第109回
109AM023|第109回 保健師国家試験 過去問
令和2年(2020年)に策定された少子化社会対策大綱で示された施策とその数値目標で正しいのはどれか。
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正解2
正答
2.男性の育児休業取得率を30%にする。
この問題のポイント
令和2年(2020年)5月に閣議決定された第4次少子化社会対策大綱の数値目標を問う問題です。判断の鍵は、「仕事と子育ての両立」の分野で、男性の育児休業取得率を2025年に30%とする目標が掲げられたことです。待機児童の目標は一定数に減らすことではなく「解消」です。また、マタニティマークや妊娠・出産の満足度は健やか親子21(第2次)で扱われてきた指標です。この2点を区別できれば、選択肢を絞り込めます。
解説
少子化社会対策大綱とは
少子化社会対策大綱は、少子化社会対策基本法(2003年制定)に基づいて政府が定める指針で、少子化に対処するための総合的・長期的な施策を示します。これまでに次の4つが策定されています。
- 2004年:第1次
- 2010年:第2次(子ども・子育てビジョン)
- 2015年:第3次
- 2020年5月:第4次(閣議決定)
問題文の「令和2年に策定された大綱」は、この第4次大綱を指します。
第4次大綱は、希望出生率1.8の実現を基本的な目標としています。希望出生率とは、若い世代が希望する結婚や出産がかなった場合に想定される出生率のことです。大綱はこの目標に向けて、結婚、妊娠・出産、子育ての各段階に応じた支援や、仕事と子育ての両立、地域・社会による子育て支援などの施策を整理しています。さらに、進み具合を測るために施策ごとの数値目標を掲げています。
男性の育児休業取得率30%の意味
仕事と子育ての両立の分野では、男性の家事・育児への参画が重点に置かれました。その代表的な指標が、男性の育児休業取得率を2025年に30%とする目標です。
- 雇用均等基本調査によると、大綱策定前の令和元年度(2019年度)の男性の育児休業取得率は7.48%でした。30%は大幅な引き上げを求める目標だったことになります。
- 第3次大綱では、同じ指標の目標は「2020年に13%」でした。これが達成されなかったため、第4次で目標値と期限を改めて設定しています。
- 同じ分野では、第1子出産前後の女性の継続就業率や、6歳未満の子どもをもつ夫の家事・育児関連時間も数値目標とされています。
これらは、出産を機に女性が離職しやすいことや、育児の負担が母親に偏っていることといった、少子化の背景にある要因に対応する目標です。
出題当時と現在
この目標を後押しするため、育児・介護休業法が2021年に改正されました。2022年10月には出生時育児休業(産後パパ育休)が始まり、子の出生後8週間以内に最大4週間の休業を取れるようになっています。
- 出題当時(2023年2月)に公表されていた最新値は、令和3年度の13.97%(雇用均等基本調査)で、目標にはまだ開きがありました。
- その後、令和5年度には30.1%となりました(同調査)。
- 2023年6月の「こども未来戦略方針」では、民間企業の目標が2025年に50%、2030年に85%へ引き上げられました。
- 2023年4月にこども基本法が施行され、これに伴い少子化社会対策大綱は、子供・若者育成支援推進大綱、子供の貧困対策に関する大綱とともに、2023年12月閣議決定の「こども大綱」に一本化されています。
保健師は、母子健康手帳を交付するときの面接、両親学級、乳幼児健診などの場で、父親の育児参加を支える立場にあります。国の大綱と、母子保健の国民運動計画である健やか親子21とで、どの指標を扱っているかを区別して理解しておきましょう。そうすると、市町村の母子保健計画や子ども・子育て支援事業計画を読み解くときにも役立ちます。
選択肢の確認
1.保育所の待機児童数を3万人にする。:第4次大綱では、待機児童を一定数まで減らすのではなく、「解消」、つまりゼロを目指すことが目標とされています。当時の子育て安心プランや、その後の新子育て安心プランも、保育の受け皿を整備して待機児童の解消を図るものです。「3万人にする」という数値目標は、この考え方と合いません。
2.男性の育児休業取得率を30%にする。:正答。仕事と子育ての両立の分野の数値目標として、2025年に30%とすることが示されました。第3次大綱の13%から大きく引き上げられた目標です。
3.マタニティマークの認知度を80%にする。:マタニティマークは2006年に厚生労働省が発表したもので、その普及は健やか親子21のなかで進められてきました。令和2年大綱の数値目標として「認知度80%」が示されたものではありません。母子保健の計画の指標と混同させるための選択肢です。
4.地域子育て支援拠点事業を3,000か所にする。:地域子育て支援拠点事業は、子ども・子育て支援法に基づく地域子ども・子育て支援事業の一つです。市町村が、乳幼児と保護者が交流する場の提供、子育て相談、情報提供、講習などを行います。厚生労働省の実施状況によると、大綱の策定時点ですでに全国7,000か所を超えて実施されていました。3,000か所を目標にすると現状より減らすことになるため、目標として成り立ちません。
5.妊娠・出産について満足している者の割合を70%にする。:この割合は、健やか親子21(第2次)で、切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策の成果を測る指標として使われてきたものです。令和2年大綱の数値目標として「70%」が示されたものではありません。
覚えるポイント
- 少子化社会対策大綱は、少子化社会対策基本法に基づく国の指針です。第4次(2020年)の基本目標は希望出生率1.8です。
- 第4次大綱の両立支援の数値目標は、男性の育児休業取得率を2025年に30%とすることです。第3次大綱では2020年に13%でした。
- 待機児童の目標は「◯万人に減らす」ではなく、「解消(ゼロ)」です。
- マタニティマークの普及や妊娠・出産の満足度は、健やか親子21(第2次)の文脈で問われる指標です。大綱の数値目標と出典を分けて覚えましょう。
- 出題後、男性育休の目標はこども未来戦略方針で2025年50%・2030年85%に引き上げられました。少子化社会対策大綱は、2023年12月にこども大綱へ統合されています。
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