111PM026|第111回 看護師国家試験 過去問
生体内でタンパク質が分解され、アミノ酸の代謝が進んで生じたアンモニアは肝臓で( )に変換される。( )に入るのはどれか。
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正解: 2
正答
2.尿素
この問題のポイント
アミノ酸に含まれる窒素がどのような形で体外へ排出されるかを問う、窒素代謝の基本問題です。判断の手がかりは「アンモニア」「肝臓」の2語です。肝臓のオルニチン回路(尿素回路)でアンモニアが毒性の低い尿素に変えられることを知っていれば解けます。名前の似た尿酸(プリン体の代謝産物)と取り違えないことが得点の鍵です。
解説
アンモニアが生じるしくみ
食物中のタンパク質は消化管で分解されてアミノ酸として吸収されます。体内のタンパク質も、分解と合成を常に繰り返しています。
アミノ酸を分解するときは、まずアミノ基を外します。アミノ基はアミノトランスフェラーゼ(AST、ALT)によってα-ケトグルタル酸に渡され、グルタミン酸になります。その後、主に肝臓でグルタミン酸脱水素酵素による酸化的脱アミノが起こり、アンモニアとして遊離します。アミノ基を外した残りの炭素骨格は、糖新生やエネルギー源に使われます。
アンモニアは他の経路からも肝臓に運ばれます。
- 腸内細菌がタンパク質や尿素を分解して生じたアンモニアは、門脈を通って肝臓へ運ばれます。
- 末梢組織ではグルタミンの形で、筋ではアラニンの形で、アンモニアを肝臓へ運びます。
アンモニアは中枢神経に対する毒性が強いため、速やかに無毒化しなければなりません。
肝臓のオルニチン回路(尿素回路)
オルニチン回路は、肝細胞のミトコンドリアと細胞質にまたがって進む反応系です。
- アンモニアと二酸化炭素(炭酸水素イオン)がATPを使って結合し、カルバモイルリン酸になります。
- カルバモイルリン酸がオルニチンと結合してシトルリンになります。
- シトルリンがアスパラギン酸と結合してアルギニノコハク酸になり、次いでアルギニンになります。
- アルギナーゼがアルギニンを分解し、尿素とオルニチンができます。オルニチンは再び回路に戻ります。
尿素1分子には窒素が2個含まれます。1個はアンモニア由来、もう1個はアスパラギン酸由来です。
できた尿素は水に溶けやすく毒性が低いため、血液で腎臓へ運ばれます。糸球体で濾過されて尿中に排泄されます。一部は集合管で再吸収され、腎髄質の浸透圧勾配をつくって尿の濃縮に役立ちます。
臨床とのつながり
血液検査の**BUN(血中尿素窒素)**は、この尿素に含まれる窒素量を示します。
- 上昇する場合:腎機能低下、脱水、消化管出血、高タンパク食、異化亢進
- 低下する場合:重症の肝障害で尿素の合成が減ったとき
肝硬変や急性肝不全では、アンモニアを処理しきれずに血中アンモニアが上昇します。門脈大循環シャントで血液が肝臓を迂回する場合も同様です。その結果、肝性脳症が起こります。
- 症状:羽ばたき振戦、見当識障害、睡眠覚醒リズムの逆転、昏睡
- 誘因:便秘、消化管出血、感染、脱水、過剰なタンパク質摂取、利尿薬による低カリウム血症など
- 治療:ラクツロース(腸内を酸性にしてアンモニアの吸収を抑え、緩下作用で排便を促す)、リファキシミンなどの難吸収性抗菌薬、分岐鎖アミノ酸(BCAA)製剤、タンパク質摂取量の調整
看護では、次の点が重要です。
- 排便コントロール
- 意識レベルと睡眠パターンの観察
- 転倒防止
また、採血後の検体は放置するとアンモニア値が上がります。そのため、血中アンモニアの検体は速やかに測定に出します。
新生児期に高アンモニア血症を起こす先天性の尿素サイクル異常症(オルニチントランスカルバミラーゼ欠損症など)も、この回路の障害として理解できます。
選択肢の確認
1.尿酸:プリン体(アデニン、グアニン)がヒポキサンチン、キサンチンを経て、キサンチンオキシダーゼの働きで生じる最終代謝産物であり、アミノ酸由来のアンモニアから作られるものではありません。ヒトはこれを分解する酵素(ウリカーゼ)を持たないため、主に腎臓から排泄されます。蓄積すると痛風や尿路結石の原因となり、アロプリノールなどのキサンチンオキシダーゼ阻害薬で産生を抑えます。鳥類や爬虫類ではアミノ酸由来の窒素もこの形で排泄しますが、ヒトを含む哺乳類でその役割を担うのは選択肢2です。
2.尿素:正答。肝細胞のオルニチン回路で、アンモニアと二酸化炭素からカルバモイルリン酸が作られます。その後、シトルリン、アルギニノコハク酸、アルギニンを経て、アルギナーゼの働きで生成されます。水溶性で毒性が低いため血液で運ばれ、腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されます。血液検査ではBUNとして評価し、腎機能低下や脱水で上昇し、重症の肝障害では合成が減って低下します。
3.亜硝酸:土壌や水中の硝化細菌がアンモニアを酸化して作る物質であり、ヒトの肝臓で行われる無毒化反応の産物ではありません。臨床では尿定性検査のニトライト項目で目にします。大腸菌などの細菌が尿中の硝酸塩を還元して生じるため、陽性であれば尿路感染症を疑う手がかりになります。体内に多く入るとヘモグロビンを酸化してメトヘモグロビン血症を起こすため、無毒化とはむしろ逆の性質を持つ物質です。
4.一酸化窒素:血管内皮細胞などでNO合成酵素がL-アルギニンから作る情報伝達物質で、アンモニアを処理した結果できるものではありません。血管平滑筋のcGMPを増やして血管を拡張させます。狭心症に使うニトログリセリンなどの硝酸薬は、NOを放出して効果を示します。原料のアルギニンがオルニチン回路の中間体でもあるため混同しやすいのですが、NOの合成は窒素を排泄するための反応ではありません。
覚えるポイント
- タンパク質はアミノ酸になり、その窒素はアンモニアとして遊離します。アンモニアは肝臓のオルニチン回路(尿素回路)で尿素に変わり、腎臓から尿中に排泄されます。
- 尿酸はプリン体の最終代謝産物です。高尿酸血症は血清尿酸値7.0mg/dL超で、痛風の原因となります。尿素(アミノ酸由来)と尿酸(核酸由来)を区別して覚えましょう。
- 肝不全では合成能と解毒能が低下します。その結果、血中アンモニアが上昇し、BUN・アルブミンは低下し、凝固因子が減ってプロトロンビン時間が延長します。
- 肝性脳症の症状は、羽ばたき振戦、見当識障害、睡眠覚醒リズムの逆転です。誘因は便秘・消化管出血・感染・脱水・過剰なタンパク質摂取です。対策はラクツロース、難吸収性抗菌薬、BCAA製剤、排便コントロールです。
- BUNが上昇するのは、腎機能低下、脱水、消化管出血、高タンパク食、異化亢進のときです。
- 一酸化窒素(NO)はアルギニンから作られる血管拡張物質で、硝酸薬の作用機序に関わります。
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