117C053|第117回 歯科医師国家試験 過去問
4 歳の男児。前歯の変色を主訴として来院した。1 年前に室内で転倒して前歯部 を打撲し、上顎右側乳中切歯は完全脱落したが、そのままにしていたという。2 歳 ころから親指を口に入れる癖があるという。A の動揺度は1 度である。初診時の 口腔内写真(別冊No. 20A)とエックス線画像(別冊No. 20B)を別に示す。 保護者への説明で適切なのはどれか。3 つ選べ。

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正解: a・c・e
正答
a、c、e
この問題のポイント
乳歯外傷では、受傷歯の歯髄・根尖状態、後継永久歯への影響、口腔習癖を保護者へ説明します。
解説
変色した乳前歯に動揺や根尖病変が疑われる場合、歯髄壊死と感染の有無を評価し、保存可能なら感染根管治療を行います。乳歯外傷は発育中の永久歯胚に近接しているため、後継永久歯にエナメル質の変色や形成不全が生じることがあります。
4歳で持続する吸指癖は上顎前歯の唇側傾斜、前歯部開咬、上顎歯列弓狭窄などに関与するため、中止へ向けた働きかけが必要です。脱落した乳中切歯に固定式装置を直ちに入れる必要はなく、永久中切歯の萌出もすぐではありません。
小児歯科のポイント
乳歯外傷では乳歯の保存だけでなく、永久歯胚への損傷と長期経過観察を説明します。画像の根尖・歯胚所見は問題画像で確認します。
画像の確認
実画像では、上顎右側乳中切歯が欠損し、左側乳中切歯は褐色に変色して開咬もみられる。X線像では変色歯根周囲の病変と後継永久歯胚が近接しており、根管治療、指しゃぶり中止、後継歯変色の可能性を説明する正答a・c・eに対応する。
選択肢の確認
a.「左上の前歯は根の治療が必要です」
正答。適切です。
左上前歯は外傷後の変色と所見から歯髄感染が疑われ、根管治療の必要性を説明します。
b.「前歯に固定式の装置を入れましょう」
この条件では適切ではありません。
乳前歯の欠損に対し、直ちに固定式装置を装着することが標準的対応ではありません。
c.「指しゃぶりはやめた方が良いでしょう」
正答。適切です。
長期の指しゃぶりは不正咬合の原因となるため、中止を促します。
d.「すぐ永久歯が生えてくるので心配いりません」
この条件では適切ではありません。
4歳では永久中切歯の萌出まで時間があり、外傷後の乳歯と永久歯胚を継続観察する必要があります。
e.「永久歯の前歯には変色がみられるかもしれません」
正答。適切です。
乳歯外傷により発育中の後継永久歯に変色や形成異常が生じる可能性があります。
覚えるポイント
- 乳歯変色は歯髄壊死の可能性を評価する。
- 乳歯外傷は後継永久歯の形成に影響し得る。
- 4歳以降も続く吸指癖は不正咬合に注意する。