第109回
109PM019|第109回 保健師国家試験 過去問
令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査における身体活動・運動で正しいのはどれか。
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正解2
正答
2.20歳以上の歩数の平均値は1日8,000歩を下回る。
この問題のポイント
令和元年の国民健康・栄養調査のうち、身体活動・運動の結果を問う問題です。問われているのは、歩数の平均値、運動習慣のある者の割合の性差と年齢差、10年間の推移です。判断の鍵は、歩数の平均値が男性約6,800歩、女性約5,800歩で男女とも8,000歩に届かず、この10年で増えていない(女性はむしろ減少している)ことです。あわせて、運動習慣のある者の割合は女性より男性で高く、年代別では高齢の年代で高く働く世代で低いことを押さえていれば、ほかの選択肢も除外できます。
解説
国民健康・栄養調査の位置づけ
国民健康・栄養調査は、健康増進法に基づいて厚生労働省が毎年実施している調査です。次の3つの調査票で構成され、結果は健康日本21の目標の評価にも使われます。
- 身体状況調査票(身長・体重、腹囲、血圧、血液検査、問診など)
- 栄養摂取状況調査票
- 生活習慣調査票
歩数は、栄養摂取状況調査票の「1日の身体活動量」(20歳以上)という項目です。食事内容を記録するのと同じ調査日1日の歩数を、歩数計で測って記入します。身体の計測値を扱う身体状況調査票の項目ではないので注意しましょう。
令和2年・3年は、新型コロナウイルス感染症の影響で調査が中止されました。そのため出題当時(2023年2月)は、令和元年の結果が身体活動に関する代表的な最新データでした。
歩数の平均値
令和元年の20歳以上の歩数の平均値は、男性6,793歩、女性5,832歩です。男女とも1日8,000歩を下回っています。この10年間の推移では、男性に有意な増減はなく、女性は有意に減少しています。
出題当時の健康日本21(第二次)の目標値は次のとおりです。現状は、いずれの年代でも目標に届いていませんでした。
- 20〜64歳:男性9,000歩、女性8,500歩
- 65歳以上:男性7,000歩、女性6,000歩
歩数は高齢になるほど少ない傾向があり、65歳以上では20〜64歳より明らかに少なくなります。
運動習慣のある者の割合
「運動習慣のある者」とは、1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している者を指します。令和元年の割合は男性33.4%、女性25.1%で、男性のほうが高くなっています。この10年間でみると、男性に有意な増減はなく、女性は有意に減少しています。
年齢階級別にみると、割合は高齢の年代で高く、20〜40歳代を中心とする働く世代・子育て世代で低いのが特徴です。令和元年では、男性は40歳代、女性は30歳代で最も低くなっています。仕事や育児で時間を確保しにくい世代ほど、継続的な運動が難しいことがうかがえます。
この点は混同しやすいので注意が必要です。歩数は若い世代のほうが多いのに対し、運動習慣は高齢者のほうが多いという逆向きの関係になっています。若い世代は通勤や業務で歩く量は多いものの、意図的・継続的な運動はしていない人が多い、と理解すると整理しやすくなります。
実践とのつながり
保健師活動では、この結果を踏まえて次のような取り組みが求められます。
- 運動習慣者が少ない働く世代には、職域と連携して、健康経営や通勤時の歩行促進などに取り組む。
- 子育て世代には、短時間でも取り入れられる身体活動を提案する。
- 地域全体では、歩きやすい環境の整備などのポピュレーションアプローチを進める。
「健康づくりのための身体活動基準2013」とあわせて示されたアクティブガイドには、「+10(プラス・テン)」という考え方があります。今より10分多く体を動かすことを勧めるものです。
出題当時は、健康日本21(第二次)の目標が基準でした。現在は健康日本21(第三次)(令和6年度開始)が推進されています。また「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人は1日約8,000歩以上、高齢者は約6,000歩以上が目安として示されています。
選択肢の確認
1.20~49歳で運動習慣のある者の割合が最も高い。:運動習慣のある者の割合は高齢の年代で高く、20〜40歳代は仕事や子育てで時間を確保しにくいため、むしろ割合が低い層です。令和元年に最も低かった男性40歳代・女性30歳代も、この年齢層に含まれるので誤りです。「若い世代ほど活動的」という印象や、歩数が若い世代で多いことと取り違えないようにしましょう。
2.20歳以上の歩数の平均値は1日8,000歩を下回る。:正答。令和元年の20歳以上の歩数の平均値は男性6,793歩、女性5,832歩で、男女とも8,000歩を下回っています。男女とも下回っているので、男女を合わせた平均値も8,000歩に届きません。20〜64歳に限っても、健康日本21(第二次)の目標値(男性9,000歩、女性8,500歩)に届いていません。
3.男性より女性の方が運動習慣のある者の割合が高い。:令和元年の運動習慣のある者の割合は男性33.4%、女性25.1%で、男性のほうが高いため誤りです。女性ではこの10年間で有意に減少しており、男女差は縮まっていません。性差を問う問題では、運動習慣と同じく男性の割合が高い喫煙率や飲酒の指標もよく問われるので、あわせて確認しておきましょう。
4.歩数の平均値は平成22年(2010年)の約2倍である。:歩数の平均値は、この10年間で男性に有意な増減がなく、女性では有意に減少しているため誤りです。仮に約2倍になったとすると、2010年ごろの歩数は3,000歩前後だったことになり、実際の水準とかけ離れています。「推移」を問う選択肢で極端な倍率が示されていたら、まず疑ってかかるのが有効です。
覚えるポイント
- 国民健康・栄養調査は健康増進法に基づいて毎年実施され、身体状況・栄養摂取状況・生活習慣の3つの調査票で構成されます。歩数は栄養摂取状況調査票の項目(20歳以上)で、調査日1日分を歩数計で測定します。
- 国民健康・栄養調査(令和元年)の歩数の平均値(20歳以上)は、男性約6,800歩、女性約5,800歩で、男女とも8,000歩未満です。10年間で男性は横ばい、女性は減少しています。
- 運動習慣のある者(1回30分以上・週2回以上・1年以上継続)の割合は、令和元年で男性33.4%、女性25.1%と男性が高く、女性は10年間で減少しています。
- 年齢との関係は逆向きです。歩数は若い世代で多く高齢で少なく、運動習慣は高齢で高く働く世代で低くなっています。
- 健康日本21(第二次)の歩数目標は、20〜64歳で男性9,000歩・女性8,500歩、65歳以上で男性7,000歩・女性6,000歩でした。現在は身体活動・運動ガイド2023などで、成人約8,000歩以上、高齢者約6,000歩以上が目安です。
掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。
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