111PM059|第111回 看護師国家試験 過去問
学童期の肥満で正しいのはどれか。
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正解: 4
正答
4.成人期の生活習慣病のリスク因子である。
この問題のポイント
学童期の肥満について、評価に使う指標、原因の内訳、食事療法の原則、将来への影響という基本事項を確認する問題です。判断の鍵は「学童期」という年齢の条件です。乳幼児とは評価指標が異なり、また成長期であるため栄養の制限の考え方が成人とは違います。小児肥満は成人肥満に移行しやすく、生活習慣病につながるという点が正答の根拠です。
解説
学童期の肥満の評価
小児の体格の評価では、年齢によって指標を使い分けます。
- 乳幼児(おおむね生後3か月〜幼児期):カウプ指数。計算式は体重(kg)÷身長(m)の2乗で、成人のBMIと同じ形です。
- 学童期:ローレル指数と肥満度です。ローレル指数は体重(kg)÷身長(cm)の3乗×10の7乗で求め、160以上を肥満とします。
- 成人:BMIです。
学童期の肥満の判定で中心となるのは肥満度です。肥満度(%)は「(実測体重−標準体重)÷標準体重×100」で求めます。標準体重は、性別・年齢別・身長別に算出します。学童では、20%以上を軽度肥満、30%以上を中等度肥満、50%以上を高度肥満と判定します。学校保健統計調査でも、肥満度20%以上を肥満傾向児としています。ローレル指数は身長によって判定がずれやすい指標です。そのため、身長の個人差が大きい学童期では、身長別の標準体重を基準にする肥満度のほうが適しています。
原因の内訳:単純性肥満と症候性肥満
小児肥満の大部分は単純性(原発性)肥満です。これは、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る状態が続いて起こります。背景には、次のような生活習慣があります。
- 間食や清涼飲料の多さ、欠食、早食い
- 運動不足、長いスクリーンタイム
- 睡眠不足
- 家族の食習慣
症候性(二次性)肥満は、原因となる疾患があって起こる肥満で、ごく一部です。主な原因は次のとおりです。
- 内分泌疾患:甲状腺機能低下症、クッシング症候群、成長ホルモン分泌不全症など
- 遺伝性の症候群:プラダー・ウィリー症候群など
- 視床下部の障害
- 薬剤:副腎皮質ステロイドなど
鑑別の手がかりは身長の伸びです。単純性肥満では、身長の伸びが良好なことが多くみられます。一方、症候性肥満では、身長の伸びの鈍化や低身長を伴うことが多いのが特徴です。
食事療法の考え方
学童期は成長の途中です。そのため、厳しいエネルギー制限や急激な減量は目標にしません。体重を維持するか、体重の増加を緩やかにし、身長が伸びることで肥満度を下げていくのが基本方針です。
- たんぱく質、カルシウム、ビタミン、ミネラルなど、成長に必要な栄養素は十分に確保します。
- 見直すのは、糖分の多い飲料や菓子類、脂質の多い料理、夜食や欠食といった習慣です。
- 運動は、本人が楽しんで続けられる内容にします。
- 睡眠時間やスクリーンタイムも含めて、家族ぐるみで生活全体を整えます。
- 本人を責めたり体型を否定したりすると、自尊感情が低下して取り組みが続かなくなります。肯定的な関わりが大切です。
- 思春期の女子では、過度なダイエットが摂食障害の契機になることにも注意します。
将来への影響と看護の視点
小児期の肥満は成人肥満へ移行しやすく、年長になるほど、特に思春期の肥満ほど持ち越されやすいとされます。小児期のうちから、次のような健康障害がみられることもあります。
- 脂肪肝、脂質異常症、血圧上昇、耐糖能異常や2型糖尿病
- 睡眠時無呼吸症候群、膝や股関節の障害
- いじめや自己評価の低下などの心理社会的問題
肥満に医学的な健康障害を伴い、減量治療が必要な状態を小児肥満症として区別します。小児期のメタボリックシンドロームの診断基準も定められています。学校健診をきっかけに、養護教諭・学校医・家庭が連携して早期から生活習慣を支援することが、成人期の生活習慣病の予防につながります。
選択肢の確認
1.Kaup〈カウプ〉指数で評価する。:カウプ指数は主に乳幼児の発育・栄養状態の評価に用いる指数です。学童期の肥満の評価には、身長別の標準体重を基準にした肥満度(あるいはローレル指数)を用います。カウプ指数は式こそBMIと同じですが、年齢によって基準範囲が変わるため、そのまま学童に当てはめることはしません。「乳幼児はカウプ指数、学童は肥満度・ローレル指数、成人はBMI」という対応を取り違えさせる選択肢です。
2.症候性の肥満がほとんどを占める。:小児肥満の大部分は、エネルギーの摂取と消費の不均衡による単純性肥満です。症候性肥満は、内分泌疾患や遺伝性症候群、薬剤などが原因となるごく一部にすぎません。症候性肥満は、低身長や身長の伸びの鈍化、特徴的な外見などを伴う場合に疑います。この記述は単純性と症候性の割合を逆にしています。
3.食事では蛋白質の摂取制限を行う。:学童期は骨格や筋肉が成長する時期であり、たんぱく質は成長に欠かせないため制限しません。制限すると、成長の妨げや筋肉量の減少を招くおそれがあります。食事療法の基本は、必要な栄養素を確保したうえで、糖分の多い飲料や菓子類、脂質の多い料理を見直して総エネルギーを適正化することです。
4.成人期の生活習慣病のリスク因子である。:正答。学童期の肥満は成人肥満へ移行しやすく、脂質異常症、高血圧、2型糖尿病などの生活習慣病や、動脈硬化性疾患の素地になります。小児期のうちから脂肪肝や血圧上昇、耐糖能異常がみられることもあります。この点が、早期から生活習慣を整える支援を行う根拠になります。
覚えるポイント
- 体格指数の使い分け:乳幼児はカウプ指数、学童は肥満度とローレル指数(160以上で肥満)、成人はBMIです。
- 学童の肥満度(%)=(実測体重−標準体重)÷標準体重×100 で求めます。20%以上は軽度、30%以上は中等度、50%以上は高度です。
- 小児肥満の大部分は単純性肥満です。身長の伸びの鈍化や低身長を伴う場合は、症候性肥満を疑います。
- 食事療法は成長を妨げないことが前提です。たんぱく質は制限せず、体重の増加を抑えて、身長の伸びで肥満度を下げます。
- 学童期・思春期の肥満は成人肥満へ移行しやすく、生活習慣病のリスク因子です。本人を責めず、家族ぐるみで生活習慣を整える支援を行います。
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