113D054|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床歯内療法学

37歳の男性。上顎左側第一大臼歯の咬合時の疼痛を主訴として来院した。補綴装置の適合に問題はない。垂直打診に反応を示した。プロービング深さは全周3 mm以下であった。初診時のエックス線画像(別冊No. 10A)とCT(別冊No. 10B)を別に示す。 原因として最も考えられるのはどれか。1つ選べ。

113D054の問題画像
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正解: d

正答

d

この問題のポイント

根管治療済み上顎第一大臼歯に根尖症状があり、CBCTで根管充塡されていない追加根管を認めます。原因は未処置根管内に残った感染です。

解説

上顎第一大臼歯の近心頰側根には、第1近心頰側根管〈MB1〉に加えて第2近心頰側根管〈MB2〉が高頻度に存在します。MB2を探索・形成・洗浄できずに残すと、根管内細菌と壊死組織が感染源となり、補綴装置の適合が良好でも根尖性歯周炎が治癒しない、または再燃します。

垂直打診痛は根尖歯周組織の炎症を示し、全周3 mm以下のプロービング深さは垂直性歯根破折を積極的に示す孤立性深部ポケットがないことを意味します。二次元エックス線では根管の重なりで追加根管を見逃しやすいため、CBCT横断像で各根管と充塡材の有無を照合します。

画像の確認

実画像では、Aで上顎左側第一大臼歯に全部被覆冠と根管内ポスト・根管充塡像がみられますが、根管形態を二次元像だけで完全に分離することは困難です。BのCBCT横断像では根内に複数の円形根管断面が確認され、そのうち充塡材の高吸収像を欠く根管が残っています。上顎第一大臼歯で見逃しやすいMB2の残存を示す所見です。

選択肢の確認

a.根管穿孔
誤り。
穿孔部に対応する局所的な歯周組織破壊などの所見が示されず、CBCTでは追加根管の未充塡が問題です。

b.歯根破折
誤り。
全周のポケットは3 mm以下で、破折に特徴的な孤立性の深いポケットを認めません。

c.歯根の外部吸収
誤り。
根外形が不規則に失われる吸収像は示されていません。

d.未処置根管の残存
正しい。
CBCTで充塡されていない追加根管がみられ、内部に感染源が残っています。

e.歯冠漏洩〈コロナルリーケージ〉
誤り。
補綴装置の適合に問題がないと明記され、画像上も未処置根管という直接所見があります。

覚えるポイント

  • 上顎第一大臼歯で見逃しやすい根管=MB2です。
  • 根管治療後の症状では、補綴適合だけでなく全根管の処置状況を確認します。
  • CBCT横断像は重なった追加根管の検出に有用です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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