第109回

109PM032|第109回 保健師国家試験 過去問

2つ選択

検疫所の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

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正解2・4

正答

2.海外感染症情報の収集と提供を行う。
4.国内に常在しない感染症の病原体が侵入することを防ぐ。

この問題のポイント

検疫所について、設置主体・根拠法・目的・業務を問う問題です。押さえるべき点は、検疫所が「国(厚生労働省)の機関」であること、「検疫法」に基づくこと、「国内に常在しない感染症の水際対策」を担うことの3つです。国内の感染症対策を担う保健所・感染症法・感染症発生動向調査と区別できるかが鍵になります。

解説

検疫所の位置づけ

検疫所は厚生労働省の施設等機関で、国際線の船舶や航空機が出入りする主要な海港と空港に置かれています。国が直接運営する機関なので、都道府県・保健所設置市・特別区が地域保健法に基づいて設置する保健所とは、設置主体も所在地もまったく異なります。「水際(国境)は国の検疫所、国内の地域は自治体の保健所」と役割を分けて整理すると覚えやすくなります。

根拠法と目的

検疫所の業務の根拠は検疫法です。検疫法第1条は、法の目的を「国内に常在しない感染症の病原体が船舶又は航空機を介して国内に侵入することを防止するとともに、船舶又は航空機に関してその他の感染症の予防に必要な措置を講ずること」と定めています。選択肢4はこの目的そのものです。

検疫の対象となる感染症を検疫感染症といいます。一類感染症、新型インフルエンザ等感染症、そして国内に常在しないもので政令が定める感染症(デング熱、マラリア、中東呼吸器症候群など)がこれにあたります。出題当時(2023年2月)、新型コロナウイルス感染症は新型インフルエンザ等感染症に位置づけられた検疫感染症で、入国時の検査などの水際措置が検疫所で行われていました。2023年5月に5類感染症へ移行したことに伴い、現在は検疫感染症から外れています。

検疫所の主な業務

  • 検疫:入国者への質問、サーモグラフィーによる体温測定、診察・検査、船舶や航空機の消毒などを行います。一類感染症などでは、患者の隔離(感染症指定医療機関への入院の委託)や、感染したおそれのある者の停留も行います。
  • 健康監視:入国後の一定期間、健康状態を確認し、必要に応じて都道府県等へ通知します。
  • 港湾衛生:港湾区域や空港で、蚊やネズミなど病原体を媒介する動物の調査を行います。
  • 輸入食品の監視:食品衛生法に基づき、輸入食品の届出受付や検査を行います。
  • 情報提供と予防接種:海外の感染症発生状況を収集し、ウェブサイト「FORTH」などで渡航者に提供します。黄熱などの予防接種や、国際予防接種証明書の交付も行います。

国内の感染症対策との分担

国内で発生した感染症への対応は感染症法に基づき、都道府県・保健所設置市等と保健所が担います。積極的疫学調査、入院勧告、就業制限などがその例です。感染症発生動向調査(サーベイランス)も感染症法に基づく制度です。医療機関の届出は保健所から地方感染症情報センターを経て、中央感染症情報センターで集計・分析されます。中央感染症情報センターは出題当時は国立感染症研究所に置かれていました。2025年4月からは、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが統合した国立健康危機管理研究機構が担っています。

保健師にとっては、健康監視の対象者の情報が検疫所から自治体に引き継がれ、入国後のフォローを保健所が担うという連携の流れを理解しておくことが、健康危機管理の実践につながります。

選択肢の確認

1.保健所に設置されている。:検疫所は厚生労働省の施設等機関で、主要な海港・空港に置かれています。保健所は地方公共団体が地域保健法に基づいて設置する機関であり、設置主体も所在地も異なります。国の機関(検疫所)と自治体の機関(保健所)を取り違えないことが大切です。

2.海外感染症情報の収集と提供を行う。:正答。検疫所は海外の感染症の発生状況を収集し、FORTHなどを通じて渡航者に予防情報を提供しています。黄熱などの予防接種や国際予防接種証明書の交付も行っており、出国前の予防まで含めて水際対策を担っています。

3.感染症サーベイランスの分析を行う。:感染症発生動向調査は感染症法に基づく制度です。集計・分析は、地方感染症情報センターと中央感染症情報センター(出題当時は国立感染症研究所)が担います。検疫所は海外情報の収集・提供は行いますが、国内のサーベイランスを分析する機関ではありません。「情報を扱う」という点で選択肢2と混同しやすいので注意します。

4.国内に常在しない感染症の病原体が侵入することを防ぐ。:正答。検疫法第1条に定められた目的そのものです。一類感染症、新型インフルエンザ等感染症、政令で定める感染症を検疫感染症とし、船舶・航空機を介した病原体の侵入を水際で防ぎます。

5.感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき業務を行う。:検疫所の業務の根拠は検疫法です。検疫法は感染症の類型などに感染症法の区分を用いていますが、検疫・隔離・停留・健康監視などの権限は検疫法が定めています。感染症法に基づいて業務を行うのは、国内の感染症対策を担う都道府県等と保健所です。

覚えるポイント

  • 検疫所は厚生労働省の施設等機関で、主要な海港・空港に置かれます。保健所(地域保健法、自治体が設置)と混同しないようにします。
  • 根拠法は検疫法で、目的は国内に常在しない感染症の病原体が船舶・航空機を介して侵入するのを防ぐことです。「水際は検疫法、国内は感染症法」と覚えます。
  • 検疫感染症は、一類感染症、新型インフルエンザ等感染症、政令で定める感染症(デング熱、マラリア、中東呼吸器症候群など)です。
  • 検疫所の業務は、検疫(隔離・停留・消毒)、健康監視、港湾衛生、輸入食品監視(食品衛生法)、海外感染症情報の提供(FORTH)、黄熱などの予防接種です。
  • 感染症発生動向調査は感染症法に基づき、医療機関→保健所→地方感染症情報センター→中央感染症情報センターの流れで集計・分析されます。
  • 動物検疫所・植物防疫所は農林水産省の機関で、厚生労働省の検疫所とは別組織です。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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