第108回
108PM017|第108回 保健師国家試験 過去問
医療安全支援センターの説明で正しいのはどれか。
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正解1
正答
1.医療に関する苦情に対応する。
この問題のポイント
医療法に基づく「医療安全支援センター」の設置主体と業務を問う問題です。名前の似た「医療事故調査・支援センター」(医療事故調査制度)や、日本医療機能評価機構の「医療事故情報収集等事業」と区別できるかが鍵になります。医療安全支援センターは、都道府県・保健所設置市・特別区が設ける、住民からの苦情や相談の窓口だと押さえていれば正答できます。
解説
医療安全支援センターの位置づけ
医療安全支援センターは、当初は国の通知に基づいて整備が進められました。2006年の医療法改正(2007年施行)で法律に規定され、医療法では、都道府県、保健所を設置する市および特別区が設けるよう努めることとされています(努力義務)。都道府県では本庁のほか、二次医療圏ごとに保健所へ置かれることが多く、保健所設置市や特別区も独自に設置しています。つまり設置するのは行政であり、医療機関の中に置かれる組織ではありません。
医療法が定める業務は、おおむね次の4つです。
- 患者・家族からの医療に関する苦情への対応と相談。必要に応じて、患者・家族や医療機関の管理者に助言します。
- 医療機関の開設者・管理者・従業者、患者・家族、住民への医療安全に関する情報提供
- 医療機関の管理者・従業者への医療安全に関する研修
- そのほか、地域の医療安全を確保するために必要な支援
センターは患者側にも医療機関側にも偏らない中立的な立場で相談に応じます。医療行為に過失があったかどうかを判定したり、紛争を仲裁・解決したりする機関ではありません。相談者が自分で問題を解決できるよう助言し、必要に応じて相談内容を医療機関に伝えて改善を促すことで、患者と医療機関の信頼関係づくりと地域全体の医療安全の向上を図ります。保健所の保健師が相談対応を担うこともあります。寄せられた相談を分析して地域の課題を把握し、研修や情報提供につなげることは、公衆衛生看護の視点からも重要です。
混同しやすい3つの仕組み
- 医療安全支援センター:設置は都道府県等です。住民からの苦情・相談への対応、情報提供、研修を行います。
- 医療事故調査・支援センター:2015年10月に始まった医療事故調査制度の中核機関で、厚生労働大臣が指定した民間法人(日本医療安全調査機構)が担っています。病院等の管理者は、医療に起因する、または起因すると疑われる死亡・死産で、管理者が予期しなかったものをこのセンターに報告します。そのうえで院内調査を行い、結果を遺族に説明し、センターにも報告します。センターは報告を整理・分析して再発防止策を広めるほか、遺族または医療機関から依頼があれば調査を行います。制度の目的は責任追及ではなく再発防止です。
- 医療事故情報収集等事業:2004年に始まり、公益財団法人日本医療機能評価機構が実施しています。医療機関から医療事故やヒヤリ・ハットの事例を集めて分析し、報告書や「医療安全情報」として公表しています。特定機能病院や国立病院機構の病院などには事故報告が義務づけられ、それ以外の医療機関は任意で参加します。
正答に至る判断
問題文の「医療安全支援センター」という名称から、行政が設置する住民向けの相談窓口であると判断します。選択肢のうち、医療法が定めるこのセンターの業務に当たるのは苦情への対応だけです。残りの選択肢は、設置場所の誤りか、別の機関の役割にすり替えたものです。
選択肢の確認
1.医療に関する苦情に対応する。:正答。医療法は、患者・家族からの医療に関する苦情への対応と相談を医療安全支援センターの業務の第一に挙げています。中立的な立場で話を聴き、相談者や医療機関の管理者に助言します。過失の有無を判定したり紛争を解決したりはしない点も合わせて覚えておきましょう。
2.地域の中核病院内に設置されている。:医療安全支援センターを設けるのは都道府県・保健所設置市・特別区で、本庁や保健所に置かれます。特定の病院の内部組織ではありません。病院の中にある患者相談窓口や医療安全管理部門は、各医療機関が自ら設ける別のものです。行政の窓口が医療機関の外にあるからこそ、中立的な第三者として相談に応じられます。
3.医療に起因する予期しない死亡事例の報告を受ける。:この報告を受けるのは、医療事故調査制度の医療事故調査・支援センター(日本医療安全調査機構)です。報告するのは病院等の管理者で、対象には死産も含まれます。「支援センター」という語が共通するため取り違えやすく、試験でもこの混同をねらった選択肢がよく出ます。
4.厚生労働省から医療事故情報収集等事業を委託されている。:医療事故情報収集等事業を担っているのは日本医療機能評価機構で、医療安全支援センターの業務ではありません。この事業は医療機関から事故やヒヤリ・ハットの事例を集めて分析・公表する全国規模の仕組みです。住民からの個別の相談に応じる医療安全支援センターとは目的も対象も異なります。
覚えるポイント
- 医療安全支援センターは医療法に基づき、都道府県・保健所設置市・特別区が設置に努めるもの(努力義務)で、主に本庁や保健所に置かれます。
- 医療安全支援センターの業務は、苦情対応・相談、情報提供、研修、その他の支援です。立場は中立で、過失の判定や紛争の解決は行いません。
- 医療に起因する予期しない死亡・死産は、病院等の管理者が医療事故調査・支援センター(日本医療安全調査機構)へ報告します。医療事故調査制度は2015年10月に始まり、目的は再発防止です。
- 医療事故・ヒヤリ・ハットの事例の収集と分析は、日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業が担います。特定機能病院などは報告義務があり、それ以外は任意参加です。
- 区別の合言葉は「住民の苦情・相談は医療安全支援センター」「予期しない死亡の報告は医療事故調査・支援センター」「事故情報の収集・分析は日本医療機能評価機構」です。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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