113A081|第113回 歯科医師国家試験 過去問
17歳の女子。下顎左側臼歯部の痛みを主訴として来院した。検査の結果、智歯周囲炎と診断し、下顎左側第三大臼歯の抜歯を行うこととした。下顎孔伝達麻酔を施行後、やや多弁となり、その後けいれんを起こしたため、しばらく経過をみたがおさまらない。 その時の生体モニタの画面(別冊No. 32)を別に示す。 行うべき対応はどれか。1つ選べ。

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正解: a または b
正答
a 又は b
この問題のポイント
局所麻酔直後の多弁・けいれんは局所麻酔薬中毒の中枢神経興奮期を疑います。長引くけいれんでは酸素化と発作停止を同時に優先します。
解説
下顎孔伝達麻酔後すぐに多弁となり、その後持続するけいれんを起こしているため、局所麻酔薬の血管内誤注入などによる局所麻酔薬全身毒性〈LAST〉が考えられます。投与を中止し、応援要請、気道確保、高濃度酸素投与、換気補助を行います。けいれんが持続する場合はベンゾジアゼピン系などの鎮静薬で停止させます。厚生労働省はaとbのいずれも正解として扱う複数正解の取扱いを示しています。
画像の確認
実画像では、心拍数60/分、血圧128/88 mmHg、SpO₂ 97%、呼吸数16/分で、著明な低酸素、頻呼吸、低血圧、徐脈は示されていません。ただし持続する全身けいれんは換気・酸素消費を悪化させるため、現在値が保たれていても酸素投与と発作停止を遅らせてはいけません。
公式の取扱い
厚生労働省は複数の選択肢を正解とする問題として、a又はbのいずれかを選択した場合を正答として取り扱います。
選択肢の確認
a.酸素の投与
正しい。けいれん中の低酸素を予防し、気道・呼吸を確保する初期対応です。公式に受け入れられる正答です。
b.鎮静薬の投与
正しい。おさまらないけいれんをベンゾジアゼピン系薬などで停止させます。公式に受け入れられる代替正答です。
c.紙袋による再呼吸
誤り。過換気症候群への旧来の方法で、酸素低下や高二酸化炭素血症を招き得るうえ、局所麻酔薬中毒の治療ではありません。
d.副交感神経遮断薬の投与
誤り。アトロピンは症候性徐脈などで検討しますが、心拍60/分で持続するけいれんの第一対応ではありません。
e.トレンデレンブルグ体位への変換
誤り。低血圧・脳血流低下を示す偶発症への対応ではなく、気道管理を困難にする可能性があります。
覚えるポイント
麻酔直後の多弁・興奮→けいれんはLASTを疑う。ABC、酸素・換気、けいれん停止を優先し、本問はaまたはbの双方が公式正答です。
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