114B080|第114回 歯科医師国家試験 過去問
55歳の女性。上顎両側中切歯の咬合痛を主訴として来院した。昨夜転倒し、同部を強打したという。打診痛は軽度で、動揺は生理的範囲であった。プロービング深さは全周3mm以下で、歯髄電気診に生活反応を示さなかった。初診時の口腔内写真(別冊No. 29A)とエックス線画像(別冊No. 29B)を別に示す。 適切な対応はどれか。1つ選べ。

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正解: a
正答
a
この問題のポイント
受傷直後は歯髄神経が一時的に反応しなくなることがあり、歯髄電気診陰性だけで壊死とは診断できません。転位・異常動揺・根破折がない歯の震盪では経過観察します。
解説
歯の震盪は、外傷後に打診痛はあるものの、歯の転位や動揺度増加を伴わない歯周組織損傷です。本例は打診痛が軽度で、動揺は生理的範囲、プロービング深さも正常です。画像にも明らかな歯根破折や歯槽骨骨折を認めないため、固定や抜歯の適応ではありません。
外傷直後の歯髄電気診は、神経伝達の一過性障害により偽陰性となり得ます。歯髄壊死の診断は、期間を置いた複数回の感覚検査、歯冠色、症状、根尖部エックス線所見などを総合して行います。軟食と患歯への過度な咬合負担の回避を指導し、定期的に歯髄・歯周組織を再評価します。
画像の確認
実画像では、上顎両側中切歯に明らかな転位、歯冠破折、歯肉溝からの出血はみられません。エックス線画像でも歯根の連続性と歯槽骨が保たれ、根尖部に明らかな病変はないため、受傷翌日の電気診陰性のみで歯内療法を開始せず観察します。
選択肢の確認
a.経過観察
正しい。歯の震盪として、症状と歯髄生活反応を定期的に再評価します。
b.暫間固定
誤り。異常な動揺や転位がなく、固定を必要とする所見がありません。
c.抜髄
誤り。受傷直後の歯髄電気診陰性だけでは不可逆性歯髄炎や壊死を確定できません。
d.感染根管治療
誤り。歯髄壊死と根管感染を示す根拠がなく、現時点では適応になりません。
e.抜歯
誤り。歯根破折や保存不能な歯周組織損傷はなく、保存可能です。
覚えるポイント
- 震盪は打診痛を伴いますが、転位・異常動揺はありません。
- 外傷直後の感覚検査陰性は一過性の場合があります。
- 壊死の診断は継時的な検査と臨床・画像所見を総合します。
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