111AM106|第111回 看護師国家試験 過去問
次の文を読み106〜108の問いに答えよ。Aさん(34歳、初産婦)は順調な妊娠経過であった。妊娠40週5日の午前8時、10分毎の規則的な子宮収縮を主訴に来院し、医師の診察の結果、入院となった。入院時の胎児心拍数基線は130 bpm、胎児の推定体重は3,300 gであった。入院時のAさんと胎児の状態で正しいのはどれか。
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正解: 3
正答
3.胎児心拍数基線は正常である。
この問題のポイント
状況設定問題の1問目です。入院時の数値(年齢34歳、妊娠40週5日、胎児心拍数基線130 bpm、推定体重3,300 g)を、それぞれの定義や正常範囲にあてはめて判断します。問われているのは、分娩時期の区分、高年初産婦の年齢基準、胎児心拍数基線の正常範囲、出生体重による分類の4つの基準を正確に覚えているかどうかです。
解説
問題文から読み取る情報
- 母体:34歳の初産婦で、妊娠経過は順調です。
- 妊娠週数:40週5日で、分娩予定日(40週0日)を5日過ぎています。
- 主訴:10分毎の規則的な子宮収縮があります。
- 胎児:心拍数基線は130 bpm、推定体重は3,300 gです。
妊娠週数と分娩時期の区分
分娩の時期は、妊娠週数によって次のように区分されます。
- 流産:妊娠22週未満での妊娠の終了
- 早産:22週0日〜36週6日の分娩
- 正期産:37週0日〜41週6日の分娩
- 過期産:42週0日以降の分娩
40週5日は予定日を過ぎていますが、正期産の範囲に入ります。予定日を過ぎたことと過期産であることは、同じ意味ではありません。
高年初産婦の基準
日本産科婦人科学会は、35歳以上の初産婦を高年初産婦と定義しています。高年妊娠では、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、胎児の染色体異常、帝王切開などのリスクが高くなるとされ、妊娠中の管理で注意が払われます。34歳のAさんはこれに該当しません。
胎児心拍数基線
胎児心拍数基線とは、胎児心拍数陣痛図の10分間の区画から一過性変動の部分を除いた平均的な心拍数で、5 bpm刻みで表します。正常範囲は110〜160 bpmです。110 bpm未満を徐脈、160 bpmを超えるものを頻脈とします。
頻脈の原因には、母体の発熱、子宮内感染、胎児低酸素の初期、β刺激薬(リトドリン塩酸塩)の使用などがあります。徐脈は、胎児の低酸素状態や臍帯圧迫などで起こります。
ただし、胎児の状態(well-being)は基線の値だけでは判断できません。次の項目をあわせて評価します。
- 基線細変動:振幅6〜25 bpm(中等度)が正常
- 一過性頻脈の有無
- 一過性徐脈の有無と種類(早発・遅発・変動・遷延)
基線と細変動が正常で、一過性頻脈があり、一過性徐脈がない場合は、胎児の状態が良好であると判断できます。
出生体重による分類
- 低出生体重児:2,500 g未満(1,500 g未満は極低出生体重児、1,000 g未満は超低出生体重児)
- 巨大児:4,000 g以上
推定体重3,300 gはどちらにも当たらず、40週の胎児として標準的な大きさです。超音波による推定体重には一定の誤差がありますが、2,500 g未満になる可能性が高いとはいえません。
分娩開始の判断と看護への結びつき
陣痛周期が10分以内、または1時間に6回以上の規則的な子宮収縮になった時点を分娩開始とします。Aさんは10分毎の規則的な収縮があるので分娩が開始しており、分娩第1期(分娩開始から子宮口全開大まで)に入っています。初産婦の分娩第1期は経産婦より長くかかるのが一般的です。
看護では、次の点を継続して観察します。
- 陣痛の間隔・持続時間・強さ
- 子宮口の開大と児頭の下降
- 破水の有無と羊水の性状
- 胎児心拍数陣痛図
- 母体のバイタルサイン
- 水分や食事の摂取、排尿の状況
あわせて、産痛の緩和を支援します。入院時の数値を正常範囲と照らし合わせて「正常に経過している」と判断できることが、その後の異常の早期発見の土台になります。
選択肢の確認
1.過期産である。:妊娠40週5日は、正期産(37週0日〜41週6日)の範囲内です。過期産は妊娠42週0日以降の分娩をいい、Aさんがこのまま出産すれば正期産となります。分娩予定日を過ぎているため過期と取り違えやすいのですが、予定日超過と過期産は別の概念です。なお、42週以降も妊娠が続いている状態は過期妊娠といいます。過期妊娠では、胎盤機能の低下、羊水過少、胎便吸引症候群などへの注意が必要になります。
2.高年妊婦である。:高年初産婦は35歳以上の初産婦と定義されており、34歳のAさんは該当しません。年齢の境界をわずか1歳の差で問う選択肢なので、「35歳以上」という基準を正確に覚えておく必要があります。かつては30歳以上とされていた時期もありますが、現在の基準は35歳以上です。
3.胎児心拍数基線は正常である。:正答。胎児心拍数基線の正常範囲は110〜160 bpmで、130 bpmはその範囲内にあります。胎児の状態を総合的に判断するには、基線細変動、一過性頻脈、一過性徐脈の評価もあわせて行いますが、この時点で示されている基線の値は正常と判断できます。
4.低出生体重児となる可能性が高い。:低出生体重児とは出生体重2,500 g未満の児をいい、推定体重3,300 gはこれを大きく上回ります。低出生体重児が生まれやすいのは、早産、胎児発育不全、多胎妊娠、母体の喫煙ややせなどの場合です。正期産で順調な経過をたどり、標準的な推定体重であるAさんの胎児には当てはまりません。
覚えるポイント
- 分娩時期の区分は、早産が22週0日〜36週6日、正期産が37週0日〜41週6日、過期産が42週0日以降です。予定日(40週0日)を過ぎても、41週6日までなら正期産です。
- 高年初産婦は、35歳以上の初産婦です。
- 胎児心拍数基線の正常範囲は110〜160 bpmで、110 bpm未満が徐脈、160 bpm超が頻脈です。基線細変動は6〜25 bpmが正常です。
- 出生体重の区分は、2,500 g未満が低出生体重児、1,500 g未満が極低出生体重児、1,000 g未満が超低出生体重児、4,000 g以上が巨大児です。
- 分娩開始は、陣痛周期が10分以内、または1時間に6回以上になった時点です。分娩第1期は分娩開始から子宮口全開大までです。
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