113D051|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯周病学

75歳の女性。下顎左側第一大臼歯の咬合痛を主訴として来院した。昨夜食事時に自覚したという。初診時のエックス線画像(別冊No. 9A)と頰側歯頸部歯肉圧排時の口腔内写真(別冊No. 9B)を別に示す。歯周組織検査結果の一部を表に示す。 適切な処置はどれか。1つ選べ。

113D051の問題画像
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正解: e

正答

e

この問題のポイント

下顎第一大臼歯の一方の歯根に限局した病変と、その根に対応する頰舌側の深いポケットを認めます。健全側の歯根を保存し、病変根と対応歯冠を分割除去するヘミセクションが適応です。

解説

多根歯で病変が一根に限局し、残す歯根に十分な歯周支持と良好な根管治療が期待できる場合は、罹患根だけを除去して歯を保存できます。下顎大臼歯のヘミセクションでは、歯冠を根分岐部で近遠心的に分割し、病変のある歯根を対応する歯冠半分とともに除去します。残存根は補綴的に再設計し、清掃可能な形態と咬合負担を確保します。

本例は急な咬合痛に加え、遠心側に頰側7 mm・舌側8 mmの限局性深いポケットがあり、画像・直視所見も遠心根側の破折・病変を示します。根全体と歯冠側まで関係するため、根尖部だけを処置する方法では不十分です。歯根分離は両根を残す処置であり、罹患根の除去にはなりません。

画像の確認

実画像では、Aで補綴装置下の下顎左側第一大臼歯に二根が確認でき、遠心根周囲に根面に沿う透過性変化がみられます。表では遠心相当部のプロービング深さが舌側8 mm、頰側7 mmと局所的に深く、他部位との差が明瞭です。Bでは歯肉圧排下に歯質へ縦走する破折線様の暗線が露出しています。

選択肢の確認

a.根尖搔爬
誤り。
根尖周囲の病変組織だけを掻爬しても、歯根に沿う破折・感染源を除去できません。

b.歯根切除
誤り。
一般に歯冠を残して一根のみを切除する処置で、歯冠側まで分割除去すべき下顎大臼歯の本病態にはヘミセクションが適します。

c.歯根分離
誤り。
根分岐部で歯冠を分割して両方の根を残す方法であり、病変根そのものが残ります。

d.歯根尖切除
誤り。
根尖部のみを切除する術式で、歯根全長に関係する破折性病変を解決できません。

e.ヘミセクション
正しい。
病変根とそれに対応する歯冠半分を除去し、支持の保たれた反対側の根を保存します。

覚えるポイント

  • 下顎大臼歯の一根限局病変→ヘミセクションを検討します。
  • 深い孤立性ポケットは垂直性歯根破折の重要な手掛かりです。
  • 残す根の歯周支持、根管治療、補綴可能性、清掃性を術前に評価します。

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