36PM64|第36回 臨床工学技士国家試験 過去問
一酸化窒素吸入療法の有害事象として誤っているのはどれか。
解答・解説を見る
正解: 5
正答
5
公式正答は 5 です。正答内容は 体血管拡張による血圧低下 です。
この問題のポイント
吸入一酸化窒素(NO)は換気されている肺胞に届き、その周囲の肺血管を拡張します。肺を通過したNOは血液中のヘモグロビンに速やかに捕捉・失活されるため、選択的な肺血管拡張作用を示し、体血管拡張による低血圧は典型的な有害事象ではありません。
解説
吸入NOは肺血管平滑筋内で可溶性グアニル酸シクラーゼを活性化し、cGMPを増やして肺血管を拡張します。換気されている肺領域へ選択的に作用するため、肺動脈圧・肺血管抵抗を下げ、換気血流比を改善し得ます。一方、血液へ入ったNOはヘモグロビンと速やかに反応するため、通常は全身の体血管まで有効濃度で到達しにくく、体血管拡張性の血圧低下は本療法の典型的な有害事象ではありません。
実際に注意する有害事象には、メトヘモグロビン血症、NO₂による気道・肺傷害、急な中止後の反跳性肺高血圧があります。また、肺血管抵抗の低下で肺血流と左心系への流入が増えるため、左室機能不全が強い患者では肺うっ血・肺水腫が悪化し得ます。
選択肢の確認
選択肢1:左心不全の増悪
正しい有害事象です。 肺血管抵抗が低下すると肺血流と左心系への流入が増えます。左室が増加した流入を処理できない場合、左房圧が上がり、肺うっ血・肺水腫を悪化させることがあります。
選択肢2:メトヘモグロビン血症
正しい有害事象です。 NOとその反応生成物はヘモグロビン鉄をFe²⁺からFe³⁺へ酸化し、酸素運搬に寄与しないメトヘモグロビンを増加させ得ます。治療中は濃度を監視します。
選択肢3:中止後の肺動脈圧の上昇
正しい有害事象です。 吸入NOを急に中止すると肺血管収縮が反跳し、肺動脈圧上昇や酸素化悪化を来すことがあります。状態を監視しながら段階的に減量します。
選択肢4:二酸化窒素による気道損傷
正しい有害事象です。 吸入回路内でNOがO₂と反応すると有害なNO₂が生成されます。NO₂は濃度依存性に気道・肺を傷害し得るため、NOとNO₂の濃度を管理します。
選択肢5:体血管拡張による血圧低下
本問で求める誤った記述です。 吸入NOは肺通過後にヘモグロビンへ速やかに捕捉されるため、肺血管への選択性が高く、体血管拡張による低血圧は典型的ではありません。ただし、患者の状態や他の循環要因による血圧変動まで起こらないという意味ではありません。
覚えるポイント
- 吸入NOは「肺で作用し、血中ヘモグロビンで速やかに失活」と整理します。
- 監視すべき代表は、メトヘモグロビン、NO₂、反跳性肺高血圧です。
- 左室機能不全では、肺血流増加により肺うっ血が悪化し得ます。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。