113C35|第113回 医師国家試験 過去問
45歳の男性。造船所でアーク溶接作業に従事している。本日、午前11時ころ、作業場が暑かったので、保護具を外して汗をぬぐってしまい、溶接時に発生する光に曝露したという。特に自覚症状はなく、その後の作業にも差し障りはなかったが、念のためにと同じ作業場の同僚が気遣い、昼食後、午後2時に同僚とともに医務室を訪れた。意識は清明。眼球結膜に軽度充血を認める。視野は良好。眼や耳の痛みは訴えていない。瞳孔、口腔粘膜および皮膚に異常を認めない。 対応として適切なのはどれか。
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正解: e
正答
e 眼科医への紹介受診を勧める。
この問題のポイント
アーク溶接の紫外線は、曝露後数時間の潜伏期を経て角結膜障害を起こし得る。無痛の時点でも安全とは断定できない。
解説
保護具を外した状態で溶接の光に曝露し、約3時間後の受診では痛みがなくても軽い結膜充血がある。アーク光の紫外線による**電気性眼炎〈紫外線角膜炎〉**では、角膜上皮が障害され、曝露から数時間たって強い眼痛、流涙、羞明、異物感、開眼困難などが現れることがある。そのため、症状が軽いという理由で問題ないと説明して帰すのは適切でない。
眼科で視力や角膜上皮障害などを評価してもらい、症状が遅れて出る可能性を伝える。意識や循環・呼吸は安定しており、この情報だけで救急車を要請する緊迫した全身状態ではない。暑い作業環境という情報に引きずられて熱中症への対応だけで済ませず、曝露物が何で、どの臓器に作用するかを考える。再発予防には適切な遮光保護具の確実な使用が必要である。
選択肢の確認
a 問題ないと伝える。
誤り。紫外線による眼障害は遅れて症状が現れるため、曝露3時間後に無痛でも問題なしとはいえない。
b 救急車を要請する。
誤り。全身状態は安定し、急激な視力低下なども示されていない。まず適切な眼科受診を手配する。
c 水分を経口摂取させる。
誤り。水分補給は暑熱環境で重要だが、本例で問題となる紫外線による角膜障害を評価・治療する対応にはならない。
d 呼吸機能検査を勧める。
誤り。溶接ヒューム曝露では呼吸器障害も問題になるが、本例の直接の出来事は無防備な眼への光曝露である。
e 眼科医への紹介受診を勧める。
正しい。角結膜障害の評価と必要な治療を受けられるよう、眼科への紹介受診を勧める。
覚えるポイント
- 紫外線角膜炎は数時間後に強い眼痛が出現することがある。
- 職業曝露は原因と標的臓器を結びつける。
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