117A082|第117回 歯科医師国家試験 過去問
80 歳の女性。歯肉からの出血を主訴として来院した。1 週前から症状を自覚し ているという。現在、強い全身倦怠感を自覚し、体温は37.9℃である。初診時の 口腔内写真(別冊No. 29)を別に示す。血液検査結果を表に示す。 赤血球数:263 万/μL 白血球数:28,000/μL 血小板数:35,000/μL TP :7.7 g/dL Alb :4.3 g/dL LDH :741 IU/L(基準値120~220 IU/L) CRP :2.4 mg/dL PT :11 秒(基準値10~12 秒) APTT :33 秒(基準値24~39 秒) 適切な対応はどれか。1 つ選べ。

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正解: e
正答
e
この問題のポイント
発熱、強い倦怠感、貧血、著明な白血球増加、血小板減少、LDH高値から、血液疾患を疑って緊急に医科へつなげます。
解説
赤血球263万/μLは貧血、白血球28,000/μLは著明な増加、血小板35,000/μLは高度減少を示します。さらにLDH高値、発熱、全身倦怠感、歯肉出血があり、急性白血病などの造血器疾患が疑われます。
PTとAPTTが基準範囲であることから、出血の主因は凝固因子異常より血小板減少が考えられます。侵襲的歯科処置を行わず、内科・血液内科へ速やかに対診します。
全身管理上の注意点
感染と出血の双方が重症化し得ます。スケーリングなどの観血的処置を先に行ってはいけません。
画像の確認
実画像では、上下顎歯肉に広範な暗赤色腫脹、壊死様の黒色部、血餅を伴う著しい出血が見える。局所処置を先行できる像ではなく、血小板3.5万/µL、白血球増加、貧血などの検査値と合わせて内科主治医へ対診する正答eを支持する。
選択肢の確認
a.抗菌薬の投与
この時点で最優先ではありません。
感染を伴う可能性はありますが、原因不明の血球異常が著明であり、歯科で抗菌薬だけを開始する対応では不十分です。
b.口腔清掃指導
この時点で最優先ではありません。
口腔清掃指導は将来的に必要ですが、まず重篤な全身疾患の診断と治療を優先します。
c.スケーリング
行いません。
血小板35,000/μLで出血リスクが高く、原因確定前にスケーリングを行うべきではありません。
d.止血剤の全身投与
根本的対応ではありません。
止血剤投与だけでは血小板減少と疑われる造血器疾患の原因治療になりません。
e.内科主治医への対診
正答。最優先です。
急性白血病などを疑い、内科・血液内科へ緊急に対診します。
覚えるポイント
- 歯肉出血+発熱+汎血球系異常では血液疾患を疑います。
- 血小板減少ではPT・APTTが正常でも出血します。
- 侵襲的処置を避け、緊急対診します。