118D040|第118回 歯科医師国家試験 過去問
9 歳の女児。上下顎右側歯槽部の膨隆を主訴として来院した。6 か月前から保護 者が膨隆に気付いていたが自発痛の訴えはなく、徐々に下顎前歯の傾斜が強くなっ てきたという。初診時の口腔内写真(別冊No. 14A)、エックス線画像(別冊No. 14 B)、CT(別冊No. 14C)及びH-E 染色病理組織像(別冊No. 14D)を別に示す。 まず行うのはどれか。2 つ選べ。

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正解: a・b
正答
a、b
この問題のポイント
小児の大きな顎骨嚢胞性病変では、永久歯胚や顎骨成長を温存するため、まず開窓術で内圧を下げ、原因・関連する乳歯を抜去することがあります。
解説
9歳で広範な膨隆と歯の偏位を認めるため、侵襲を抑えた初期治療が重要です。開窓術は嚢胞腔を口腔内へ開放して減圧し、病変縮小と周囲骨の新生を促します。関連する乳歯を抜去して開窓部を確保し、後継永久歯の萌出を待つことがあります。
摘出搔爬や区域切除は病変の種類・縮小後の状態に応じて検討しますが、成長期の初期治療としては侵襲が大きくなります。
画像の確認
実画像Aでは上下顎右側歯槽部が著しく膨隆し、前歯の萌出・配列も乱れている。B・Cでは未萌出永久歯に近接する大きな境界明瞭な透過性病変と皮質骨の菲薄化がみられ、Dでは薄い非角化性上皮で裏装された囊胞壁が確認できる。小児の大きな顎囊胞であるため、まず開窓して減圧し、病変に関係する乳歯を抜去して永久歯と顎骨を温存する。
選択肢の確認
a.開窓術
正答。まず行います。
開窓術は病変内圧を下げ、周囲骨の新生と病変縮小を促すため、成長期の初期治療に適します。
b.乳歯抜去
正答。まず行います。
関連する乳歯の抜去は開窓部の確保や感染源除去につながり、永久歯胚の保存を図れます。
c.摘出搔爬術
この時点でまず行う処置ではありません。
摘出搔爬術は根治的ですが、広範病変では永久歯胚や神経・顎骨成長への侵襲が大きく、まず行う処置ではありません。
d.上顎洞根治術
この時点でまず行う処置ではありません。
上顎洞根治術は上顎洞疾患に対する術式で、上下顎歯槽部の嚢胞性病変の初期治療ではありません。
e.下顎区域切除術
この時点でまず行う処置ではありません。
下顎区域切除術は悪性または侵襲性の強い病変で検討する大きな手術で、小児の保存的初期治療としては過大です。
覚えるポイント
- 小児の広範嚢胞では開窓・減圧を優先します。
- 永久歯胚と顎骨成長をできるだけ温存します。
- 病変縮小後に追加治療の要否を再評価します。