114B057|第114回 歯科医師国家試験 過去問
59歳の女性。上顎左側第二小臼歯の冷水痛を主訴として来院した。昨夜食事時に破折したという。上顎左側第二小臼歯は歯髄電気診で生活反応を示した。診断をした結果、歯髄保存療法を行うこととした。初診時の口腔内写真(別冊No. 18A)、エックス線画像(別冊No. 18B)及びある処置時の口腔内写真(別冊No. 18C)を別に示す。 次に行うのはどれか。1つ選べ。

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正解: a
正答
a
この問題のポイント
歯冠破折・う蝕が歯肉縁下へ及ぶと、修復操作の視野、防湿、辺縁設定が得られません。生活歯髄を保存して確実に修復するため、まず歯肉切除で健全歯質と処置野を露出します。
解説
本例は歯髄電気診で生活反応があり、歯髄保存療法を予定しています。一方、破折・欠損部の歯頸側は歯肉縁下にあり、歯肉が窩洞へ入り込んでいます。このままでは感染歯質除去時の視認性が悪く、出血・滲出液によって接着操作も阻害されます。
そこで、歯周組織と生物学的幅径への影響を評価したうえで歯肉切除を行い、窩洞辺縁を露出させます。その後に感染歯質除去、露髄の有無に応じた覆髄、接着処理、修復へ進みます。MTAセメントは露髄など適応となる歯髄所見を確認してから用いる材料であり、この時点で一律に貼付しません。
画像の確認
実画像では、上顎左側第二小臼歯の咬合面から隣接面にかけて大きな破折・う蝕があり、エックス線画像でも歯冠部の欠損を認めます。処置時写真では歯頸側の欠損辺縁が歯肉縁下に位置し、歯肉が操作野へ入り込んでいるため、次に歯肉切除で辺縁を明示する必要があります。
選択肢の確認
a.歯肉切除
正しい。歯肉縁下の窩洞辺縁を露出し、感染歯質除去と防湿・接着操作ができる環境を作ります。
b.感染歯質の除去
誤り。必要な処置ですが、現段階では歯肉が辺縁を覆うため、先に操作野を確保します。
c.MTAセメントの貼付
誤り。直接覆髄などに用いますが、露髄の確認と感染歯質除去より前に貼付する処置ではありません。
d.ケミカルサージェリー
誤り。薬剤による歯肉圧排・止血だけでは、本例の歯肉縁下欠損を修復可能な形で十分に露出できません。
e.セルフエッチングプライマー処理
誤り。感染歯質除去と窩洞形成、止血・防湿を終えてから行う接着操作です。
覚えるポイント
- 歯肉縁下欠損では、視野、防湿、修復辺縁を確保する順序が重要です。
- 生活歯髄反応があれば、可能な範囲で歯髄保存を図ります。
- 接着処理は感染歯質除去と歯肉・出血の管理後に行います。
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