118C076|第118回 歯科医師国家試験 過去問
61 歳の女性。上顎右側犬歯の歯肉腫脹を主訴として来院した。1 か月前から自 覚していたがそのままにしていたという。初診時の口腔内写真(別冊No. 32A)と エックス線画像(別冊No. 32B)を別に示す。歯周組織検査結果の一部を表に示す。 唇 側* 3 2 3 3 ⑧ 3 3 3 3 歯 種 5 3 2 口蓋側* 3 3 3 3 3 3 3 3 3 動揺度** 0 1 0 * :プロービング深さ(mm) 〇印:プロービング時の出血 ** :Miller の判定基準 原因として考えられるのはどれか。2 つ選べ。

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正解: a・b
正答
a、b
この問題のポイント
限局した歯肉腫脹と1か所だけの深い歯周ポケットでは、通常の歯周炎だけでなく歯根破折と歯内疾患の波及を疑います。
解説
上顎犬歯の唇側中央部に8 mmの孤立した深いポケットがあり、他の測定部位はおおむね3 mmです。このような限局性の深いポケットは、破折線に沿って感染が進む歯根破折の重要な手掛かりです。
また、根尖部に感染が存在する根尖性歯周炎では、炎症が歯根膜・歯槽骨を介して歯肉へ波及し、腫脹や瘻孔を形成することがあります。画像では根尖透過像、破折線、歯根周囲のJ字状透過像、修復物や根管治療歴を確認します。
鑑別のポイント
全周性の深いポケットは歯周炎を、狭く孤立した深いポケットは歯根破折や歯内歯周病変を強く疑います。
画像の確認
実画像Aでは上顎右側犬歯部歯肉に限局した腫脹があり、Bでは根管処置歯の根尖周囲から歯根側面へ連なる透過像を認める。唇側中央だけ8 mmという孤立性ポケットも合わせると、歯根破折と根尖性歯周炎を原因として選ぶa、bを支持する。
選択肢の確認
a.歯根破折
正しい。歯根破折では破折線に沿って限局性の深い歯周ポケットが形成され、歯肉腫脹や排膿を生じることがあります。
b.根尖性歯周炎
正しい。根尖性歯周炎が根尖部から歯周組織へ波及すると、歯肉腫脹や瘻孔形成の原因になります。
c.歯肉縁下歯石
誤り。歯肉縁下歯石は歯周炎の原因となりますが、1か所だけ8 mmという孤立した深いポケットと画像所見を説明する主要因ではありません。
d.頰小帯付着異常
誤り。頰小帯付着異常は歯肉退縮や清掃困難に関係しますが、犬歯部の深い孤立性ポケットと腫脹の原因ではありません。
e.二次性咬合性外傷
誤り。二次性咬合性外傷は支持組織が減少した歯に過大な咬合力が加わる病態で、動揺を増悪させますが、限局性腫脹の直接原因ではありません。
覚えるポイント
- 孤立した深いポケットでは歯根破折を疑います。
- 根尖性歯周炎は歯肉腫脹や瘻孔を形成することがあります。
- 歯周検査と歯髄診断、エックス線・CTを組み合わせます。