113D069|第113回 歯科医師国家試験 過去問

歯科臨床保存修復学

55歳の男性。下顎左側第一小臼歯の変色を主訴として来院した。6か月前に気付いたが痛みがないためそのままにしていたという。検査の結果、コンポジットレジン修復を行うこととした。初診時の口腔内写真(別冊No. 22A)とエックス線画像(別冊No. 22B)を別に示す。 窩洞形成時に使用するのはどれか。2つ選べ。

113D069の問題画像
2つ選択
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正解: a・b

正答

a、b

この問題のポイント

病変が歯頸部から歯肉縁下へ及ぶため、窩洞形成時に歯肉を一時的に排除して視野と操作空間を確保します。圧排コードとガムリトラクターが有用です。

解説

歯頸部の齲蝕や旧修復物が歯肉縁に近い場合、歯肉が窩洞辺縁を覆うと切削範囲を確認できず、回転器具で歯肉を損傷したり、出血や滲出液で接着操作を妨げたりします。圧排コードは歯肉溝へ慎重に挿入し、歯肉を側方へ押し広げて辺縁を露出させます。ガムリトラクターはゴム状・器械的な歯肉排除具で、局所の歯肉を押し退けて形成時の視野と器具の安全な進入路を作ります。

本問が「窩洞形成時」を問う点が重要です。サービカルマトリックスやTofflemire型リテーナーは、形成後に修復材料を填塞して外形・接触点を作る段階で用います。Ivoryのシンプルセパレーターは歯間を一時的に離開する器具であり、歯肉縁下の頰側病変を直接露出させるものではありません。

画像の確認

実画像では、下顎左側第一小臼歯の頰側歯頸部に褐色の病変があり、歯肉が歯冠側へ入り込んで病変の根尖側辺縁を覆っています。エックス線画像では根尖部に明らかな透過像を認めず、局所の歯頸部病変へ保存修復処置を行う状況であり、形成時の歯肉排除が必要です。

選択肢の確認

a.圧排コード
正しい。
歯肉溝へ挿入して歯肉を側方へ圧排し、歯肉縁下の窩洞辺縁を露出します。

b.ガムリトラクター
正しい。
歯肉を機械的に排除し、切削時の視野確保と軟組織保護に役立ちます。

c.サービカルマトリックス
誤り。
歯頸部修復材料の賦形に用いるもので、窩洞を形成する段階の歯肉排除具ではありません。

d.Tofflemire型リテーナー
誤り。
マトリックスバンドを保持して隣接面修復を賦形する器具です。

e.Ivoryのシンプルセパレーター
誤り。
歯を一時的に離開する器具で、頰側歯肉を排除して病変を露出する目的には適しません。

覚えるポイント

  • 歯肉縁下の形成では、視野確保・止血・軟組織保護のため歯肉を圧排します。
  • 圧排コードとガムリトラクターは形成時、マトリックスは填塞・賦形時に使います。
  • 設問が示す処置の「段階」を読み分けます。

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