113D067|第113回 歯科医師国家試験 過去問
45歳の男性。口が開きにくいことを主訴として来院した。検査の結果、両側顎関節強直症と診断し、全身麻酔下に顎関節授動術を行うこととした。初診時の咬合時と最大開口時の口腔内写真(別冊No. 20)を別に示す。 気管挿管に有用なのはどれか。1つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
両側顎関節強直症で開口量が著しく制限されているため、通常の喉頭鏡を口から挿入して声門を見ることが困難です。細径で鼻腔からも進められる気管支ファイバースコープが有用です。
解説
顎関節強直症は関節内の骨性・線維性癒着によって下顎運動が制限され、重症例では数mm程度しか開口できません。全身麻酔導入後に換気や挿管ができなくなる危険があるため、困難気道を想定した計画が必要です。柔軟な気管支ファイバースコープは細く、鼻腔から咽頭・喉頭へ進め、声門を直視しながらあらかじめ通した気管チューブを気管内へ誘導できます。自発呼吸を保った覚醒下経鼻挿管も選択肢になります。
マッキントッシュ型喉頭鏡や多くのビデオ喉頭鏡はブレードを口腔内へ挿入する開口量が必要です。経口エアウェイは舌根沈下を防ぐ補助具で気管挿管器具ではなく、ラリンジアルマスクも口から挿入する声門上器具で、狭い開口では挿入困難かつ確実な気管挿管とは異なります。
画像の確認
実画像では、咬合時と最大開口時を比べても上下前歯間の開きがごくわずかで、最大開口時にも通常の喉頭鏡ブレードを挿入できる空間がありません。両側顎関節強直症による高度な開口障害を視覚的に確認でき、経口器具に依存しない細径ファイバースコープの必要性が分かります。
選択肢の確認
a.ビデオ喉頭鏡
誤り。
声門視認には優れますが、本例ではブレードを挿入する開口量自体が不足します。
b.経口エアウェイ
誤り。
上気道開存を補助する器具であり、気管内チューブを声門へ誘導するものではありません。
c.ラリンジアルマスク
誤り。
口腔から挿入する声門上器具で、著しい開口制限では装着が難しく、気管挿管そのものでもありません。
d.気管支ファイバースコープ
正しい。
細径で経鼻的にも使用でき、声門を観察しながら気管チューブを誘導できます。
e.マッキントッシュ型喉頭鏡
誤り。
口を大きく開けてブレードを挿入・展開する必要があり、本例には不向きです。
覚えるポイント
- 高度開口障害は「挿管困難」だけでなく「器具を口へ入れられない」問題です。
- 顎関節強直症ではファイバースコープを用いた経鼻挿管を検討します。
- 麻酔導入前に自発呼吸維持と代替気道確保手段を計画します。
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