113B081|第113回 歯科医師国家試験 過去問
57歳の男性。全身麻酔下に右側の下顎骨囊胞摘出術を行うこととした。麻酔導入後、気管挿管のために喉頭蓋を持ち上げた時点で心電図の変化を認めた。心電図と脈波の波形(別冊No. 31)を別に示す。 心電図異常の原因として考えられるのはどれか。1つ選べ。

解答・解説を見る
正解: d
正答
d
この問題のポイント
喉頭展開を契機に、それまで規則的だった心拍が急に著しく減少・停止しています。喉頭への機械刺激で迷走神経活動が高まり、徐脈ないし一過性心停止を起こしたと判断します。
解説
喉頭鏡で喉頭蓋周囲を刺激すると、上喉頭神経などを求心路とする反射が起こり、心臓への迷走神経性の副交感神経作用が急増することがあります。洞結節の自動能と房室伝導が抑制されるため、著明な徐脈、房室ブロック、時に一過性心停止を生じます。
本例では「喉頭蓋を持ち上げた時点」という明確な誘因と、心電図上の長い心拍休止が一致します。まず刺激を中止して酸素化・換気と循環を確認し、徐脈が持続して循環が不安定ならアトロピン投与などを検討します。
画像の確認
実画像の上段では、心電図のQRS波と脈波がほぼ一定間隔で対応しています。中段では18時13分19秒ごろから心電図が数秒間ほぼ平坦となり、それに続いて脈波も消失しています。その後は心電図と脈波が再出現しており、喉頭刺激に同期した一過性の著明な徐脈・心停止を示す波形です。
選択肢の確認
a.Cushing反射
誤り。頭蓋内圧亢進に伴う血圧上昇、徐脈、呼吸異常が中心で、喉頭展開直後という誘因に合いません。
b.眼球心臓反射
誤り。眼球圧迫や外眼筋牽引を三叉神経求心路として起こる徐脈で、本例では眼への操作がありません。
c.頸動脈洞反射
誤り。頸動脈洞への圧迫・伸展で徐脈と血圧低下を起こしますが、刺激部位は喉頭蓋です。
d.迷走神経反射
正しい。喉頭への機械刺激で迷走神経性抑制が強まり、一過性の著明な徐脈・心停止を起こします。
e.Bainbridge反射
誤り。静脈還流増加で右心房が伸展した際に心拍数を増加させる反射であり、本例の心拍休止とは逆です。
覚えるポイント
- 喉頭展開直後の徐脈・心停止=迷走神経反射をまず考えます。
- 心電図の電気活動停止に続いて脈波が消えることを確認します。
- Cushing反射は頭蓋内圧、眼球心臓反射は眼球、頸動脈洞反射は頸部刺激が誘因です。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。