111AM047|第111回 看護師国家試験 過去問
脳血管造影を行う患者の看護について適切なのはどれか。
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正解: 3
正答
3.穿刺部末梢側の動脈の拍動を確認する。
この問題のポイント
脳血管造影は、末梢の動脈からカテーテルを挿入して行う侵襲的な検査です。起こりうる合併症は、「動脈を穿刺する」「ヨード造影剤を使う」「脳の血管内でカテーテルを操作する」の3点から考えます。そうすると、検査前・中・後に必要な看護が導けます。正答は、穿刺部より末梢の血流障害を早く見つけるための観察です。
解説
脳血管造影(カテーテルによる脳血管撮影)では、主に大腿動脈を穿刺してカテーテルを挿入します。橈骨動脈や上腕動脈を使うこともあります。カテーテルを大動脈から内頸動脈や椎骨動脈まで進め、ヨード造影剤を注入してX線撮影します。脳動脈瘤、脳動静脈奇形、頸動脈狭窄、もやもや病などの診断や、血管内治療の前の評価に用います。通常は局所麻酔で行うため、患者は意識のある状態で検査を受けます。
合併症から看護を考える
- 穿刺部の合併症:出血、皮下血腫、仮性動脈瘤があります。検査後は穿刺部を圧迫して止血します。大腿動脈穿刺では、一定時間の床上安静と穿刺側下肢の屈曲禁止が指示されます。
- 末梢の血流障害:カテーテル操作による血栓・塞栓や、止血のための過度な圧迫で、穿刺部より末梢の動脈血流が途絶えることがあります。
- 中枢神経の合併症:カテーテル操作や造影剤注入に伴う血栓・空気塞栓、血管攣縮により、脳梗塞などが起こりえます。意識障害、失語、片麻痺、視野障害などとして現れます。
- 造影剤の副作用:悪心・嘔吐、蕁麻疹、アナフィラキシーショック、造影剤腎症などがあります。
時期ごとの看護
検査前には次のことを行います。
- 造影剤アレルギーや気管支喘息の既往、腎機能、抗血栓薬やビグアナイド系糖尿病薬などの内服を確認します。
- 造影剤による嘔吐と誤嚥を防ぐため、指示に基づいて検査前の食事を1食止めるなどの絶食とします。
- 穿刺予定側の末梢動脈の拍動を触知し、触れる位置に印をつけておきます。大腿動脈穿刺なら足背動脈と後脛骨動脈です。印があれば、検査後に同じ部位で比べられます。
検査中は、声をかけて意識レベルや応答を確かめ、指示どおりに手足が動くかを確認します。これにより神経症状の出現を早く捉えられます。造影剤を注入すると熱感が生じることを事前に伝え、不安を和らげます。撮影の瞬間だけは体を動かさないよう協力をお願いします。
検査後は、次の点を繰り返し観察します。
- 穿刺部の出血や血腫の有無
- 末梢動脈の拍動、皮膚の色、冷感、しびれ(左右差と検査前との比較で評価)
- 意識レベル、瞳孔、言語、麻痺の有無などの神経症状
あわせて、飲水制限がなければ水分摂取を勧め、造影剤の排泄を促します。
正答に至る判断
末梢動脈の拍動が弱くなったり触れなくなったりするのは、血栓による動脈閉塞や過度の圧迫を示す重要なサインです。放置すると末梢の虚血が進むため、早く見つけて医師に報告し、圧迫の調整や治療につなげる必要があります。したがって、選択肢3が適切な看護です。
選択肢の確認
1.前日に頭部の剃毛を行う。:脳血管造影は頭部を切開する検査ではありません。カテーテルは大腿動脈などから挿入するため、頭部の剃毛は必要ありません。開頭手術の術前処置と混同しないようにしましょう。除毛が必要になるとすれば、対象は頭部ではなく穿刺部位(鼠径部)です。皮膚の損傷による感染を避けるため、剃刀ではなく医療用クリッパーを使うのが現在の原則です。
2.検査中は患者に話しかけない。:局所麻酔で意識のある患者に声をかけることは、大切な観察の方法です。脳塞栓などによる意識レベルの低下、失語、麻痺を早く見つけられます。造影剤を注入したときの熱感など、予期しない感覚への不安を和らげる役割もあります。撮影の瞬間に体を動かさないようお願いすることはありますが、検査中ずっと話しかけないという対応は不適切です。
3.穿刺部末梢側の動脈の拍動を確認する。:正答。カテーテル操作による血栓・塞栓や、止血時の過度な圧迫によって、末梢の動脈血流が妨げられることがあります。そのため、穿刺部より末梢の動脈拍動を観察します。大腿動脈穿刺では足背動脈と後脛骨動脈、上腕動脈穿刺では橈骨動脈を触知します。橈骨動脈穿刺では、手指の色、冷感、しびれを観察します。検査前に拍動の位置を確認しておき、検査後は左右差と検査前との比較で評価します。
4.検査30分前まで食事摂取が可能である。:ヨード造影剤は悪心・嘔吐を起こすことがあり、仰臥位で検査を受ける患者では嘔吐物を誤嚥するおそれがあります。そのため、検査前は一定時間の絶食とします。一般には検査前の1食を止めるなど数時間の絶食が指示され、直前30分まで食事ができるわけではありません。水分や内服薬の扱いは、医師の指示と施設の基準に従います。
覚えるポイント
- 動脈穿刺を伴うカテーテル検査(脳血管造影、心臓カテーテル検査など)の後は、穿刺部の出血・血腫と、末梢動脈の拍動・皮膚色・冷感・しびれを観察します。
- 大腿動脈穿刺なら足背動脈と後脛骨動脈、上腕動脈穿刺なら橈骨動脈で拍動を確認します。検査前に位置を確認して印をつけ、検査後と比べます。
- 脳血管造影で特に大切なのは神経症状(意識レベル、瞳孔、言語、麻痺)の観察です。検査中も声をかけて確認します。
- 造影剤を使うときは、検査前にアレルギー歴、腎機能、内服薬を確認し、絶食とします。検査後は水分摂取で造影剤の排泄を促します。
- 大腿動脈穿刺後は一定時間の床上安静とし、穿刺側の下肢を曲げないようにします。頭部の剃毛は開頭術の準備であり、脳血管造影では必要ありません。
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