は、児童の不利益を避けること、関係者への説明、同意、個人情報保護、記録の扱いなど倫理的配慮が必要です。
選択肢の確認
1.経験サンプリング法
判定:誤り。
経験サンプリング法は、日常生活の中で、一定のタイミングやランダムなタイミングに、その時点の感情、行動、状況などを繰り返し記録する方法です。本事例では、介入前後で私語と叱責の回数を比較しているため、シングルケース実験デザインが適切です。
2.ランダム化比較試験
判定:誤り。
ランダム化比較試験は、参加者を介入群と対照群に無作為に割り付け、介入効果を比較する研究デザインです。本事例では、無作為割付や複数群の比較は行われていません。
3.ケースコントロール研究
判定:誤り。
ケースコントロール研究は、結果が生じた群と生じていない群を比較し、過去の曝露要因などを検討する観察研究です。本事例のように、介入を導入して前後の行動変化を検証する枠組みではありません。
4.トランスレーショナル研究
判定:誤り。
トランスレーショナル研究は、基礎研究の知見を臨床や実践に橋渡しする研究を指します。重要な概念ですが、本事例の介入前後の記録に基づく実践評価を最も直接に説明する枠組みではありません。
5.シングルケース実験デザイン
判定:最も適切。
シングルケース実験デザインは、1つまたは少数の事例について、ベースライン期と介入期を設定し、同じ指標を継続的に測定して介入効果を検討する方法です。本事例の取組に合致します。
覚えるポイント
- シングルケース実験デザインは、少数事例で介入効果を検討する方法です。
- ベースライン期と介入期を設定し、同じ指標を継続的に測定します。
- 学校現場での実践研究では、倫理的配慮と関係者との合意が重要です。
- ランダム化比較試験は、無作為割付による群間比較を行う研究です。