第109回

109AM038|第109回 保健師国家試験 過去問

2つ選択

調査について正しいのはどれか。2つ選べ。

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正解3・5

正答

3.社会生活基本調査は総務省が実施する。
5.国民健康・栄養調査は健康増進法に基づいて実施される。

この問題のポイント

保健統計調査を、実施主体(所管省庁)・根拠法・実施周期・全数か標本かの4つの軸で整理できているかを問う問題です。判断の手がかりは次の3つです。厚生労働省以外が実施する調査はどれか、統計法以外の法律に基づく調査はどれか、ある時点の人口を調べる静態統計と一定期間の出来事を集計する動態統計をどう区別するか、です。

解説

調査を整理する4つの軸

統計調査は名称が似ていて混同しやすいため、次の4点をそろえて覚えます。

  • 誰が実施するか(総務省か厚生労働省か)
  • 何の法律に基づくか(多くは統計法、一部は個別法)
  • どのくらいの周期で行うか(毎月・毎年・3年ごと・5年ごと)
  • 全数調査か標本調査か

人口の統計:静態と動態

国勢調査は、総務省統計局が統計法に基づいて5年ごとに行います。10月1日現在で日本に常住するすべての人と世帯(外国人を含む)を対象とする全数調査です。性・年齢・配偶関係・世帯構成・就業状態など、ある一時点の人口の構造をとらえる人口静態統計です。1年間に何人生まれたかという出来事は調べません。

人口動態調査は、厚生労働省が統計法に基づいて行います。材料は、戸籍法による出生・死亡・婚姻・離婚の届出と、死産の届出に関する規程による死産届です。市区町村で作成された調査票は、保健所・都道府県を経て厚生労働省に集められます。届出のあった事象をすべて集計する全数調査です。ここから出生率、合計特殊出生率、死亡率、死因別死亡、乳児死亡率、周産期死亡率、婚姻率などが得られます。出生率の分子である出生数は人口動態調査から得られ、国勢調査の人口は分母や人口推計の基礎として使われます。

全数調査と標本調査

全数調査には、国勢調査と人口動態調査のほか、医療施設調査もあります。医療施設静態調査は3年ごとに、調査時点で開設しているすべての医療施設(病院・一般診療所・歯科診療所)を対象とします。医療施設動態調査は、医療法に基づく開設・廃止等の申請・届出があった医療施設を対象に毎月行われ、施設の開設・廃止などの動きをとらえます。どちらも抽出を行わない全数(悉皆)調査です。業務統計である地域保健・健康増進事業報告も、全保健所・全市区町村から報告を集めます。これに対し、次の調査は抽出した対象だけを調べる標本調査です。

  • 患者調査:厚生労働省が3年ごとに実施します。層化無作為抽出した病院・診療所で、10月の指定日の入院・外来患者と、9月中の退院患者を調べます。推計患者数、受療率、退院患者の平均在院日数、総患者数などが得られます。
  • 国民生活基礎調査:厚生労働省が毎年実施し、3年ごとに健康票や介護票を含む大規模調査を行います。有訴者率や通院者率、世帯構造、所得、介護の状況がわかります。
  • 国民健康・栄養調査:健康増進法に基づき、厚生労働省が毎年11月に実施します。対象は、国民生活基礎調査の調査地区から層化無作為抽出した地区の世帯と世帯員です。調査は3つで構成されます。身体状況調査(身長・体重・腹囲・血圧・血液検査など)、栄養摂取状況調査、生活習慣調査(食生活・身体活動・飲酒・喫煙など)です。実務は都道府県・保健所設置市・特別区が担い、保健所が中心になって進めます。かつては栄養改善法に基づく国民栄養調査でしたが、健康増進法の施行に伴い2003年から現在の名称になりました。健康日本21の目標の評価にも使われます(出題当時は第二次、2024年度からは第三次)。
  • 社会生活基本調査:総務省統計局が統計法に基づいて5年ごとに行います。10歳以上の世帯員を対象に、1日の生活時間の配分を調べます(睡眠、仕事、家事、育児、介護・看護、自由時間など)。あわせて、スポーツ、ボランティア活動、学習・自己啓発、趣味・娯楽、旅行などの生活行動も調べます。家族介護や育児にかかる時間、ワーク・ライフ・バランスを考えるときの資料になります。

実践とのつながり

地域診断では、目的に合った既存統計を選ぶことが出発点です。参照先は次のとおりです。

  • 人口構成:国勢調査
  • 出生・死亡・死因:人口動態統計
  • 医療機関の受療状況:患者調査
  • 医療資源の分布:医療施設調査
  • 住民の自覚症状:国民生活基礎調査
  • 食生活や生活習慣:国民健康・栄養調査
  • 生活時間:社会生活基本調査

出典を正しく選べることが、この問題で問われている力の実践的な意味です。

選択肢の確認

1.患者調査は毎年実施される。:患者調査の実施周期は3年ごとで、毎年行われる調査ではありません。厚生労働省が層化無作為抽出した医療施設で、10月の指定日の患者と9月中の退院患者を調べる標本調査です。毎年行われるのは、人口動態調査、国民生活基礎調査(3年ごとに大規模調査)、国民健康・栄養調査などです。患者調査は医療施設静態調査と同じく3年周期、と組にして覚えると区別しやすくなります。

2.国勢調査で出生率が把握される。:出生率は、人口動態調査で集計した出生数を分子として算出する人口動態統計の指標です。国勢調査は10月1日時点の人口と世帯の構造をとらえる静態統計で、1年間の出生という動態は調べません。国勢調査の人口は、率の分母や人口推計の基礎として間接的に関わるだけです。「率の分母」と「率そのものの出典」を混同しないことが大切です。

3.社会生活基本調査は総務省が実施する。:正答。総務省統計局が統計法に基づき5年ごとに行う標本調査で、生活時間の配分と余暇の生活行動を調べます。保健統計の多くは厚生労働省が所管しますが、国勢調査とこの調査は総務省の所管です。

4.人口動態調査は無作為抽出による標本調査である。:人口動態調査は、戸籍法などに基づく出生・死亡・婚姻・離婚・死産の届出を材料に、届出のあった事象をすべて集計する全数調査です。保健統計でよく出る全数調査には、ほかに国勢調査、医療施設(静態・動態)調査などがあります。無作為抽出による標本調査にあたるのは、患者調査、国民生活基礎調査、国民健康・栄養調査、社会生活基本調査などです。

5.国民健康・栄養調査は健康増進法に基づいて実施される。:正答。健康増進法に基づき、厚生労働省が毎年11月に実施します。多くの保健統計調査が統計法を根拠とするなかで、個別法に根拠をもつ点が特徴です。前身は栄養改善法に基づく国民栄養調査です。

覚えるポイント

  • 保健統計でよく出る全数調査には、国勢調査(総務省・5年ごと・10月1日現在・静態)、人口動態調査(厚生労働省・届出に基づく・動態)、医療施設調査(静態は3年ごとで全医療施設が対象、動態は毎月で開設・廃止等の届出があった施設が対象、いずれも全数)などがあります。
  • 標本調査の代表は、患者調査、国民生活基礎調査、国民健康・栄養調査、社会生活基本調査です。
  • 周期は次のとおりです。毎年は人口動態調査、国民生活基礎調査(3年ごとに大規模調査)、国民健康・栄養調査です。3年ごとは患者調査と医療施設静態調査、5年ごとは国勢調査と社会生活基本調査です。
  • 総務省(統計局)が実施する主な調査には、国勢調査、社会生活基本調査、労働力調査、家計調査、就業構造基本調査などがあります。保健統計の多くを所管する厚生労働省との区別が狙われます。
  • 根拠法は、国民健康・栄養調査が健康増進法(前身は栄養改善法の国民栄養調査)です。国勢調査・人口動態調査・患者調査などは統計法に基づきます。
  • 指標と出典の対応は次のとおりです。出生率・死亡率・死因は人口動態統計、受療率・退院患者の平均在院日数は患者調査、有訴者率・通院者率は国民生活基礎調査、栄養摂取量・肥満・喫煙は国民健康・栄養調査、生活時間は社会生活基本調査です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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