33PM104第33回 柔道整復師国家試験 過去問

柔道整復理論・外傷学脱臼・小児肘肩鎖関節脱臼

72歳の女性。5日前にベッドから転落し、床で右肩を強打した。右肩外上部の腫脹と皮下出血斑に気付き来所した。右肩関節の挙上は疼痛のため困難である。後日、医科で撮影した単純エックス線写真を別に示す。正しいのはどれか。

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正解: 4

正答

4

この問題のポイント

この問題では、右肩外上部を強打した後の腫脹、皮下出血斑、肩関節挙上困難と、単純エックス線写真から肩鎖関節脱臼を考えます。

画像では、右肩鎖関節部で鎖骨遠位端が肩峰に対して上方へ転位している所見がみられます。これは肩鎖関節脱臼を疑う重要な画像所見です。

肩鎖関節脱臼では、損傷の程度が強いと肩鎖靱帯だけでなく、烏口鎖骨靱帯の断裂を伴います。したがって、正しいのは4です。

解説

肩鎖関節は、鎖骨遠位端と肩峰で構成される関節です。肩外側部を直接強打した場合、肩甲骨側が下方へ押し下げられ、相対的に鎖骨遠位端が上方へ突出するような外観を示すことがあります。

この症例では、ベッドから転落して右肩を強打し、右肩外上部の腫脹と皮下出血斑、肩関節挙上困難がみられています。画像でも、肩鎖関節部で鎖骨遠位端の上方転位が確認できるため、肩鎖関節脱臼を考えます。

肩鎖関節の安定性には、主に次の靱帯が関係します。

  • 肩鎖靱帯
  • 烏口鎖骨靱帯

烏口鎖骨靱帯は、円錐靱帯菱形靱帯からなり、鎖骨と肩甲骨の烏口突起をつないでいます。肩鎖関節脱臼が高度になると、この烏口鎖骨靱帯が断裂し、鎖骨遠位端の上方転位や烏口鎖骨間距離の拡大が目立ちます。

図で見るポイント
この画像では、右肩鎖関節部を確認します。鎖骨遠位端が肩峰より上方へ転位しているか、肩鎖関節の開大があるか、烏口鎖骨間距離が拡大していないかを順に見ます。

施術現場での注意点
肩外上部の腫脹、皮下出血、鎖骨遠位端の突出がある場合は、肩鎖関節脱臼や鎖骨遠位端骨折を疑います。疼痛の増悪、皮膚の緊張、末梢循環、知覚、運動を確認し、医科での画像評価につなげることが重要です。

選択肢の確認

1.頸静脈が怒張する。
誤り。
頸静脈怒張は、胸腔内や縦隔の圧迫、心タンポナーデ、上大静脈系の還流障害などで問題になる所見です。肩鎖関節脱臼の典型所見ではありません。胸鎖関節後方脱臼では縦隔圧迫を考えることがありますが、この画像は肩鎖関節部の損傷を示しています。

2.腋窩神経麻痺を合併する。
誤り。
腋窩神経麻痺は、肩関節前方脱臼や上腕骨外科頸骨折で特に注意する合併症です。肩鎖関節脱臼でも神経・血管の確認は必要ですが、この症例で最も重要な合併として問われているものではありません。

3.保存療法で予後は良好である。
誤り。
軽度の肩鎖関節損傷であれば保存療法が選択されることはあります。しかし、画像のように鎖骨遠位端の上方転位が目立つ場合は、烏口鎖骨靱帯断裂を伴う高度損傷を考える必要があります。常に保存療法で予後良好と判断するのは不適切です。

4.烏口鎖骨靱帯の断裂を考慮する。
正しい。
肩鎖関節脱臼では、損傷が高度になると肩鎖靱帯だけでなく烏口鎖骨靱帯も断裂します。画像で鎖骨遠位端の上方転位がみられるため、烏口鎖骨靱帯の断裂を考慮する必要があります。

覚えるポイント

  • 肩外上部を強打した後の腫脹、皮下出血、鎖骨遠位端の突出では肩鎖関節脱臼を疑います。
  • 画像では、肩鎖関節の開大鎖骨遠位端の上方転位を確認します。
  • 肩鎖関節脱臼の高度損傷では、烏口鎖骨靱帯の断裂を考えます。
  • 烏口鎖骨靱帯は円錐靱帯菱形靱帯からなります。
  • 腋窩神経麻痺は、肩関節前方脱臼や上腕骨外科頸骨折で特に重要です。
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