113B073|第113回 歯科医師国家試験 過去問
45歳の女性。下顎右側臼歯部のブラッシング時の痛みと食片圧入を主訴として来院した。支台歯のプロービング深さは全周3 mmである。診察の結果、補綴装置を新製することとした。初診時のブリッジ除去後の口腔内写真(別冊No. 25)を別に示す。 適切な補綴前処置はどれか。1つ選べ。

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正解: c
正答
c
この問題のポイント
支台歯周囲のポケットは浅い一方、欠損部・支台歯周囲で角化歯肉が不足しています。補綴装置を清掃しやすく安定して維持するため、遊離歯肉移植術で角化歯肉を増やします。
解説
遊離歯肉移植術では、一般に口蓋から上皮を含む移植片を採取し、角化歯肉が不足する受容床へ固定します。移植片が生着すると角化組織の幅と前庭の深さを確保でき、ブラッシング時疼痛を減らし、支台歯・ポンティック周囲のプラークコントロールを行いやすくします。
本例はプロービング深さが全周3 mmで、歯周ポケット除去を目的とする歯肉切除や掻爬の適応ではありません。根面被覆を目的とする側方移動弁とも目的が異なります。
画像の確認
実画像では下顎右側臼歯欠損部を挟む支台歯が露出し、欠損部頬側の可動性粘膜が歯槽頂近くまで及んでいます。角化歯肉帯と口腔前庭が乏しく、ブリッジ装着後の清掃環境を整えるために軟組織を増大する必要がある所見です。
選択肢の確認
a.歯肉整形術
誤り。歯肉の形態を整えるだけでは、不足した角化歯肉の幅を十分に増やせません。
b.歯肉切除術
誤り。深い歯周ポケットや歯肉増殖を切除する手術で、本例はプロービング深さ3 mmです。
c.遊離歯肉移植術
正しい。角化歯肉幅と前庭を増大し、清掃しやすい補綴周囲環境をつくります。
d.歯肉弁側方移動術
誤り。隣接部の歯肉弁を移動して限局性歯肉退縮を被覆する術式で、本例の広い角化歯肉不足への第一選択ではありません。
e.歯周ポケット搔爬術
誤り。炎症性ポケット内壁を除去する処置で、角化歯肉を増やすことはできません。
覚えるポイント
- 角化歯肉不足・浅い前庭→遊離歯肉移植術です。
- ポケットが浅ければ、切除療法ではなく粘膜歯肉の環境改善を考えます。
- 補綴前処置は装置の適合だけでなく、長期清掃性を高める目的があります。
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