114B046|第114回 歯科医師国家試験 過去問
9歳の女児。全身麻酔下で腸骨移植による顎裂閉鎖術を行うこととした。セボフルランとレミフェンタニル塩酸塩を用いて麻酔を施行中、導尿バッグに赤褐色の尿を認めた。体温は30分間で2℃上昇し、動脈血液ガス分析で代謝性アシドーシスを認めた。この時の生体モニタ画面(別冊No. 13)を別に示す。 投与すべき薬物はどれか。1つ選べ。

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正解: e
正答
e
この問題のポイント
吸入麻酔中の急激な体温上昇、頻脈、呼気終末二酸化炭素分圧上昇、代謝性アシドーシス、ミオグロビン尿は悪性高熱症を示します。特異的治療薬はダントロレンです。
解説
悪性高熱症は、揮発性吸入麻酔薬やスキサメトニウムなどを契機として骨格筋細胞内のカルシウム濃度が異常に上昇し、持続的な筋代謝亢進を来す病態です。二酸化炭素産生増加、頻脈、筋強直、アシドーシス、高カリウム血症、急速な体温上昇、横紋筋融解を生じます。赤褐色尿はミオグロビン尿を疑わせます。
疑ったら誘発薬を中止し、100%酸素で過換気しながらダントロレンを速やかに静注します。同時に積極的冷却、アシドーシス・高カリウム血症・不整脈への対応、尿量確保を行い、再燃に備えて集中管理します。
画像の確認
実画像では、心拍数160/分の頻脈、呼気終末二酸化炭素分圧56mmHg、体温40.5℃が表示され、血圧は90/60mmHgです。高二酸化炭素血症と急激な高体温に、設問の代謝性アシドーシスと赤褐色尿を合わせると、悪性高熱症の緊急治療が必要です。
選択肢の確認
a.フルマゼニル
誤り。ベンゾジアゼピン受容体拮抗薬で、悪性高熱症には無効です。
b.ナロキソン塩酸塩
誤り。オピオイド受容体拮抗薬で、オピオイドによる呼吸抑制などに用います。
c.スガマデクスナトリウム
誤り。ロクロニウムなどのステロイド系筋弛緩薬を包接して拮抗する薬物です。
d.スキサメトニウム塩化物水和物
誤り。脱分極性筋弛緩薬で、悪性高熱症の誘発薬となるため投与してはいけません。
e.ダントロレンナトリウム水和物
正しい。骨格筋小胞体からのカルシウム放出を抑制する悪性高熱症の特異的治療薬です。
覚えるポイント
- 悪性高熱症の早期所見として原因不明のEtCO2上昇と頻脈が重要です。
- 治療の中心は誘発薬中止、100%酸素、ダントロレン投与です。
- 高体温だけを待たず、複数の所見から直ちに対応します。
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