116A045|第116回 歯科医師国家試験 過去問
10 歳の男児。上顎右側乳臼歯部の疼痛を主訴として来院した。先天性肺動脈狭 窄症と肺高血圧症を合併しており、1 年前に小児心臓外科でバルーン拡張術を受け ているという。初診時の血圧は100/58 mmHg、脈拍数88/分、SpO2 83 % であっ た。診察の結果、E の抜歯を行うこととした。患者の手の写真(別冊No. 10)を別 に示す。 抜歯前に投与すべき薬物はどれか。1 つ選べ。

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正解: d
正答
d
この問題のポイント
先天性心疾患をもつ小児の抜歯では、菌血症による感染性心内膜炎リスクと、重度低酸素血症を含む全身状態を評価します。
解説
本症例は先天性肺動脈狭窄症と肺高血圧症があり、SpO2 83%と著しい低酸素血症を認めます。手指写真は慢性低酸素血症に伴うばち指などを確認する資料と考えられます。
抜歯は菌血症を生じ得る観血的処置です。この症例では、感染性心内膜炎予防としてアモキシシリン水和物を抜歯前に投与します。ただし実臨床では、予防投与の適応は心疾患の種類、修復材料の有無、手術時期、残存短絡などによって限定されるため、担当小児循環器科へ確認します。
全身管理上の注意点
SpO2 83%は高リスクです。感染性心内膜炎予防だけでなく、処置場所、酸素、モニタリング、鎮静の可否を専門科と計画します。
画像の確認
実画像では、小児の手指末節がやや膨隆し、爪甲の湾曲が強いばち指様外観を示している。慢性低酸素血症を伴う先天性心疾患の高リスク背景を示す所見であり、観血的抜歯前の感染性心内膜炎予防としてアモキシシリンを選ぶ正答dにつながる。
選択肢の確認
a.ジアゼパム
誤り。
ジアゼパムは鎮静薬ですが、低酸素血症のある小児では呼吸抑制に注意が必要で、感染性心内膜炎予防薬ではありません。
b.アセトアミノフェン
誤り。
アセトアミノフェンは解熱鎮痛薬で、抜歯に伴う菌血症による感染性心内膜炎を予防しません。
c.ニカルジピン塩酸塩
誤り。
ニカルジピン塩酸塩は降圧薬であり、本症例の抜歯前予防投与薬ではありません。
d.アモキシシリン水和物
正しい。
アモキシシリン水和物は、設問条件における感染性心内膜炎予防の抗菌薬として抜歯前に投与します。
e.アトロピン硫酸塩水和物
誤り。
アトロピン硫酸塩水和物は徐脈や迷走神経反射などで用いますが、感染性心内膜炎予防薬ではありません。
覚えるポイント
- 観血的歯科処置では感染性心内膜炎リスクを評価します。
- 本問の正答は抜歯前のアモキシシリンです。
- 実臨床の適応は心疾患の詳細を専門科へ確認します。