28PM19第28回 精神保健福祉士国家試験 過去問

新カリキュラム(第27・28回)専門科目精神保健福祉の原理

ある日、精神科病院に勤務するA精神保健福祉士は、週明けに行われた担当病棟の看護部の申し送りで、3か月前に入院した患者Bさん(30代、男性)の祖父が亡くなったことを知った。Bさんは幼い時に両親が離婚し、その後は母親の実家で育てられ、祖父を大変慕っていた。先週末に母親から病棟スタッフへ電話があり「本来はBも葬儀に参列するべきであるが、祖父が亡くなったことへのショックや、慌ただしい葬儀への立会いの負担が病状に影響を与えるかもしれず、家族としても対応を決めかねている」とのことであった。そこで両者で検討の末、ようやく病状が落ち着いてきたBさんには、今は知らせずに葬儀を執り行うことを決定したとのことであった。申し送りでその報告を聞いたA精神保健福祉士は、家族の気持ちは理解できるものの、一連の対応に何か釈然としないものを感じた。 次のうち、Bさんに対する周囲の一連の対応を象徴するものとして、適切なものを1つ選びなさい。

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正解: 1

正答

1

この問題のポイント

本人の利益を守る意図であっても、本人の意思を確認せず周囲が決定を代行する対応はパターナリズムです。善意と自己決定の侵害を見分けます。

解説

Bさんに祖父の死を知らせず葬儀への参加もさせない決定を、家族と病棟スタッフが本人抜きで行っています。病状への負担を心配する意図は理解できますが、本人が祖父との別れをどう受け止め、何を望むかを確認せず、周囲が「本人のため」と決めています。これは父権主義とも訳されるパターナリズムを象徴します。必要な支援は、主治医を含むチームで安全面を評価しつつ、本人に理解できる形で情報を伝え、希望を聴き、参列方法や別れの機会を一緒に検討することです。診断名だけで意思決定能力を否定しません。

選択肢の確認

1.パターナリズム
正答。適切です。本人の利益を理由に、本人の意思確認なしで周囲が決定しています。

2.マルトリートメント
誤り。虐待や不適切な養育・取扱いを広く表す概念ですが、設問の中心は善意による決定代行です。

3.インスティテューショナリズム
誤り。施設生活への過度な適応や主体性の低下など施設化の問題を指し、この決定の構造とは異なります。

4.施設コンフリクト
誤り。施設が地域や関係者との間で生じさせる対立を指す概念で、本人抜きの決定ではありません。

5.イネイブリング
誤り。依存に関連する行動の継続を結果的に可能にする周囲の関わりを指します。

覚えるポイント

「本人のため」という善意だけでは自己決定の省略を正当化できません。情報提供、意思形成支援、意思表明支援を行い、必要な制限は最小限にします。

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