111AM042|第111回 看護師国家試験 過去問

平成29年(2017年)の患者調査において医療機関を受診している総患者数が最も多いのはどれか。

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正解: 4

正答

4.高血圧性疾患 hypertensive disease

この問題のポイント

厚生労働省の患者調査でいう「総患者数」の意味と、傷病別の順位を問う問題です。総患者数には、調査日に受診した人だけでなく、継続して医療を受けている人も含まれます。そのため、自覚症状が乏しいまま長く通院と服薬を続ける慢性疾患ほど数が大きくなります。平成29年(2017年)の調査では、高血圧性疾患が約990万人で、ほかの傷病を大きく引き離して最多でした。

解説

患者調査と「総患者数」

患者調査は、厚生労働省が3年ごとに行う基幹統計調査です。全国の病院・一般診療所・歯科診療所から抽出した施設を対象に、10月の指定した1日に受療した患者の状況を調べます。主な指標は次の3つです。

  • 推計患者数:調査日に医療施設で受療した患者数の推計です。入院と外来に分けて集計されます。
  • 受療率:推計患者数を人口10万人当たりで表したものです。
  • 総患者数:調査日には受診していなくても、継続的に医療を受けている人を含めて推計した患者数です。「入院患者数+初診外来患者数+再来外来患者数×平均診療間隔×調整係数(6/7)」で算出します。

再来患者数に平均診療間隔を掛けるため、1〜2か月ごとに定期受診を続ける慢性疾患の患者数が大きく反映されます。問題文の「医療機関を受診している総患者数」は、ある日の受診者数ではなく「その病気で通院・入院している人全体」を指すと読み取ることが、この問題の鍵です。

平成29年患者調査の主な傷病別総患者数

  • 高血圧性疾患:約990万人(1,000万人弱)で最多です。
  • 歯肉炎及び歯周疾患:約400万人です。
  • 糖尿病:約330万人です。
  • 脂質異常症:約220万人です。
  • 脳血管疾患・喘息:いずれも約110万人前後です。

高血圧性疾患が突出する理由は、次のとおりです。有病率が高く、加齢とともに上昇するため、高齢化の影響を強く受けます。ほとんど症状がないまま、降圧薬の内服と定期受診が長年続きます。さらに、治療を受けていない有病者も多いため、実際の有病者は総患者数よりはるかに多いと考えられています。

実践とのつながり

高血圧は、脳血管疾患、心疾患、慢性腎臓病の重要な危険因子です。この大きな患者集団を適切に管理することが、脳卒中や心不全の予防に直結します。

高血圧の診断基準(日本高血圧学会ガイドライン2019)は、診察室血圧140/90 mmHg以上、家庭血圧135/85 mmHg以上です。看護では、次のような支援が求められます。

  • 家庭血圧測定の定着を支える
  • 自己判断による服薬中断を防ぐ
  • 減塩(1日6g未満)、適正体重の維持、節酒、運動を習慣化できるよう支える

出題当時と現在

解答は出題当時の平成29年調査に基づきます。その後、令和2年(2020年)調査から、総患者数の推計に使う平均診療間隔の算出方法が見直されました。その結果、総患者数は全体に大きく増えており、平成29年以前の数値とは単純に比較できません。ただし、高血圧性疾患が最多である点は変わっていません。

選択肢の確認

1.喘息 asthma:平成29年の総患者数は約110万人で、選択肢4の1割程度にとどまります。喘息は小児から高齢者まで幅広くみられ、吸入ステロイド薬による長期管理が必要な慢性疾患です。そのため患者数が多い印象を持ちやすいのですが、総患者数では選択肢3と同じ程度の規模です。

2.糖尿病 diabetes mellitus:平成29年の総患者数は約330万人で、選択肢4の約3分の1にあたります。傷病別では歯肉炎及び歯周疾患に次ぐ上位ですが、最多ではありません。国民健康・栄養調査(平成28年)で推計された「糖尿病が強く疑われる者」約1,000万人は、治療の有無を問わない推計です。この数値を総患者数と混同しないよう注意が必要です。

3.脳血管疾患 cerebrovascular disease:平成29年の総患者数は約110万人で、選択肢4の約9分の1です。人口動態統計(平成29年)では死因の第3位でした。国民生活基礎調査では、介護が必要となった主な原因として認知症と並ぶ上位です。入院の推計患者数でも上位に入ります。ただし、継続受療者全体を数える総患者数では、患者の多い生活習慣病に及びません。

4.高血圧性疾患 hypertensive disease:正答。平成29年の総患者数は約990万人で、2位の歯肉炎及び歯周疾患(約400万人)の2倍以上です。無症状のまま長期に通院と服薬が続き、高齢化で有病者が増えるという特徴が、総患者数の多さに表れています。

覚えるポイント

  • 患者調査は厚生労働省が3年ごとに実施します。「推計患者数」は調査日の受療者数、「総患者数」は継続受療者を含めた数で、この違いを区別します。
  • 平成29年の総患者数は、高血圧性疾患(約990万人)が最多です。次いで歯肉炎及び歯周疾患(約400万人)、糖尿病(約330万人)、脂質異常症(約220万人)の順です。
  • 脳血管疾患と喘息は、いずれも約110万人前後です。死因や要介護の原因として重要な疾患でも、総患者数が多いとは限りません。
  • 国民生活基礎調査の傷病別通院者率でも、高血圧症は男女とも最も高くなっています。「患者数が最も多い慢性疾患は高血圧」と覚えます。
  • 高血圧の基準は、診察室血圧140/90 mmHg以上、家庭血圧135/85 mmHg以上です。脳血管疾患・心疾患・慢性腎臓病の予防の出発点になります。
  • 令和2年調査から総患者数の推計方法が変わりました。年次をまたいで数値を比べるときは注意します。

掲載内容は受験学習用に編集しています。正式な正答・採点上の取扱いは、各試験実施機関の発表を優先してください。 情報の確認方法と訂正窓口は編集方針に掲載しています。 本サービスは診断・治療・臨床判断を目的とするものではありません。

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