9PM142|第9回 公認心理師国家試験 過去問
21 歳の女性A、大学生。Aは、昔から友人に裏切られることが多く、関係が長続きしないという主訴で学生相談室に通っている。Aによると、大学入学後、所属するサークルで出会った先輩Bに毎日のように相談していた。Aは、「Bさんは私のことを分かってくれる最高の先輩だ」と慕っていた。しかし、ある回の面接の前日、深夜にBに電話をしたところ、「時間が遅いから今は話せない」と断られたという。Aは面接室で、「Bさんは最低の人間です」と泣きながら訴え、強い憤りを示した。 この事例から読み取れるAの防衛機制として、最も適切なものを 1 つ選べ。
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正解: 3
正答
3
この問題のポイント
この事例では、対人関係における評価が極端に変化している点から、分裂を読み取ることが重要です。
Aは、先輩Bを「私のことを分かってくれる最高の先輩」と理想化していました。しかし、深夜の電話を断られた後には、「最低の人間」と評価が一気に反転しています。良い面と悪い面を統合できず、極端に分けて捉える防衛機制が分裂です。
解説
分裂は、対象や自己を「すべて良い」「すべて悪い」のように極端に分けて捉え、相反する側面を統合しにくい防衛機制です。対人関係では、相手を理想化したり、失望をきっかけに急にこき下ろしたりする形で現れることがあります。
この事例のAは、昔から友人に裏切られることが多く、関係が長続きしないという主訴で学生相談室に通っています。サークルの先輩Bに毎日のように相談し、Bを「最高の先輩」と強く理想化しています。しかし、深夜の電話を断られたことをきっかけに、Bを「最低の人間」と訴え、強い憤りを示しています。
ここでは、Bに良い面も悪い面もある一人の人間として捉えるのではなく、良い対象から悪い対象へと評価が極端に切り替わっています。そのため、分裂が最も適切です。
事例問題で見るポイント
防衛機制の問題では、本人の言動の変化に注目します。理想化から急激なこき下ろしへ変化する場合は、分裂を考えます。
選択肢の確認
1.退行
判定:適切とはいえない。
退行は、ストレスや葛藤に直面したときに、発達的により幼い段階の行動や反応に戻る防衛機制です。本事例では、幼児的な行動への後戻りよりも、Bへの評価が極端に反転している点が中心です。
2.否認
判定:適切とはいえない。
否認は、受け入れがたい現実を認めない防衛機制です。本事例では、Bに電話を断られた事実を否定しているのではなく、その出来事をきっかけにBへの評価が極端に悪い方向へ変化しています。
3.分裂
判定:最も適切。
分裂は、対象を良い面と悪い面をもつ存在として統合的に捉えられず、極端に良い対象または悪い対象として分けて捉える防衛機制です。AがBを「最高の先輩」から「最低の人間」へと急激に評価を変えた点に合っています。
4.抑圧
判定:適切とはいえない。
抑圧は、受け入れがたい欲求や記憶を意識から締め出す防衛機制です。本事例では、記憶や欲求が無意識に押し込められていることよりも、対人評価の極端な分裂が問題になっています。
5.反動形成
判定:適切とはいえない。
反動形成は、受け入れがたい感情や欲求とは反対の態度や行動を示す防衛機制です。たとえば、敵意を隠すために過度に親切に振る舞うような場合です。本事例では、反対の態度を取っているというより、相手を極端に良いか悪いかで捉えています。
覚えるポイント
- 分裂は、対象を「良い」「悪い」に極端に分けて捉える防衛機制です。
- 理想化とこき下ろしが急に入れ替わる場合、分裂を考えます。
- 否認は現実を認めないことです。
- 抑圧は受け入れがたい内容を意識から締め出すことです。
- 防衛機制は、本人の言動が何から身を守ろうとしているかを考えると判別しやすくなります。