114C047|第114回 歯科医師国家試験 過去問
35歳の男性。下顎右側第一大臼歯の痛みを主訴として来院した。特記すべき既往歴はない。診察の結果、嘔吐反射が強いため静脈内鎮静下に抜髄処置を行うこととした。静脈路を確保したところ、咳をした後にJapan Coma Scaleが30となった。その時の生体モニタ画面(別冊No. 16)を別に示す。 投与すべき薬物はどれか。1つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
静脈路確保を契機とした意識低下に、著しい徐脈と血圧低下を伴う場合は迷走神経反射を考えます。循環を保てない症候性徐脈には、副交感神経作用を遮断して心拍数を増加させるアトロピンを用います。
解説
疼痛、恐怖、咳などを契機に迷走神経緊張が亢進すると、徐脈、末梢血管拡張、血圧低下から脳血流が低下し、失神や意識障害を生じます。処置を中止し、気道・呼吸・循環を評価して仰臥位で管理し、必要に応じ酸素投与や静脈路からの輸液を行います。高度の徐脈が持続して循環動態が不安定なら、アトロピンを投与します。
画像の確認
実画像では、生体モニタに心拍数28回/分、血圧89/57 mmHg、SpO2 96%が表示され、酸素化は保たれている一方で高度徐脈と低血圧を認めます。静脈路確保後の意識低下という経過を合わせると、迷走神経反射による症候性徐脈への緊急対応が必要です。
選択肢の確認
a.ニトログリセリン
誤り。狭心症に用いる血管拡張薬で、低血圧をさらに悪化させるおそれがあります。
b.リドカイン塩酸塩
誤り。局所麻酔薬または一部の心室性不整脈に用い、高度徐脈の第一選択ではありません。
c.ジルチアゼム塩酸塩
誤り。房室伝導と心拍数を抑えるため、本例の徐脈を悪化させます。
d.アトロピン硫酸塩水和物
正しい。ムスカリン受容体を遮断し、迷走神経性の高度徐脈を改善します。
e.デキサメタゾンリン酸エステルナトリウム
誤り。アレルギーや炎症に用いる副腎皮質ステロイドで、徐脈への即時治療薬ではありません。
覚えるポイント
- 意識低下では心拍数、血圧、SpO2を同時に読みます。
- 高度徐脈と低血圧を伴う迷走神経反射にはアトロピンを検討します。
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