第109回

109PM031|第109回 保健師国家試験 過去問

2つ選択

要保護児童対策地域協議会の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

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正解4・5

正答

4.居住実態を把握できない児童の情報を共有する。
5.支援対象となる児童と保護者の状況確認に関する役割分担を行う。

この問題のポイント

要保護児童対策地域協議会(要対協)について、法的根拠、設置主体、対象、機能を問う問題です。要対協は児童福祉法に基づいて地方公共団体が設置に努める関係機関のネットワークで、中心となる機能は情報共有と支援の役割分担です。これを押さえていれば4と5を選べます。誤りの選択肢では、設置主体(国ではない)、対象の範囲(非行児童も含む)、他の制度との区別が問われています。

解説

要対協の位置づけ

児童虐待のケースでは、保健センター・保育所・学校・医療機関・警察などがそれぞれ一部の情報しか持っていないことが多いです。そのため、1つの機関だけでは危険の全体像をつかめず、支援も途切れやすくなります。そこで児童福祉法第25条の2は、地方公共団体に対して、関係機関・関係団体・関係者で構成する要保護児童対策地域協議会を置くよう努めることを定めています。主な構成員は次のとおりです。

  • 市町村の児童福祉・母子保健の担当部署
  • 児童相談所
  • 保育所・幼稚園、学校・教育委員会
  • 医療機関、警察
  • 民生委員・児童委員

現在はほぼすべての市町村に設置されています。

協議の対象

  • 要保護児童:保護者のない児童、または保護者に監護させることが不適当であると認められる児童です。虐待を受けた児童に加えて、非行児童も含まれます。
  • 要支援児童:保護者の養育を支援することが特に必要と認められる児童です(要保護児童を除く)。
  • 特定妊婦:出産後の養育について、出産前から支援を行うことが特に必要と認められる妊婦です。

運営の仕組み

設置した地方公共団体の長は、構成機関の中から要保護児童対策調整機関を1つ指定します。調整機関は、協議会の事務の取りまとめ、支援の実施状況の把握、関係機関との連絡調整を担います。会議は次の三層構造が基本です。

  • 代表者会議:各機関の代表者が集まり、地域の支援体制全体を検討します。
  • 実務者会議:実務担当者が定期的に情報を交換し、登録ケース全体の状況確認と進行管理を行います。
  • 個別ケース検討会議:実際に関わる担当者が随時集まります。個々のケースについて、危険度・緊急度の判断、支援方針、主担当機関とキーパーソン、各機関の役割分担を具体的に決めます。

構成員には罰則付きの守秘義務が課されます。また協議会は、必要に応じて関係機関に資料や情報の提供を求めることができます。この2つがそろっているため、通常は外部に出しにくい個人情報も、協議会の中では共有できます。

居住実態が把握できない児童

住民票はあるのに、乳幼児健診の未受診、未就園・不就学、訪問しても会えないなどの理由で所在が確認できない児童がいます。こうした児童は、虐待が見えないところで進んでいるおそれがあります。国は市町村に対して所在確認と関係機関の情報共有を求めており、要対協は母子保健・福祉・教育・警察・児童相談所の情報を突き合わせる場として活用されています。

正答に至る判断と実践での意味

選択肢4は情報共有、選択肢5は役割分担を述べており、どちらも要対協の中心的な機能そのものです。保健師の実践では、次のような場面で要対協が関わってきます。

  • 妊娠届出時の面接で特定妊婦を把握したとき
  • 乳幼児健診の未受診や新生児訪問で気になる家庭を把握したとき

保健師はこうしたケースを要対協につなぎ、個別ケース検討会議で「誰が、いつ、どのように家庭の状況を確認するか」を分担して、継続的に見守ります。

選択肢の確認

1.設置は国の努力義務である。:児童福祉法で要対協の設置に努めなければならないとされているのは、国ではなく地方公共団体です。国は制度の枠組みや設置・運営の指針を示す立場にあります。「努力義務」という部分は合っているため、主体の取り違えに注意が必要です。単独で置くだけでなく、複数の地方公共団体が共同で設置することもできます。

2.協議する対象には非行児童を含まない。:要保護児童は「保護者に監護させることが不適当と認められる児童」と定義されており、虐待を受けた児童に限りません。非行児童もこれに含まれます。非行の背景には虐待や不適切な養育があることも多く、非行児童を対象から外すと支援の機会を逃してしまいます。「要対協=虐待だけを扱う場」と思い込むと誤ります。

3.子育て世代包括支援センターを運営する。:子育て世代包括支援センター(法律上の名称は母子健康包括支援センター)は、母子保健法に基づいて市町村が設置に努める、妊娠期から子育て期まで切れ目なく支援するための拠点です。要対協が運営するものではありません。両者は、支援の必要な妊産婦や乳幼児をつなぐ連携関係にあります。なお、出題当時はこの名称でしたが、2022年の児童福祉法等の改正により、2024年4月からは子ども家庭総合支援拠点と一体化した「こども家庭センター」の設置が市町村の努力義務となっています。

4.居住実態を把握できない児童の情報を共有する。:正答。所在が確認できない児童は、健診未受診や不就学などの情報が各機関に分かれていることが多い状態です。要対協で母子保健・教育・福祉・警察・児童相談所の情報を持ち寄ることで、所在確認と安全確認を進めます。

5.支援対象となる児童と保護者の状況確認に関する役割分担を行う。:正答。個別ケース検討会議では、主担当機関とキーパーソンを決めます。そのうえで、どの機関が、どの頻度で、どのような方法で児童と保護者の状況を確認するかを具体的に分担します。実務者会議では、登録ケース全体の状況確認と進行管理を行います。

覚えるポイント

  • 要保護児童対策地域協議会の根拠法は児童福祉法(第25条の2)です。設置は地方公共団体の努力義務で、国ではありません。
  • 対象は、要保護児童(虐待を受けた児童のほか非行児童も含む)、要支援児童、特定妊婦の3つです。
  • 会議は代表者会議、実務者会議、個別ケース検討会議の三層構造です。取りまとめ役として要保護児童対策調整機関が指定されます。
  • 中心的な機能は、関係機関の情報共有と支援の役割分担です。構成員には罰則付きの守秘義務があり、そのため協議会内では情報を共有できます。
  • 子育て世代包括支援センター(母子保健法)は要対協とは別の仕組みで、連携する関係です。2024年4月からは、子ども家庭総合支援拠点と一体化した「こども家庭センター」に再編されています。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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