109Q316|第109回 薬剤師国家試験 過去問
87 歳男性。独居。日常生活に不安があるとのことで、近所に住んでいる娘 が相談のため健康サポート薬局を訪れた。娘によると、男性の身体状態は比較的安 定しているが、自宅は衣服が脱ぎっぱなしで、ゴミが散乱するなど以前より雑然と しているとのこと。さらに、薬の飲み忘れがあり、同じことを何度も繰り返し話 す、受診日を忘れることがあるとのことだった。1 年ほど前に医師からは認知機能 の低下が疑われると言われている。現時点でこの男性は要介護認定(要支援を含 む)を取得していない。 薬剤師がこの時点で家族や関係者に提案可能な内容として適切なのはどれか。2 つ選べ。
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正解: 1・4
正答
1・4
この問題のポイント
認知機能低下と生活管理の悪化が疑われます。再評価を医師へ依頼し、家族を孤立させない社会的支援へつなぎます。
解説
同じ話の反復、受診日・服薬の忘れ、住環境の悪化は認知症や軽度認知障害、うつ、せん妄、身体疾患等を評価すべき徴候です。薬剤師は情報を整理し、かかりつけ医または物忘れ外来で認知機能と可逆的原因を改めて評価するよう提案できます。認知症の家族会や地域包括支援センターを紹介し、介護経験、相談窓口、見守り等の情報へつなぐことも有用です。低下した認知機能を完全に元へ戻す薬があるとは説明できません。徘徊・転倒リスクだけを理由とする身体拘束は尊厳と機能を損ない、切迫性等の厳格な要件なしに行いません。セント・ジョーンズワートは認知症治療薬でなく相互作用も多い薬草です。
選択肢の確認
1.父親の行動について、医師に改めて認知機能の検査をしてもらうように提案し た。:正答。原因と程度の再評価が必要です。
2.低下した認知機能を元に戻す薬があるので、医師に相談するよう提案した。:完全に元へ戻すと説明できる薬はありません。
3.認知症の進行とともに徘徊や転倒のリスクも増大するので、ベッドに拘束して 身体活動を抑制するように伝えた。:安易な身体拘束は不適切です。
4.認知症の家族会を紹介し、同じような問題を抱えている方の助言を聞いてみて はどうかと提案した。:正答。家族支援につながります。
5.物忘れ防止のために、セント・ジョーンズワートの服用を勧めた。:有効性の根拠がなく相互作用にも注意します。
覚えるポイント
認知症支援は診断・服薬だけでなく、住環境、家族負担、地域資源を一緒に評価します。