第108回
108AM020|第108回 保健師国家試験 過去問
保健師が行う看護管理機能の種別と実施内容の組合せで正しいのはどれか。
解答・解説を見る
正解4
正答
4.事例管理 ― サービスの質と量の評価
この問題のポイント
保健師の看護管理機能(公衆衛生看護管理)の種別ごとに、何を対象にどのような活動を行うかを問う問題です。事例管理は個人・家族への支援、地区管理は担当地区と地域診断、人事管理は職員、予算管理は経費、情報管理は情報の収集・活用と保護、というように管理の対象で整理すると判別できます。
解説
保健師の看護管理機能とは
保健師の活動は、個人・家族への支援から担当地区での活動、保健事業の企画・運営、組織内外との連携まで幅広い範囲に及びます。これらを効果的かつ効率的に進めるための管理を公衆衛生看護管理とよびます。教科書では一般に、次のような機能に整理されています。
- 事例管理:個人・家族への支援の過程(アセスメント、計画、実施、評価)を管理する
- 地区管理:担当地区の健康課題を地域診断で把握し、地区活動を計画・評価する
- 事業・業務管理:保健事業を企画・実施・評価し(PDCAサイクル)、業務量の把握や分担を行う
- 組織運営管理:組織の目標設定、体制づくり、部署間や関係機関との連携を行う
- 予算管理:事業経費の見積もり、予算要求、執行管理、決算を行う
- 人事管理・人材育成:職員の配置、異動、業務分担、勤務管理と、現任教育や研修による育成を行う
- 情報管理:情報の収集・分析・活用、記録の管理、個人情報の保護、情報発信を行う
- 健康危機管理:平常時の備え、発生時の対応、回復期の支援を行う
これらの管理は管理職だけが担うものではありません。新任期の保健師も、自分が担当する事例や地区について事例管理・地区管理を担っています。
事例管理の中身
事例管理は、個別の支援を計画し、実施し、評価して見直す一連の管理です。具体的には、多数の事例のなかで支援の優先度や緊急度を判断すること、支援計画を立てること、関係機関との役割分担を調整すること、記録を整えること、支援の継続・終結を判断することが含まれます。そして、提供された支援やサービスが対象者のニーズに見合った質と量であったかを評価することも中核的な内容です。
たとえば養育支援が必要な家庭であれば、訪問の頻度は足りていたか、家事援助や保育サービスは過不足なく利用できていたか、複数機関の支援が重複したり抜け落ちたりしていないか、支援によって状況が改善したかを評価します。その結果を計画の見直しにつなげます。
事業・業務管理でも「サービスの質と量」を評価しますが、その場合の対象は事業全体(実施回数、参加者数、成果など)です。事例管理では、個々の対象者に提供された支援を評価します。本問の組合せは、この事例管理の内容として成立します。
判断の進め方
各選択肢の右側(実施内容)を見て、それがどの管理機能に属するかを先に考え、左側の種別と一致するかを確かめます。地域診断は地区管理、個人情報の保護は情報管理、ジョブローテーションは人事管理、サービスの質と量の評価は事例管理に対応します。種別と内容が一致するのは選択肢4だけです。
選択肢の確認
1.情報管理 ― 地域診断:地域診断は、担当地区の人口構成、健康指標、住民の生活、社会資源などをアセスメントして健康課題を明らかにする活動です。地区管理の中核に位置づけられ、事業の企画・評価の基盤にもなります。情報管理は、地域診断で用いる統計資料や記録などの情報を適切に収集・保管・活用し、保護する仕組みを整える機能です。地域診断という活動そのものを指す種別ではありません。地域診断は多くの情報を扱うため情報管理と取り違えやすいので、活動の目的(地区の健康課題の把握と地区活動への反映)で分類することが大切です。
2.人事管理 ― 個人情報の保護:個人情報の保護は、相談記録、健診データ、家庭訪問の記録などを適切に取り扱い、漏洩や目的外利用を防ぐことです。これは情報管理に属します。保健師には保健師助産師看護師法による守秘義務があり、行政に勤める場合は地方公務員法による守秘義務も課されます。一方、人事管理は職員の採用・配置・異動・業務分担・勤務管理などを扱う機能です。職員の人事情報を扱う場面はありますが、個人情報の保護という機能は情報管理として整理されます。
3.予算管理 ― ジョブローテション:ジョブローテーションは、職員を計画的に異なる部署や業務へ配置換えし、多様な経験を積ませる仕組みです。これは人事管理に属し、人材育成の手法としての側面もあります。予算管理は、事業に必要な経費の見積もり、予算要求、執行状況の管理、決算、費用対効果の検討など、経費に関する管理を指します。ジョブローテーションはこれにあたりません。
4.事例管理 ― サービスの質と量の評価:正答。事例管理では、個々の対象者・家族に提供された支援やサービスが、ニーズに対して適切な質と量であったかを評価します。その結果をもとに支援計画の見直しや関係機関との調整、支援の継続・終結の判断を行います。サービスの質と量の評価は、事例管理を構成する重要な内容です。
覚えるポイント
- 看護管理機能の種別は「何を管理するか」で見分けます。事例=個人・家族、地区=担当地区、事業=保健事業、予算=経費、人事=職員、情報=データ・記録です。
- 事例管理には、支援の優先度判断、支援計画、関係機関との調整、サービスの質と量の評価、継続・終結の判断が含まれます。
- 地域診断は地区管理の中核であり、事業の企画・評価の基盤にもなります。
- 個人情報の保護、記録管理、情報セキュリティ、情報の収集・分析・発信は情報管理です。
- ジョブローテーション、配置、異動、業務分担は人事管理、研修や現任教育は人材育成です。
- 予算管理は、見積もり、予算要求、執行管理、決算、費用対効果の検討です。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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