114B079|第114回 歯科医師国家試験 過去問
35歳の男性。下顎左側臼歯部の違和感を主訴として来院した。2年前から自覚していたがそのままにしていたという。診察と検査の結果、慢性歯周炎と診断し、歯周基本治療後に歯周外科治療を行うこととした。初診時の口腔内写真(別冊No. 28A)とエックス線画像(別冊No. 28B)を別に示す。再評価時の歯周組織検査結果の一部を表に示す。 下顎左側第一大臼歯に対する治療方針として考えられるのはどれか。2つ選べ。

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正解: a・b
正答
a、b
この問題のポイント
下顎第一大臼歯には根分岐部を横断する高度の骨吸収があり、再評価後も清掃困難な根分岐部病変が残っています。歯根分離またはトンネリングによって、根分岐部を清掃可能な形態にします。
解説
下顎大臼歯のIII度根分岐部病変では、頰舌的に病変が交通し、通常のスケーリング・ルートプレーニングだけでは根分岐部内を清掃できません。歯根分離は歯冠・歯根を近遠心に分割し、両根を独立した単根歯様に修復・管理する方法です。トンネリングは根分岐部を外科的に開放し、患者が歯間ブラシなどを通せる形態にします。
いずれも根の長さ・離開度、残存骨、動揺、う蝕リスク、歯内療法・補綴の可否、清掃能力を評価して選択します。近心根だけを抜去する根分割抜去は、一方の根に限局した保存不能病変がある場合の選択です。本例では近心根だけを失うべき限局性病変は示されていません。
画像の確認
実画像では、下顎左側第一大臼歯の根分岐部に明瞭な透過像があり、近遠心根間を横断する高度の骨欠損が示唆されます。再評価表でも同歯周囲に5〜6mmのポケットとプロービング時出血が残り、動揺度は1です。特定の一根だけを保存不能とする所見は提示されていないため、両根を利用しつつ清掃性を改善する歯根分離またはトンネリングが候補です。
選択肢の確認
a.歯根分離
正しい。近遠心根を分離し、根分岐部を清掃・修復しやすい形態にできます。
b.トンネリング
正しい。根分岐部を貫通させて開放し、患者が清掃できる通路を形成します。
c.近心根分割抜去
誤り。近心根のみが保存不能である所見はなく、両根を保存する方針が考えられます。
d.FGF-2製剤の応用
誤り。貫通した高度根分岐部病変は予知性の高い再生が難しく、本例の第一選択ではありません。
e.Widman改良フラップ手術
誤り。アクセスは得られますが、貫通した根分岐部を清掃可能な形態へ改善する処置ではありません。
覚えるポイント
- III度根分岐部病変は頰舌的に交通します。
- 歯根分離とトンネリングは、両根を残して清掃性を改善する方法です。
- 根切除は特定の根だけが保存不能な場合に検討します。
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