111AM035|第111回 看護師国家試験 過去問

地域連携クリニカルパスの目的はどれか。

解答・解説を見る

正解: 1

正答

1.医療機関から在宅までの医療の継続的な提供

この問題のポイント

地域連携クリニカルパスが何を実現するための仕組みかを問う問題です。鍵になる語は「地域連携」です。通常のクリニカルパスは1つの病院の中で完結します。これに対して地域連携クリニカルパスは、急性期病院、回復期病院、かかりつけ医、在宅医療まで、施設をまたいで診療計画を共有します。患者1人の治療を地域全体で途切れなく続ける(地域完結型医療)ことが目的だと押さえれば、正答を選べます。

解説

クリニカルパスとは

クリニカルパス(クリティカルパス)は、特定の疾患や手術について、入院から退院までの予定を時間軸に沿って標準化した診療計画表です。検査、処置、投薬、観察、患者指導、リハビリテーションなどが含まれます。医療者用パスと患者用パスがあり、次のような目的に役立ちます。

  • 医療の標準化と質の確保
  • チーム医療の推進
  • 在院日数の適正化
  • 患者への説明(インフォームドコンセント)の充実

計画どおりに進まなかった経過はバリアンスと呼びます。バリアンスを記録・分析することで、医療の改善につなげます。

地域連携クリニカルパスとは

地域連携クリニカルパスは、この考え方を1つの医療機関の中にとどめず、患者が経過に応じて移る複数の施設全体に広げたものです。

脳卒中を例にすると、患者は次のように療養の場を移します。

  • 急性期病院で救命と急性期治療を受ける
  • 回復期リハビリテーション病棟に転院する
  • その後は、かかりつけ医、訪問看護、介護保険サービスを利用しながら在宅で生活する

地域連携クリニカルパスでは、急性期・回復期・維持期(生活期)の各施設について、治療内容、達成目標、転院や退院の基準をあらかじめ診療計画として示します。そして、治療に関わるすべての施設がこの計画を共有して使います。

これにより、次のような効果が期待されます。

  • 転院先が患者の状態や経過を事前に把握でき、転院直後から途切れなく治療やリハビリテーションを続けられる
  • 施設ごとに方針や説明が食い違うことや、検査の重複を防げる
  • 患者・家族が、いつ頃・どこで・どのような治療を受け、いつ自宅に帰れるのかという見通しを持てる

つまり、医療機関が役割を分担しながら地域全体で1人の患者を治療・支援する「地域完結型医療」を、具体的に実現するための道具です。大腿骨頸部骨折や脳卒中から導入が進み、がんのように急性期治療の後も長い療養が続く疾患にも広がりました。国の医療計画でも医療連携体制づくりの中で活用が推進され、診療報酬でも地域連携診療計画に基づく連携が評価されています。

看護実践とのつながり

看護師は、共有された計画をもとに、入院早期から退院後を見据えて退院支援を始めます。また、看護サマリーなどを通じて、次の施設や訪問看護ステーションへ情報を確実に引き継ぎます。

この問題の「目的」は、職種間の連携や社会資源の紹介といった個々の手段を問うているのではありません。それらを通して最終的に何を実現するかを問うている点に注意しましょう。

選択肢の確認

1.医療機関から在宅までの医療の継続的な提供:正答。急性期病院から回復期、在宅療養までの診療計画を関係する施設が共有し、施設が変わっても途切れない医療を提供することが、地域連携クリニカルパスの目的です。

2.地域包括支援センターと地域住民との連携:地域包括支援センターは、介護保険法に基づき市町村が設置する機関です(運営の委託も可能)。総合相談支援、権利擁護、介護予防ケアマネジメントなどを通して住民と関わります。これは地域包括ケアシステムの取り組みです。患者個人の診療計画を医療機関の間で共有する地域連携クリニカルパスとは、目的が異なります。「地域」「連携」という語が共通するので、混同しないよう注意します。

3.地域医療を担う医療専門職の資質向上:専門職の資質向上は、研修や継続教育などが担う目的です。パスの運用やバリアンスの分析が、結果として医療者の学びにつながることはあります。しかしそれは副次的な効果であり、患者に継続した医療を提供するという本来の目的ではありません。

4.患者が活用できる社会資源の紹介:社会資源の紹介は、退院支援看護師や医療ソーシャルワーカーが行う退院支援・相談援助の内容です。パスの運用の中で介護サービスなどの情報を扱うことはあります。ただしそれは継続的な医療を実現する過程の一部であり、パスそのものの目的ではありません。

覚えるポイント

  • クリニカルパスは1つの施設内での診療計画の標準化です。地域連携クリニカルパスは、複数の施設で診療計画を共有し、切れ目のない医療(地域完結型医療)を実現するものです。
  • 地域連携クリニカルパスでは、各施設での治療内容、達成目標、転院・退院の基準をあらかじめ示し、患者にも説明します。
  • 代表的な対象疾患は、大腿骨頸部骨折、脳卒中、がんなど、急性期から回復期・在宅へと療養の場が移る疾患です。
  • パスから外れた経過はバリアンスと呼び、記録・分析して医療の改善に生かします。
  • 地域包括支援センターは介護保険法に基づく市町村の機関です。保健師等、社会福祉士等、主任介護支援専門員等が配置され、医療機関どうしの診療計画共有とは役割が異なります。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

問題文・正答・解説に誤りを見つけたら、この問題の誤りを報告する([email protected])までお知らせください。確認して修正します。

関連問題

← 111AM034111AM036 →
学習アプリでこの問題を解く(記録・メモ・カード化)