78AM55第78回 診療放射線技師国家試験 過去問

理工学・放射線科学放射線の細胞に対する作用化学的過程

水の放射線分解で正しいのはどれか。

3つ選択
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正解: 2・4・5

正答

2.電離した水分子は不対電子を持つ。
4.水分子は電子を取り込みマイナスに荷電する。
5.ヒドロキシラジカルと水素ラジカルが結合する。

問題のポイント

人体の多くは水でできているため、放射線が生体に作用するとき、水の放射線分解が非常に重要です。

放射線が水に作用すると、水分子が電離・励起され、反応性の高いラジカルや活性種が生じます。
これらがDNAや細胞内分子を障害することで、放射線生物作用につながります。

水の放射線分解の流れ

放射線が水にエネルギーを与えると、まず水分子が電離します。

H2O → H2O+・ + e−

このとき生じる電離した水分子 H2O+・ は、不対電子を持つラジカル性のイオンです。

また、放出された電子は水中で水和電子となったり、水分子に捕獲されて一時的にマイナスに荷電した状態を作ったりします。

H2O + e− → H2O−・

さらに反応が進むと、ヒドロキシラジカル〈・OH〉、水素ラジカル〈・H〉、水和電子〈eaq−〉、過酸化水素〈H2O2〉などが生じます。

なぜ2が正しいか

放射線によって水分子が電離すると、H2O+・のようなラジカルイオンが生じます。

ラジカルとは、不対電子を持つ反応性の高い化学種です。
したがって、電離した水分子は不対電子を持つ、という2は正しいです。

なぜ4が正しいか

放射線照射で生じた電子は、水中で水分子に捕獲されることがあります。
その結果、水分子が電子を取り込み、マイナスに荷電した状態を作ります。

この過程は水の放射線分解で起こる基本反応の一つです。

したがって、4.水分子は電子を取り込みマイナスに荷電する、は正しいです。

なぜ5が正しいか

水の放射線分解で生じたヒドロキシラジカル〈・OH〉と水素ラジカル〈・H〉は、互いに反応して水を生成することがあります。

・OH + ・H → H2O

このように、ラジカル同士が再結合する反応も水の放射線分解後に起こります。

したがって、5.ヒドロキシラジカルと水素ラジカルが結合する、は正しいです。

他の選択肢との区別

1.活性酸素は生じない。
誤りです。
水の放射線分解では、ヒドロキシラジカルなどの反応性の高い活性種が生じます。
酸素存在下では、過酸化物や酸素ラジカルなども関与し、間接作用が強まります。

2.電離した水分子は不対電子を持つ。
正しいです。
H2O+・のようなラジカルイオンが生じ、不対電子を持ちます。

3.放射線照射後1〜2秒程度の時間を要する。
誤りです。
水の放射線分解で生じる初期反応は、照射後きわめて短時間で起こります。
1〜2秒という長い時間を要する現象ではありません。

4.水分子は電子を取り込みマイナスに荷電する。
正しいです。
放出電子が水分子に捕獲され、陰性のラジカルイオンや水和電子として存在します。

5.ヒドロキシラジカルと水素ラジカルが結合する。
正しいです。
・OHと・Hが再結合して水を作る反応が起こります。

覚えるポイント

水の放射線分解では、次の生成物を押さえます。

  • H2O+・:電離した水分子、ラジカルイオン
  • e−、eaq−:放出電子、水和電子
  • ・OH:ヒドロキシラジカル
  • ・H:水素ラジカル
  • H2O2:過酸化水素

重要なのは、放射線が水を分解して反応性の高いラジカルを作り、それが生体分子を障害することです。

本問では、2、4、5が正しい記述です。

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